ウエストミンスター・アベー
@Oct/'98 London, UK


ウエストミンスターアベー正面



ウエストミンスターと言えばロンドンの代表と言っても過言ではない。 国会議事堂 Parliament、そして有名過ぎるビッグベンに面している華麗極まるカテドラルである。 故ダイヤナ妃もそこに眠る。 しかしウエストミンスター・アベーは御存知だろうか。 かく言う私も間違いが功を奏して、ウエストミンスター・アベーを知ることになったのだが。 ロンドンに仕事で滞在中、実はウエストミンスターに行こうと思い、アパートから、Kensington Park, Hyde Park, Green Park, バッキンガム宮殿の前を通り、更に James Park を通ってウエストミンスターのある方角へ官公庁のビルの谷間を通り抜けていると、Westminster Abbey の看板にぶち当たった。 事物に極めて影響されやすい私である。 すぐその看板の示す方向に足を向けた。 ウエストミンスターとウエストミンスター・アベーの区別を知らずにである。



グリーン・パーク: ハイド・パークとジェームズ・パークの間にある比較的小さな公園


アベーの正面飾りファサードの前に来た。 どうも違うようだ。 これまで写真や映像で見たウエストミンスターとは明らかに違う。 だがせっかく来たのだ、内部へ入ってみよう。 内部に足を踏み入れた途端、教会特有の静寂で厳かであり、又華やかな雰囲気に包まれる。 内と外では人々の振るまいがまるで違うのが面白い。 日本でもお寺の堂内に入り仏像等を見たり、僧侶の話しを聞く時、借りてきた猫の如くなるのは何故だろう。 人々は全て羊のような善男善女になる。 人々はややもすると忘れがちな基本的な戒めを、忘れまいと教会や神社仏閣にやってくるのだろうか。




ヘンリーVII世チャペル



静かに内部をものめずらしく眺めまわる。 その内、聖歌隊が中央祭壇に陣取り始めた。 それぞれ特別な派手な装束で何やらそれぞれのシンボルであろうか、道具を手にしている。 厳かに静静に行進は続く。 全員がポジションに着いた頃には、何時の間にやって来たのか、祭壇前の椅子席は人で埋まっている。 そしてミサが始まった。 しまった、この場に及んで外に出る訳にも行かず、近くの椅子席に座った。 始めてのミサ参加である。 中央の司教が長々と賜う節目節目に、椅子に座っている信者が椅子の前で膝まずくのである。 私は隣の人がする作法を横目で見ながら真似た。 膝まずいている時間が長いのである。 その為か椅子の前にはクッションの膝当てが備わっているのである。 今やっとその膝当の意味を知る。 座ったり、膝まずいたりする動作はぎこちなかったが、 クワイヤーの聖歌はアベーの高い天井にこだまし素晴らしかった。 1ポンド硬貨をドネーションボックスに入れ、外に出た。



NAVE中央祭壇


まるで違う外の空気を肺に吸い込み、今度は良く知られているほうのウエストミンスターへ向かった。 流石に人(観光客)は多く、警戒も物々しい。 しかも入場料迄必要だ。 内部にはいる気持ちは萎えてしまった。 外からその偉容を眺めただけで、テームズの川辺に向かった。 テームズの水の流れと、行き交う様々なボートをぼんやり眺め、アベーでのミサ経験の余韻に浸りながら休日の贅沢な時間を流れるにまかす。




オランダ公園: クイーンズ・ゲート













Oct/'98 林蔵@London UK (Updated on 17/Nov/'10)#143

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