那須塩原
@Jul/'11 那須塩原, 栃木


かんぽの宿塩原
箒川が流れる緑深い山間に佇む温泉宿



既に5年の月日が経った。 ヨルダンでの活動を終え帰国したメンバーはそれぞれの出身地に戻った。 既に古希を過ぎたメンバーもおいでだが、いずれも気根あふれる活動家揃いだ。 私もそんな素敵な人生の先輩方に負けてはならじと意地を張るのだが。 この会合は年に一度の恒例の英気交換会になりつつある。 今年は福島原発の風評被害で観光客の足が遠のいていると聞く、北関東、那須塩原にある、かんぽの宿塩原に集う計画をたてた。  
 




JR東北新幹線、那須塩原駅


メンバーの都合が付き、今年は東日本の真中に集まる。 JR那須塩原駅に一旦集合、ここから私の小さな車で宿へ向かうことにした。 今回のメンバーは3人、小さな車でも平気である。 ナビの案内によると、那須塩原駅迄は東京多摩の拙宅から210kmだ。 意外に近いことに気付く。 中央高速、首都高、東北道を乗り継ぎ、渋滞にも嵌らず快適に運転を楽しむことができた。 予定の時刻より若干早めに那須塩原駅に到着。 車を駅前の駐車場に止め、駅の待合室で友の到着を待つ。 メンバーはそれぞれ、上りと下りの新幹線でやってくる。 ほぼ同時刻の到着だ。 改札の向こうから揃って懐かしい顔が笑みを湛えて向かってくる。 人生の至福の一瞬だ。 年に一度、数時間を共有するだけだが、この瞬間、時間が堪らなく心地よいものとなるから不思議だ。 文化、食べ物、言葉、気候、習慣が日本と遠く掛け離れた中東の国で共に悩み、楽しみ過ごした2年間の絆は特別なものがある。 今後もこの財産は大切にしたいと密かに思いを温めるのである。




那須塩原駅前広場に展示された黒磯巻狩鍋
鎌倉幕府開幕初期、頼朝が10万の兵を引き連れ黒磯で大巻狩りを行ったそうだ
その時の獲物2500頭がこのような大釜で調理されたという



固い握手で互いの健康を称え合い、再会を祝す。 早速私のへなちょこ運転で塩原の宿へ向かった。 途中もみじ谷のダム湖の上に掛かる日本一の無補鋼桁吊橋、もみじ谷大吊橋を見学。 この季節でも深い緑に包まれた周囲の山塊は十分に美しいが、もみじの季節に訪れる機会を得れば、さぞかし燃えるばかりに映える山肌を愛でることができるに違いない。 事務所兼売店の土地の方にお話を聞くと、やはり観光客の数は例年に比べずっと少ないらしい。 国政を司る先生方は与党も野党も挙国一致で国難に挑み、東北の人々の生活が一刻も早く元に戻ることを願ってやまない。 




もみじ谷大吊橋: 320mの無補鋼桁歩道橋としては日本一の長さを誇る



かんぽの宿:塩原


かんぽの宿塩原には食事前に温泉に浸る時間を十分持って到着した。 フロントでチェックインする際に聞くと、驚いたことに本日は満室とのことだ。 観光客の足が遠のいているとばかり聞いていたものだから、満室と聞きやや安心した気分になるが、後で聞くと、塩原温泉街の宿は軒並み客足が遠のき、個人営業の宿は暖簾を外すところが後を絶たないらしい。 辛うじてお客を繋いでいるのは、関東中心部に営業部を持つ2~3軒の大手施設だと言う、悲惨な現実が横たわっている。 部屋に入るなり、図ったように外は大雨になった。 実にラッキーなタイミングに感謝。




かんぽの宿:塩原、中庭の洒落たオープンカフェ


温泉はナトリウム、カリウム等を含む塩化物泉だとフリントの係員から聞いた。 温泉の湯に浸かり、体と気分をほぐす。 かんぽの宿塩原はわりとこじんまりとした設備だ。 レストランも大人数は収容できない。 満室状態になると、全てのお客を一度にレストランに収容し切れないので、客室毎に時間割が示させる。 我々は6時からと言うことにして頂いた。 先ずはビールで再会と互いの健康に祝杯。 仲間は十分過ぎる程の大人である。 酒量はそれなりに実に控えたものである。 気が付けばレストラン閉店の時間で、見渡すと残っているのは我々だけだった。 部屋に戻っても話は絶えない。 近頃就寝時間がめっきり早くなっている林蔵だが、あまりの心地よさに久しぶりに就寝時間が遅くなった。 友の話から多くの刺激や生きる勇気や戒めを授かることができる。 これこそ人に会う醍醐味だろう。 人は支え合って生きている確かな証拠でもある。 




ハンターマウンテンゆりパーク: 冬場はスキー場として賑わう


翌日、雨上がりの空は未だ雲はあるが降り出すことはなさそうだ。 宿のサービスでハンターマウンテンゆりパークへ無料マイクロバスが出ている。 午前の時間を利用して訪れることにした。 冬場はスキー場として営業しているが、夏場ゲレンデに50種500万輪のユリを植え、設備の利用効率を上げ雇用確保に努めているのだろうか。 宿提供の半額割引入場券はあったがリフトを含めると1、100円の入場料になる。 リフトにぶら下がり、ゲレンデの最上部へと空中散歩。 足下には様々な色合いを見せるユリ畑が斜面を覆う。 




スキーリフトで場内に栽培される50種500万輪のゆりを楽しむ


デザインゆり畑



リフト頂上から見下ろすスキーゲレンデには500万輪のゆりが見事に咲き乱れる
バックには日光連山、黒磯連山、那須連山が連なる絶景



リフト降り後ろを振り返ると、雨上がりの見事な北関東の連山が連なる。 左から日光連山、黒磯連山、那須連山が紫色に染まり山の深さと美しさを競っているがごとくだ。 今年も多くの心の糧を頂いた例会になった。 めぐる年の再会を期してお別れをした。 友と日本の山河に感謝。 









林蔵@那須塩原 25/Jul/'11 (Updated on 9/Aug/'11)#403
  

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