にわ
@Apr/'08 相模原, 神奈川




庭と呼べる程のものではない。 20数年前に購入した小さな建売住宅に付随した猫の額にも及ばぬ程の庭である。 極平均的な日本のサラリーマンが購入できる一軒屋に付随する庭だ。 この庭のある家に越してきたのはもう既にだいぶ前のことになる。 息子が小学6年生、娘が小学1年生の時だった。 この小さな庭にも様々な草花が芽を出す。 そんな草花や庭に迷い込んだ野良猫等と共に、子供たちは元気に、そして至極素直に育ってくれた。 それはきっとにわのせいばかりではなく、子供の成長期、私が海外出張で殆ど留守にしていた間、家と子供達を見守り、所謂世に言う教育母にならなかったかみさんの力が本当は大きいのかもしれない。 常に好奇心と学ぶ心を忘れず、知識より知恵を尊び、己の欲せざることを人に施さず、前向きに人生を楽しみ、少しでも世の為になることを願う社会人に育ってくれたのはこの上なくありがたい。
 



2月、冬の陽だまりで丸くなる我が家の猫、未だ庭に緑が無い冬の装いの時、植えた覚えはないが、何時の時からか、南側の軒下に黄色いクロッカスがいち早く咲き出す。







3月,、かえでの根元でラッパ水仙が黄色い花を咲かす。 玄関前のじんちょうげが周囲に強烈な匂いを放つ。 西のフェンス沿いに芝桜が咲き乱れる。













4月、玄関脇のノムラとかえでが赤と緑の見事なコントラストを競い、かえでの根元ではすずらんが白い花をつける。 南側のさつきの木の下には都忘れがひっそりと淡いブルーの花をつける。











5月、かえでの下に青いベルフラワーの塊り。 東側窓の外ににさつき、南の縁側につつじが咲き揃う。 駐車場のフェンスに真っ赤なバラの壁。 台所前の白い大きな牡丹。 











 6月、様々な色のアジサイが東側に青い葉っぱを隠し、南の縁側ではしゅうめい菊がミツバチを呼ぶ。





 7月、ダイニング前のおおばぎぼうし、リビング前のおりずるラン。 南東の隅のきんもくせいの根元にはカサブランカの大きな白い花弁が開き高貴な直りを放つ。 





 8月、朝顔が咲き、ダイニング前の山吹の植え込みが山吹色の花弁を垂れる。 





 9月、南西の角、しゅろの樹の下に生えている菊が咲き出す。


10月にはきんもくせいの良い香りをダイニングの前から漂う。


11月、山茶花。 玄関のもみじが冷え込んだ日に見事に紅葉する。 家に居ながらミニ紅葉を楽しむことができる。


よくも之程の草花達がこの狭い庭に住み着いたものだ。 猫の額程の狭い庭ながらも子供たちが我が家の庭に生育する草花に接しながら育ったのは大変幸運だったと言わざるをえない。 20数年の年月が過ぎると、越したばかりは、他所よそしく植わっていた数本の植木も幹も太くなりすっかり家に馴染んでいる。 植木の間の僅かの隙間に、自然に芽を出した様々な草花、或いは花屋で買い求めた草花が四季折々に采を添えてくれる。 

改めて自然の与えてくれる、植物の生命力が与えてくれる大きな力や自然の絶妙な調和の技を感じずにはいられない。 生物の多様性に、庭の草花に、そして小さな庭の手入れに四季を通じて惜しみない労力を注いでくれたかみさんに感謝。








林蔵@相模原 19/Apr/'08 (Updated on 26/Apr/'08)#302 

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