2月の一時帰国。 びっしり書き込まれたやることリストを見るとやや気が滅入るが、久しぶりの日本はやはり心が騒ぐ。 家族にも、友人にも、活動仲間にも会える人々があることに、これほどの嬉しさがこみあげてくるものかと、改めて生きることの幸せを感じる。 アラビア半島からのフライトは初めてカタール航空を選んだ。 DeNAのネット予約で取ったものだ。 ドーハでの乗り換え時間が数時間あるが、林蔵にはそのような空港での無駄時間はむしろ有り難い自由時間、退屈することはない。 人々の流れを見ているだけでも様々な想像が掻き立てられ、あっと言う間に時間は過ぎる。 成田には、黄昏寸前の時刻に到着。 自然と建造物が織りなす街の景観が最も美しく輝く時間だ。 成田からはパスモが利用できる京成と都営地下鉄が乗り入れているスカイアクセス(普通のローカル電車)を利用。 これに乗ると都営地下鉄東日本橋駅で銀座線に乗り換える事が出来る。銀座線に相互乗り入れしている京王線の多摩特急に旨く乗れば、拙宅がある多摩センター迄一気に行ける。 安くて便利。 しかもこの庶民感覚が林蔵の大のお気に入りである。 この時期、砂漠の暑いイメージがあるリヤドは冬場。 気温は一桁(度C)の日も珍しくない。 当然であるが東京は寒い。 この寒気を暫し楽しもう。
ハーフスタート前:
林蔵の母校(淡路島、五色中学校)がスタート、ここから2.5km下り、折り返して再びこの地点を通過する
故郷でこのような健康的で楽しいいイベントに参加できることがすこぶる嬉しい
淡路ハイウエーオアシス:
世界最長のつり橋、明石海峡大橋を望む
日本の建設技術は世界的のトップレベルと定評がある
ハイウエーオアシス:
故郷の特産玉ねぎにちなんだ
淡路島たまねぎ畑天うどんを食す
旨い
山陽新幹線西明石駅に到着。 駅のプラットフォームを降りる。 グランドレベルに出た。 レンタカーの案内書は東口とあった。 東口の標識を探すが無い。 そんな筈はない。 必死に探す、、、、が見つからない。 西明石はさほど大きくない駅だ。 どうして見つからないのだろう。 緑の窓口で聞いてみた。 女性のスタッフが親切に教えてくれた。 「ガラスドアーを出て、 左に行き、横断歩道を渡り、右に曲がり、直ぐ左に曲がって真っ直ぐ行くと東口に出ますよ。」とのことだ。 その通りに歩いてみた。 どう考えても駅から遠ざかっている。 良いのだろうか。 不安を抱きつつ更に歩くと、何と東口があった。 西口と東口は街を跨いであるのだ。 初めての土地は思わぬ発見がある。 既成概念に凝り固まった林蔵の脳味噌は固い。 歳には逆らえぬかな、それとも本来の融通の無さからくるのだろうか。
レンタカーカー屋の小さな事務所に入る。 中年の男性係員が一名居る。 名を名乗り予約を告げる。 が、どうしたことだ。 男性スタッフは申し訳なさそうに、「お客さんの予約はキャンセルされてますが、、。」と告げられる。 そんな訳はない。 キャンセルした覚えはない。 聞くと、レールレンタの条件でリヤドでネット予約してあったものだが、列車のチケットを受け取る際に、クーポン券を受け取らなければならないらしい。 そうか、その日の朝、神奈川県の橋本駅で新幹線のチケットを受け取る際、レンタカーの件を確認しなかったのが原因だったのか。 相変わらずドジな林蔵である。 その場で再予約をする。 スタッフの男性は気の毒そうに、「レールレンタの割引は効かんけど良いですか。」 と聞いてくる。 この際、受け入れるほかはない。 「ハイ、結構です。」 と素直に答える。 すると、彼は更に尋ねてくる。 「JAFカード、お持ちですか?」と。 そうだ、朝多摩のマンションを出る時、財布にJAFカードを入れて置いた筈だ。 JAFカードで10%の割引が効くそうだ。 これは助かる。 思わぬ助け舟に大きな拾いものをした気分になる。
無事レンタカーをゲット。 適当に淡路島内の目的地をカーナビにセット。 西明石東口を出発。 ナビに従い、と言いたいところだが、久しぶりの日本での運転は、やはりナビ通りには行かない。 間もなくの感覚が掴めないのだ。 間違った交差点で曲がってしまった。 ナビは実に賢くて、間違っても直ぐに新しい道を案内してくれる。 間違ったついでに、ナビの案内に逆らい、そのままの道を進む。 林蔵の感覚では、このまま進んでも、明石海峡大橋前のインターには行ける筈と感じたから。 当たらないことが多い林蔵の感ではあるが、暫く行くと、運よく高速入口の案内が出た。 高速に入ると直ぐに明石海峡大橋前の長いトンネルに入る。 トンネルを抜けると世界最長の吊り橋、明石海峡大橋だ。 早い潮の流れの海峡を瞬く間に渡る。 この海峡を渡るとようやく故郷に戻った安堵感を覚える。 淡路阪神大震災にもびくともしなかった4kmの吊り橋を渡り切ると左手に、大橋が眺望できるSA淡路ハイウエーオアシスがある。 ここでお昼兼小休憩。 淡路に来たのである。 関西風の ”うどん” だ。 たまねぎ畑天うどんを食す。 旨い。 故郷の空気を存分に吸う。 故郷に喝采。
