成就院
@Jun/2005 鎌倉、神奈川県

 
由比ガ浜の遠景が成就院の紫陽花に縁取られる



天気予報は傘マーク。 関東地方は遂に梅雨に入った。 日本の南には台風がゆっくり北上中。 コンデションは最悪。 ヨルダンからの一時帰国中、6ヶ月ぶりの日本。 仲間達との藤沢ウオークの日である。 朝、外を見ると以外に明るい。 天は我らを見捨てなかったのか。 雨が降り出す様子もない。 

小田急藤沢駅改札口がミーテイング・ポイントである。 11時、皆の元気な顔が揃う。 群集の中に仲間の顔を見つけるのは一種の快感でもある。 一様に変わった様子が無い。 今回のコーデイネーターのYさんが簡単なオリエンテーションを行う。 気心知れた仲間である。 オリエンテーションは簡単で充分だ。 小田急 ”鵠沼海岸” 迄の切符を自動販売機で買い求める。 今日のメインは、私の要望で海を見ながら歩くことである。 鵠沼海岸前でめいめい昼食用のパンを仕入れる。 これが後でちょっとした事件を引き起こすことになるのだが。 

既に辺りには潮の香りが漂う。 海岸へは数分で出ることができる。 あいにく海上には鉛色の雲が立ち込めるが、おびただしい数のサーファー達が台風の余波で何時もより高い波を楽しんでいる。 曇ってはいるが、太陽をさえぎる影の無い海岸では逆にありがたい。 適当な砂山を見つけ海に向かって腰を下ろす。 平和でのどかな休日の浜辺の風景が目の前にある。 

だが何だか嫌な予感もする。 頭上にはとんびが輪を描いているのである。 1年半程前、同じ仲間と鎌倉の絹張山に出かけた時の事である。 絹張り山の頂上でお弁当をついばみ、眼下に広がる鎌倉と海の眺望を楽しんで居たら、何時の間にか数羽のとんびが高度をどんどん下げながら、我々の弁当を狙ってきたのである。 とんびの数は更に増え、攻撃も過激になる。 とんびは猛禽類に違いない。 真近くで見ると、その大きさに圧倒される。 恐怖心が嫌がおうにも高まる。 遂に眼下の眺望を楽しむことを諦め、木陰に非難することにしたのである。 今日も頭上のとんびに注意しながら、めいめい駅前で買ったお気に入りのパンをほうばる。 とんびへの注意をしながら、久しぶりの語らいとお昼を楽しむのは少し無理があったのだろうか。 一瞬の隙であった。 Oさんが手にしていたメロンパン目掛けてとんびが、斜め後の死角から音もなく急降下してきたのである。 Oさんのメロンパンは見事に宙に浮いた。 すかさず2羽目のとんびが同じコースで急降下しメロンパンを確実に掴んで行った。 Oさんに怪我は無かったが、大好物のメロンパンを盗られて口惜しそう。 まんまととんびにやられた。 教訓、食べ物は隠して食べるべし。



台風の余波を受けて高い波の湘南の海



6月の湘南、夏のシーズン前。 ビーチには多くのサーファーと家族連れ等がまばら。 稲村ヶ崎、極楽寺方面へ向け海岸通りを歩く。 稲村ヶ崎の少し前、海岸通りにあるカフェ・レストラン ”Peter” でお茶休憩。 丁度歩き疲れた頃である。 テーブルと椅子が心地良い。 洒落た店だ。 内装もシックでテラス席からの海の眺めが素晴らしい。 万歩計のカウンターを見ると既に1万5000歩を越している。 約7.5kmは歩いただろうか。 心地よい疲れと他愛ない仲間との会話がこの上なく幸せな気分にもたらしてくれる。 リフレッシュした後は、稲村ヶ崎で、今NHKの大河ドラマで放映中の義経に関係する歴史のレビューをする。 そして成就院へと足を向ける。 丁度紫陽花の花盛りを見ることができた。 両脇紫陽花に囲まれた参道を登る。 登り切り後を振り返った瞬間である。 紫陽花の花を縁取りにした由比ガ浜の遠景が収まっていたのである。 絶景は一瞬に現れる。 見逃してはならない。



成就院の直ぐ先にある極楽寺



極楽寺は既に門が閉まっている。 今回は、江ノ電の線路越に写真を撮るだけで済ます。 江ノ電 ”極楽寺” 駅で藤沢駅に戻ることにしたが、駅の傍に猫キャラクターのお店がある。 年配の御婦人が自身で手造りする手芸のお店らしい。 実に表情豊かな様々な猫達が店先に並んでいる。 思わず小さなカードホルダーを買った。 


 
表情豊かな猫達が店頭に並ぶ



江ノ電で藤沢駅へ戻り、駅ビル内にある ”いろはな” で夕食を取る。 ささやかな夕食であるが、仲間と一緒は格別な御馳走である。 一杯の麦酒で今日のウオークの労をねぎらう。 明日へのエネルギーが吹き込まれる思いである。 仲間と日本の豊かな自然に喝采。





12/Jun/'05 林蔵@神奈川 (Updated on 26/Jul/'08)#201

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