あき in たま
@Dec/'07 多摩、東京



マンション南側の公園のプラタナス並木


還暦を迎えるにあたり、住まいを替った。 老後の暮らしが多少なりとも便利で安心できるかもしれないと決断した。 この歳になってからの大きな買い物はなかなか思い切るのは大変だ。 そんな時、妻の一言は大きい。 何と言っても家に居る時間は圧倒的に妻のほうが多いのである。 結局、老後はペンション(年金)は余り当てにならないが、生涯現役で何らかの社会貢献を心がけながら暮らせば何とかなると言う結論に達した。 




メタセコイヤ通りの色付き
この古代の種から再生した大木は貫禄十分だ、私の好きな木の一つでもある


30年程前に東京都が巨額の資本を投入してニュータウンを多摩丘陵に建設した。 当時既に高度成長時代をほぼ乗り切り、人々は国家の豊かさと個人の豊かに大きな隔たりがあるのに気付き始めていた。 有識者や行政も遊びやゆとりの大切さを打ち出した時代でもあったかと思う。 ニュータウンは正にそのような遊びとゆとりの哲学を取り入れたタウンだ。 しかしニュータウン建設当時は必ずしも、その本来の目的は十分に果たせていなかったように記憶している。 当時としては都心から相当遠い山中に突然出来たニュータウンである。 住居区だけ西洋の街のような広い建物間の間隔があり、歩道もしっかり確保され、公園は随所に設けられているが、何しろ我が国御家芸の急こしらえである、ゆっくり造り上げられる筈のコミュニテイー基盤がまるで欠如していたのである。 いざ住んでみると 不便極まりなく、落ち着いた街の顔等一厘もなかった、と言った声があったように思う。 その後、30年の年月が流れ、並木の木々もそれなりの形になり、この街のコミュニテイーもようやく醸成されつつある感じがする。 




隣の丘陵にある学校傍の小公園、
かえでとケヤキにくぬぎ
街に遊びの空間を埋め込んだこのような小公園が多く点在するのは大変ありがたい




中央公園: 中央は広い芝生が陽光をあびる、
周囲1kmのジョギングコースを覆う木々もすっかり秋色、


駅から駅前大通はペデストリアンデッキで繋がり緩やかな登り坂を成し、真正面にパルテノン多摩(多目的劇場)が見える。 その裏手が広い芝生と池を有する中央公園になっている。 多摩は元々丘陵地帯をニュータウン化したものである。 起伏が多くあるが、その起伏を旨く利用して、幾つもある住居区は殆どバリアーフリーの歩道橋で繋がっている。 車道は起伏の谷間を走ると言う具合である。 中央公園には周囲1kmのジョギングコースが備わっている。 このコースはパルテノン多摩の前を通過する処で少し低くなった高低差のあるコースだ。 平坦なコースより変化があって面白いかもしれないが、お年寄りの方等には少しきつい(いや、失礼)コースかもしれない。 
 



 
図書館手前のケヤキと白樫の植え込みの色付き


市立図書館はニュータウン内には1ヶ所あり、拙宅からは徒歩で30分程の位置にある。 30分は遠いと思われるかもしれない。 だが考えように拠っては、散歩がてら適度な運動に丁度良いのかもしれない。 しかも30分の道は全て木々が適度に茂る公園内か、或いは十分な間隔を取った広い植え込みの中を歩くのですこぶる気分が良い。 さながら森林浴を兼ねる思いがする。  




中央公園の周囲に植え込まれた木々の色ずき
中央部の芝生は、秋の穏やかかな陽光にもまぶしく光る

 

道路と宅地は広いのり面を持つ樹木帯で隔てられている。 通り毎に植えられている街路樹は違っていて、ケヤキ通り、こぶし通り、メタセコイヤ通り、栃の木通り、プラタナス通り、桜通り、白樫通り、楠木通り、イチョウ通り、はなみずき通り等、様々な街路樹が茂り、四季折々にその色彩と姿を楽しむことができるのは嬉しい。  




車道沿いのケヤキ並木 


域内の多くの公園は専用の歩道や歩道橋、或いは建物間の植え込み等で繋がっている。 車道に出ずに自転車や徒歩で往き来できるのがとても贅沢な気分になる。 この住まいに決める前に訪れ、その美しさに見とれた宝野公園のソメイヨシノは今は葉を落とし、春の到来を待つ姿に変身している。 

 


この公園(宝野公園)は春には両脇のソメイヨシノが一斉に咲き誇る


ロンドンで見た程ではないが立派な鈴掛(プラタナス)通りがある。 夏場はその大きな葉っぱで日陰を作ってくれ歩行者を暑い日差しから守ってくれる。 夏が過ぎ、太陽の照りが影を潜める頃、その役目が済んだかのように緑の葉が真っ赤に変身して、やがて落ち葉となり歩道を埋め尽くす程になる。  

 


歩道橋から見下ろす車道沿いのプラタナス(すずかけ)並木



図書館手前の歩道橋
この地区の特色は宅地は台地状になっていて、歩道橋は全て階段無しのフラット
宅地内の歩道と同じレベルになっている、乳母車、車椅子、自転車等バリアーフリーの設計だ



住居区のある台地と台地を結ぶ歩道橋には、遊び心一杯の名前が付いていることが多い。 上の写真に見える恐竜橋等その一例だ。 

 


近くの図書館、歩いて30分くらい掛かるが
車道には一度も出ず、殆ど公園を伝って歩いて行ける



私が繁く利用する図書館は住宅街の只中にある。 駅や商店街からはかなり離れた場所にあるので、静かそのものだ。 2階の閲覧室の外に向かった机に座れば、窓の外は一面秋色に染まった木々で囲まれている。 マンションの自室より何倍も気分が良い。 おまけに暖房まで効いている、 これでは眠くなりそうだ。 




谷通り(多摩ニュータウン通り)のイチョウ並木、
並木の基部に植え込まれた、今は真っ赤に染まっている筈のどうだんつつじは、黄金の葉が積もりその片鱗も見えない



多摩ニュータウン通りのイチョウ並木も立派に成長した。 成長したイチョウの木々から黄金色に輝く落ち葉が歩道脇の植え込みをすっぽり覆い隠していた。  




近くの動物公園内もすっかり秋色になっている
アフリカから来たキリンやシマウマにとって、日本の冬は過し難いのではないだろうか


久しぶりにフランクフルトから息子一家が一時帰国した。 近くにある多摩棒物公園に孫達と一緒に行った。 動物公園と言うだけあって、園内はまるで広大な公園そのもの。 私達の子供達が小さい頃は幾度となく脚を運んだが、彼らが成長してからはすっかり足が遠のいている。 久しぶりである。 孫達に負けないくらいわくわくしながら出かけた。 素晴らしい天候に恵まれ絶好のお出かけ日和だ。 広大な園内は丁度秋色たけなわと言った感じで、動物と園内の秋景色を同時に楽しめるので、随分と得をした気分になる。 素晴らしい日本の自然に改めて感謝。

 


我が家の猫は幸せ者だろうか
子猫の野良猫は今ではすっかり飼い猫になってしまった



駅前の年末年始用電飾
年々派手になるのだろうか







2/Dec/'07 林蔵 @多摩 東京 (Updated on 21/Oct/'08)#297

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