大磯ハイク
@Mar/'04 湘南、神奈川


JR大磯駅前から海岸通りに下る坂


昨日迄の晴天が嘘のように、あいにくの曇空。 でも今日はかねてから楽しみにしていたユニーク・クラブの大磯ハイキング。 気を取り直して家を出る。 途中大船辺りから遂に雨になってしまった。 この分では、今日の予定は多少変更せざるを得まい。 ユニーククラブのことである。 多少のことには臆せず行動を取るのである。 それにしても、この冬雨は頂けない。 多少の粋を超えて居るだろうか。 しかし冬雨も無駄では無かろう。 全ての生や現象にはその意味を持つ筈だ。

集合場所はJR大磯駅、09時58分。 東海道線下り電車は、雨に煙る大磯駅に着いた。 改札へ向かうと、同じ電車で着いたのか、AさんとYさんが改札を出ようとして居た。 今回の企画は私のヨルダン赴任に際しAさんが企画してくれたものだ。 他愛も無いことを話し笑い合える仲間達である。 こんな時間を持てるのがありがたい。

程なく、数分の差で他のメンバーも揃った。 AさんとYさんが駅前の観光案内所で、雨の場合のウオーキング・コースを聞きに行った。 この冬雨でもあくまでもウオークなのである。 この辺がユニーク・クラブたる所以であろうか。 恐らく、いや確実に他の連中であれば、この雨ではウオークは中止する筈である。 2人はなかなか戻らない。 様子を伺いに交番の傍の観光案内へ行ってみた。 すると、ボランテイアーの観光案内おじさんが、なお熱心に大磯町の観光スポットを大きなカラー地図と白地図を並べ、白地図に歩くコースを色鉛筆で示しながら、熱弁を振るっている。 その熱心さに負けて、2人は途中で切り上げられないのである。 私が入っていったのを機に話しの流れを変え、お礼を言って3人は案内所を出ることができた。



日本3大俳諧道場の一つ鴫立庵


さー、雨の中の行進である。 皆の服装を点検。 流石に皆雨でも歩ける装備である。 これなら多少は歩けるだろう。 駅前の戦後の混血孤児救済に資財を、身を捧げた澤田美喜記念館のゲートを見(土、日祝日は休館)、彼女の創設したエリザベス・サンダース・ホームの傍を通り、1号線沿いにある日本3大俳諧道場(ちなみに他の2つは、 京都の落柿舎と滋賀の無名庵)の一つ鴫立庵を訪ねる。 籐村邸に行く前に、国道一号線沿いにある老舗、パンの蔵で焼きたてのパンを数個買う。 昔の蔵をそのまま使用したパン工房で店舗部は極めて狭い。 つまり狭い場所に並べられる程度しか、一度には焼かないのであろうか。 並んでいるのは、釜から出てきたばかりの香りと温もりを放つパンばかりである。 天気が良ければ、このまま海岸通りに出て、太平洋を眺めながら、パンをぱくつくのだが今日は残念ながらそれは望めない。



国道一号線沿いにある“パンの蔵”: アンパンが旨い


細い曲がりくねった路地を縫い、籐村邸にやってきた。 庭に出てみると、邸の中に上品な御婦人が、なれた優しい口調で邸の説明を始めた。 歴史説明員ボランテイアーのようだ。 最近、このような形のボランテイアーが増えているのを見ると有難く、うれしく思う。 始めて訪れた者にはにわかに気付かない部分を、笑顔を絶やさず、それとなく説明してくれる。 籐村が晩年の2年余りを過ごした気に入りの別荘。 140坪の敷地に25坪の平屋庵。 庭の植え込み木々が庭を実際より広く深く静けさをかもし出している。

