龍勢祭
(農民ロケット)
@Oct/'10 吉田, 埼玉


龍勢(ロケット)打上: 椋神社前の城峯山頂上高く揚がる
夫夫の打ち上げチーム(龍派)は時勢や地域の願いを込め、様々は仕掛け花火を龍勢(ロケット)に詰める



秩父の山中に吉田と言う地区がある。 荒川の上流、山々に囲まれた昔から農業を生業としてきた普通の村落である。 そこに400年も続く龍勢(農民ロケット)祭があると言う。 筆者が所属しているボランテイア団体KRB(神奈川レスキューサポートバイクネットワーク)の仲間が各自忙しい日程を調整し、久しぶりのツーリング企画を持った。 この珍しい、そして豪勢な龍勢祭を見に行こうと言うのである。

 




龍勢祭会場: 椋神社に豊作と平和を願う400年続く村祭


現地、吉田龍勢会館に11時集合である。 多摩の家を午前6時に出る。 雨。 天候は西から回復に向かっている筈だ。 16号線を北上する。 途中間違って青梅方面に向かう国道411号にに乗ってしまった。 コンビにで道を尋ね、再び国道16号に戻る。 入間の小谷田交差点を左に折れ、国道299号に乗る。 雨は止み、雲間が見えてきた。 この分だと会場に到着する頃には、天気は間違いなく回復するだろう。 秩父へ抜けるこの国道は飯能市を過ぎるとたちまち山間部に分け入る。 山の匂いと雰囲気がヘルメットの中に満ちてくる。 交通量も少なく気分は申し分ない。 




龍勢打ち上げ台: 農民ロケットと言われるが本格的な火薬と飛行構造、更に精巧な花火の知識と技を必要とする


途中、道の駅 ”あしがくぼ” でバイクを止め、今日のリーダー役に携帯メールを入れる。 現在地連絡である。 リーダーは既に前日から悪天候の中、キャンプステイしている、そして朝方現地の様子を携帯メールで写真付きで連絡があったのだ。 これも訓練の内である。 KRBの活動はツーリングと言え、全て訓練味を帯びるのは気分に負担を掛けず遊びを通じて身体をいざと言う場合に対応させる為である。 




龍勢会館: 龍勢(農民ロケット)の歴史と仕組み等をわかり易く説明、展示されている


集合地、龍勢会館には1時間程早く着いた。 天気はすっかり回復している。 雨上がりの快晴である。 山は緑に映え清清しい。 先ずは龍勢会館を見学。 入場料300円。 龍勢(農民ロケット花火)の歴史や作り方、これまでの優秀作品等の紹介等がパネルと実物や模型で判り易く展示されている。 大量の火薬を使用する極めて危険なものであることがよくわかる。 ロケット技術もさることながら、昼間でも良く見える空中仕掛け花火の技も凄い。 




椋神社: 祭は龍勢をこの椋神社に奉納する神事




夫夫の龍勢打上グループが龍勢を打ち上げる前に打上の口上を述べる、
口上は時勢や地域の願いや讃えが朗々と読み上げられる



このお祭で打ち上げられる龍勢は、土地の椋神社に奉納される。 流派は27に上る。 毎年、その年の世情や願いを込めて龍勢はデザイン、製作され、打上前にグループの代表者により口上が朗々述べられる。 これが又、龍勢自体に劣らず見所(聞き所)である。 グループ毎に考え抜かれた口上が独特の節回しで披露される。 ダイナミックである。 口上と打上が15分間隔で朝から晩まで行われるのである。 口上の後、固唾を呑み打上の成功を祈る流派の面々。 失敗もある。 例え失敗しようとも惜しみない拍手が贈られる。 一年間並々ならぬ情熱と工夫と努力を注ぎ込んできた姿勢にフェアーな喝采を贈るのである。 それにしてもこのような山間部で400年に渡り、この高度な技術が必要な大仕掛けなお祭が続いているのは凄いことだと感じ入る。 労力に加え、費用だって相当なものである筈だ。 




龍勢祭の後、秩父の山々を堪能
関東一を誇るの鍾乳洞 ”不二洞” へ向かう



延々と続く龍勢の打上を午後1時過ぎまで楽しみ、その後は秩父の深山を少し走ることにした。 関東一と言われる鍾乳洞、不二洞があるらしい。 日本では山口の秋吉台、海外では中国の西安、レバノンのベイルート、イランのケルマンシャー等、様々な場所で鍾乳洞を見学する機会に恵まれた。 このような場所は全てかつては海底にあった地形だ。 海底に積もった石灰岩が隆起し今では地上に出、雨のしずくで長い年月の末、侵食、堆積したものだ。 自然はとほうもない時間を掛け、凄い芸術性に富む造形を我々に与えてくれる。




不二洞: 悠久の年月を掛け大自然が創造した地底の芸術品 ”金剛杖”


国道299号を西へ志賀坂峠に向けて進む。 秩父の山は深い。 雨上がりの空はあくまで高く青い。 気分爽快である。 志賀坂峠を過ぎると恐竜センターの案内看板に出くわす。 この辺りは恐竜の足跡や化石が多く出る地域だそうだ。 道の駅 ”上野” でトイレ休憩。 ここは山深い里、木工工房が併設されており、様々な作品や木材の切端を安価で提供している。 義父は手作業が極めて器用で本格的な木彫り仏像を彫る。 私には木の目利きが無いからどんな木が良いのかさっぱり見当もつかぬが、ここに無造作に積まれている大小の木片の山は喉から手がでる程欲しい物に違いない。 案内図を見ると不二洞は直ぐ近くだった。 




スカイブリッジ: 100m下の谷を跨ぐ吊橋、
橋の向こうは ”まほーばの森”、 オート・キャンプ設備、コテージ、レストラン設備、森の案内所等が整っている



自然が悠久の時間を掛け創造した芸術品を鑑賞した後、深い谷を跨ぐ吊橋スカイブリッジを渡り、まほーばの森を散策。 ここはオートキャンプ場になっており、コッテージ設備やレストラン、森林教室等が備わる総合森林体験場になっている。 冬場はアクセス道路が凍結するので利用は殆どできないが、夏場はさぞかし野外体験場には素晴らしい環境であるに違いない。 スカイブリッジでは童心に返りシャボン玉を深い谷に向かって吹いては悦に入る大人たちであった。





スカイブリッジから見る秩父連山




秩父路を駆ける筆者

























林蔵@吉田、埼玉 10/Oct/'10 (Updated on 17/Nov/'10)#348
  

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