夜は既に高齢の親父を囲み、多くの兄弟達が集まり会食が始まる。 会食の前に島内に住んでいる弟が風呂に行こうと言う。 親父も一緒に行くことにした。 近頃日本中にある郊外型大型銭湯だ。 この大型銭湯は、夏場プールの開設で大いに賑わうらしい。 弟はここの常連、毎日来ているらしい。 銭湯内で出う殆どの人と面識があり、さながらサロン状態だ。 人は助けないながら生きる生きものであり、ソサエテイーの大切さを改めて感じる。 年間会員になれば、料金は3万円程度で一日100円弱で入浴できる。 大変お得なシステムだ。 親父と一緒に風呂に入ったのは子供の頃以来初めてだ。 しかも親父の出所の近くで親父は昔の土地勘もありかなり上機嫌だ。
翌日、いよいよ ”すもとマラソン” の日だ。 この日の為、林蔵の参加に合わせ、多くの同期が一緒に走り、応援してくれる。 何と有り難いことだろう。 リヤドからやって来た甲斐もあると言うものだ。 会場に行く前にそんな高校時代の同期の一人のお家に御邪魔することになっている。
同期のランニング達人と
前半5km地点、まだまだ元気である?
何んとか最後は走る恰好を付けゴール
やはり10kmか10マイルが合う歳になったかな
そして、こともあろうに、そんな仲間が主催自治体である洲本市に遠来賞の特別枠をその場で推奨し実現させてしまった。 実に素早い手際の良い行動にはあきれるばかり、そして驚くばかり。 更に地元新聞社(神戸新聞記者)や市広報部にも連絡、即席インタビューを受けることに。 にわかスターになった小心者の林蔵。 嬉しいやら恥ずかしいやら。 特別賞の淡路島玉ねぎスープは大事にリヤドへ持ってきた。 当別な日に楽しませて頂こう。
特別遠来賞で頂いた景品の一部:
淡路島玉ねぎスープ、絶品の味、リヤドで大事に味わおう
さて、10:00 いよいよハーフ組のスタート。 華やかなランファションに身を包んだ女性ランナーはいつみても楽しい。 多くの仲間と走るのは楽しい。 多くの地元大会ボランテイアや応援も感謝しなければ。 最初は2.5kmの下りだ、下り切ると折り返し。 スタート点に戻り、更にのぼりが続く。 60mの高度差を登り切ると、西浦の海岸線に向けずっと下りになる。 それにしても海からのかなり低温の向かい風がキツイ。 少なくとも3つある関門を時間内で走らなければ多くの応援団の皆さんに申し訳ない。 制限時間一杯のペースで何とか第3関門通過。 ボランテイアスタッフが ”ゴールはすぐそこ” 等と声をかけてくれる。 後2kmもあるのに、、、”ほんま?” とか冗談を言いながら駆け過ぎる。 だが、後1km程の地点で両足のふくらはぎが吊りだした。 そして左足首に激痛が走る。 走ることができなくなった。 あるくのも苦しい。 もう、時間は気にしなくても良いが、ゴールには辿り着かなければ完走証が頂けない。 必死で歩く。 1kmである。 何とかゴールは見える地点迄来た。 一緒に走ってくれた同期の友も林蔵に想いを掛けて頂き一緒に歩いくれた。 最後の数10mを何とか走る恰好をつけてゴール。 ヘロヘロでゴールした後は、皆で焼肉屋で食事会。 何と楽しい気の置けない空気だろう。 リヤドでは決して味わえない時間と空気だ。 応援団長が夏場海水浴場で昔(高校時代)、はしゃいだ後に飲んでいた”あめゆ”を、苦労して(今時、殆ど売っていない、しかも夏場のもの)手に入れてくれていた。 まるですっかり時間が昔に戻ったみたいだ。
素晴らしい時間をくれた友に、淡路に、多くのイベント関係者に、ボランテイアに、応援の方々に感謝しつつ満ち足りた気分で高速にレンタカーを向かわせる。 ありがとう淡路島、次回も来れるだろうか。 再会を胸に秘め島を後にする。
林蔵@Sumoto Hyogo 8/Feb/'15 (Updated on 27/Mar/'15)
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