トレド
世界遺産@Mar/'94 Toredo, Spain


タホ川と城壁に囲まれた丘の街、トレド遠景



[世界遺産 Histric City of Toledo 文化遺産 1986年登録] トレド市は面積231平方キロ、人口約7万。カスティーリャ・ラ・マンチャ州及びトレド県(人口約55万人)の首府である。スペインの古都として知られる。中世の初めに西ゴート王国の首都(560年~711年)となり、8世紀にイスラム勢力に征服されたが、後ウマイヤ朝の下でも繁栄を極めた。1085年カスティーリャ王国のアルフォンソ6世のレコンキスタによって再征服された。神聖ローマ皇帝カール5世の下でスペインの首都となったが、スペイン王フェリペ2世が1561年トレドからマドリッドに遷都して以来、衰退した。むかしから鉄生産で有名で、剣などを特産品とした。この伝統は現代にも受け継がれている。(Wikipediaより)


スペイン中央部、首都マドリッドから南に約70kmの位置に中世の色濃いこの街はある。 仕事でマドリッドに滞在中、3月の土曜日、仲間のS氏、M氏と一緒に、1986年世界遺産に登録された中世の古都トレドに向かった。 

スペイン最長でポルトガルのリスボンに河口を持つタホ川が東と南を、厚い城壁が北と西を取り巻く丘の街。 スペインの観光案内では、お馴染みの街だ。 ラ・マンチャ自治州の州都でもあり、人口は約7万人。 これ位の人口の街が、大変まとまりが良く思えてて好きだ。 

日本の都市の規模はこの基準から見て大変大きい。 私が住む相模原市の人口も、とうに50万人を越した。 西洋の基準からすると、超大都市に値する。 大都市の意味するところは、社会インフラと文化設備の完備であると勝手に決めている。 50万都市と言えば、映画館や劇場が幾つも有っても良い筈だが、残念ながら我が街はその点では寂しい限りである。 それでも近くで自然にふんだんに接することのできる環境には、大変満足しており、一寸自慢にも思っている。

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教と世界の3大宗教が混沌と入り混じった歴史を刻んでいるのこの街には、中東エルサレムの兄弟のような気さえする。 遠景にカテドラルとアル・カサール(城)がそびえ、赤い屋根のブロックが折り重なる町並みが独特の景観を呈す。 スペインを代表する画家の一人、エルグレコが移り住み、活躍した都市としても名高い。 



国鉄駅アトーチャの南に広がる蚤の市


宿舎のユーロ・ビルデングから、マドリッドの目抜き通り、カステリアーノを下り切ると、 スペイン国鉄のターミナル駅アトーチャ駅がある。 黒い大きくカーブした丸い屋根が特徴だ。 駅前で朝食にする。 朝から開いているバル(BAR)に入った。 日本の居酒屋と食堂をミックスしたような店だ。 バルは何処も威勢が良い。 大声で注文が飛び交う。 食器も荒々しく取り扱われる。 セルベッサ(ビール)を立ちのみしている男女、ボカデージョ(フランスパンのサンドイッチ)に被りついている労働者。 カフェ・コンレッチェ(カフェオレ)を飲んでいるOL。 こんな飾り気の無い日常の風景が好きだ。 我々もカフェ・コンレッチェにハモン・ボカデージョ(豚肉の燻製サンドイッチ)を注文した。 アトーチャは鉄道駅であるが、各地へのバスの発着場でもある。 我々はトレド行きのバスに乗り込んだ。




トレド市内の刀剣屋



1時間程度でバスはトレドに到着。 狭い城壁の門をくぐり、古い市街に入りこむ。 いずこのヨーロッパの街も、教会の大きさには度肝を抜かされる。 ここトレドでも同じだ。 街の中央に君臨するスペイン・カトリック総本山のカテドラルには、ただただ圧倒される。 1493年に完成したと言う。 既に500年の年月が流れている。 その威厳は今なお、完成当時と変わることなく辺り一面に漂う。 22の周辺礼拝堂。 750窓のステンドグラス。 高く広い、装飾の極みを呈する内部にたたずみ、その荘厳さに浸る。


トレド城門



カテドラルから丘の中央部にある四角い内城壁で囲まれたアル・カサール(お城)へ歩いた。 内部を全部回るのは、とても1日観光では無理。 城の周囲を歩き当時の兵士の嘆きを聞いてみた。 アル・カサールは13世紀の城塞である。 巨大な城塞だ。 多くの兵士達の人生を狂わせたに違いない。



アル・カサール: 町の中央部にそびえる当時の城砦


AlCazar(城)の頂上で



サント・トメ教会は小さい。 この教会にエル・グレコの傑作 「オルガス伯爵の埋葬」 が描かれている。 薄暗い教会内部に、初めてみるその大きな絵はあった。 本物の絵を見ていつも思う。 決して教科書やパンフレットでは、味わい得ない感動に胸が震えることを。 絵のサイズは、その絵の持つ意味を大きく左右する。 その大きさに驚かされることもしばしばだ。 薄暗さが一層その絵を神秘の淵に輝かせている。 



トレド大聖堂: 正面の荘厳なファサード


サン・トメ教会の後は、狭く、くねくね曲がる石畳の路地を歩く。 丘の街はアップ・ダウンが意外にきつい。 路地は複雑に入り組み迷路かとも思う。 きっとそうで有ったに違いない。 中世の路地にワープしたような気分がする。 服装さえ違えば正に中世の町を歩いている私がそこに居る。




街は以外にアップダウンが多い


郵便ポスト: スイスと同じラッパのマークが描かれている







6/Mar/'94 林蔵@Toledo Spain (Updated on 2/May/'08)#132

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