The Big Issue
@Feb/'08 青山, 東京


表参道の交差点で販売していた日本版 Bigg Issue 88号
隔週誌だ、日本では4年前から販売されている


あれは何年か前、ロンドン滞在中、アパートを出て通勤の為地下鉄Nottinghill Gate駅に入ろうとした時だった。 冬雨の中、身なりは決して良いとはいえないおじさんが、 Big Issue, Big Issue と大声で手に Big Issue を握り締め、販売しているのに出くわした。 その時は彼がホームレスでBig Issueがホームレスの人々が社会に復帰する為の踏み台的な存在等とはつゆ知らなかった。 唯、その雑誌の名が名であるだけに異様な鮮明度で記憶に残っていた。

そして、数年後、東京である研修の為、新宿界隈に出かけた際、偶然 Big Issueを販売しているやはり身なりがあまり良くはないおじさんに出くわした。 直ぐさま、ロンドンでの情景が脳裏に蘇ってきた。 迷わず1冊を買ったのである。 そして、それがホームレスの人たちに依って販売されていると始めて知った。 興味本位の記事など一切無く、内容は到ってしっかりしている。 ボリュームは大きくないが読み応え十分である。 それ以来、街でBig Issueに出くわした時は迷わず1冊買うことにしている。

ホームレスの人たちは働く意思が無いぐーたらと一方的に決め込んで掛かれる問題ではなさそうだ。 彼らには我々と少しも違わぬ様々な事情や環境や夢や希望がある。 唯それがほんの少しかみ合わないだけでホームレスという結果になるのに違いない。 そしていったんホームレスになるや、世間の目は厳しい。 ほんの少しの差ではなくなってしまうところに問題がありそうだ。 

そんな逆境に立ち向かい、社会復帰に必死で努力している姿は美しくさえある。 Big Issueは私に社会を見る目を変えさせてくれた雑誌といえる。 300円、その内160円が販売者の収入になると表紙に大きく書かれている。 夢は決して捨てず、確実に一歩一歩歩まれんことを願ってやまない。  




8/Feb/'08 (Updated on 9/Feb/'08)#299

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