何せ冷たい冬雨である。 大磯プリンス・ホテルへ急いだ。 大磯温泉に浸かろうと言う魂胆である。 Aさんが、インターネットで大磯プリンス・ホテルには温泉スイート・セットが有るのを見つけて割引クーポンをプリントしてきてくれたのである。 温泉に入って、お茶セットが付くのである。 これはありがたい。 フロントで早速インターネットからプリントした割引券を見せると、フロントマンが心得たとばかり割引料金でレジを切ってくれた。 女性係員が、スイート(ケーキ)が今日は土曜日なのでお客が多く、お風呂上りになると好みのケーキがなくなる場合も考えられるので、温泉に行く前にお好みのケーキを選んで戴いても良いですよ、と親切にアドバイスをくれる。 我々はその親切に礼を言いながらも、注文は後にすることにして温泉へ向かった。 温泉は12時から入浴できる。 今は11時57分。 身障者の係員が、後数分お待ち下さいと懸命に出ない声で説明をしている。 そう言えば、先ほどフロントのお娘ーさんが、温泉客用の談話ルーム(ななかまど)があると言っていた。 行ってみた。 広い部屋である。 品の良いテーブルと椅子が10組程とTVが置いてある。 TVをつけたら丁度天気予報をやっていた。 何と今日は温度が朝から下がりっ放しだそうだ。 現在の気温3.3度。 外は寒い訳である。



大磯プリンスホテル内の大磯温泉     大磯プリンスホテル: カフェモロキニ


温泉浴槽からは相模湾が真前に開ける。 見事な眺めである。 海は雨に煙っているが、これもまた風情があってなかなか良い感じである。 塩分をたっぷり含んだ温泉である。 寒い冬雨の中を歩いた後の温泉は格別だ。 天にも昇るとはこのような気分のことを言うのであろう。 ちなみに温泉の用意は全く要らない。 温泉カウンターでタオルを2枚無料で貸してくれるからだ。

湯で暖まった後は、カフェ・ラウンジ、モロキニでケーキとホット・ドリンクを戴けるのである。 ハワイ諸島の島にちなんだカフェ・ラウンジ モロキニは海側が総ガラス張りの相模湾に面した、長くて広いラウンジである。 これまた眺めは最高、雰囲気もとても良い。 温泉に入らなかったグループと合流。 一際大きめのグループの輪が窓際の一角にできた。 なかなか贅沢なセッテイングである。 暫くスイートとドリンクとお喋りを楽しむ。 ユニーク・クラブには、これまで無かった趣向のハイソサエテイーな(?)時間を過ごす。 この趣向はこの天候には打って付けで最高の設定だった。

さー、大磯駅に戻り、予約をして戴いているイタリアン・レストラン、ブルーマリーンへ行こう。 バスはプリンスホテルと大磯駅の間をシャトル運転している。 バスに乗り込んだ。 お客は我々御一行と後数人だけだ。 発車迄、小学生の遠足よろしく大声で、寒いだの、一部の席にはヒーターが付いているだのと喋っていると、運転手がマイクで申し訳なさそうに、ヒーターのある席は2つしかございませんと、小さめの声で我々に一方的に詫びていた。 こんな言葉が、ヒーターの無い席に居る我々を暖かくしてくれる。



感じの良いブルーマリーン店内


 
       奥のバーカウンターは広い        プレートやカップは全てロイヤルコペンハーゲン


ブルーマリーンは、大磯駅から左側の坂を一号線に向かって下る途中にある。 木を基調にしたインテリアは感じが良い。 2階に席を取ってくれてあった。 2階がメイン・ダイニングとバー・カウンターになっている。 濃い色の木の床、年期の入った木のテーブル。 高い天井。 シンプルなデコー。 奥には長いカウンター席。 下り坂を見下ろす眺めがなかなか良い。 その向こうには相模湾が広がる。 料理が出てくる迄、赤と白のイタリア・ワインをボトルで戴く。 気の合う仲間とエキゾチックでシックな店内。 気分は最高。 料理が出てきた。 凄い。 プレートは何と全てロイヤル・コペンハーゲンなのである。 上質の物は上質のサービスを更に磨くのは本当である。 気分は益々高揚する。 最後のコーヒーや紅茶も、やはりロイヤル・コペンハーゲンのカップでサーブして戴いた。 始めてのお店であったが、料理もサービスも文句なしの大当たりで大満足。



イタリアワインの赤と白を楽しむ


 
様々な美味しいメニューが楽しめる


今日は、かなりの悪天候にも関わらず、私の赴任前のイベントとしての企画は、大変楽しく密度の濃いものとなったのはこの上なく嬉しい。 仲間に喝采。







20/Mar/'04 林蔵@神奈川 (Updated on 20/Jun/'08)#168

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