ドバイ
@Jul/'12 Dubai, UAE


現地エージェントのエジプト人が用意してくれてた豪華な昼食


ドバイには何度もトランジットで寄ったことはあるが、空港の外に出るのは初めてある。 サウジ出張中、ドバイを訪れる機会を得た。 UAE(アラブ首長国連邦)国内のお客様訪問に合わせ、サウジの滞在ビザ更新の為である。 サウジのビザは6ヶ月のマルチビザを出国前に取得したが、一回の滞在が30日以内と定められている為、1ヶ月に一度は国外に出てビザの滞在期間をリセットしなければならないのである。 夜9時リヤド発のエミレーツ便でドバイに向かう。 夕刻6時、職場から泡立たしくホテルに戻り、移動用ラフな服装に素早く着替え、お客様訪問用にスーツバッグに最近リヤドで新調したバレンチーノのスーツとワイシャツを入れ社用車の運転手が待っている地下一階へエレベータで急ぐ。 リヤド空港(King Khaled International Airport)からの出国は初めても同然。 どれ程の時間が掛かるか分らないので、時間に余裕をもってチェックインしておきたい。 空港には30分程度で到着。 リヤドの中心街は帰宅者の車で混雑しているが、数kmも走ると郊外に出る。 砂漠に伸びる高速道路をトヨタの大型バンは快適にクルーズする。 出発ロビーはさほど大きくなく、人でごったがやしている。 エミレーツのカウンターに並んだ。 表示案内があまり親切ではなく、進みの遅い列でやや心配しながら順を待つ。 こちらの人達は概して荷物が多い。 一人当たり何個もの大きなスーツケースをチェックインカウンターに運び込んでいる。 当然重量が超過する場合が多く、値引き交渉が延々と続くのが常だ。 私は書類カバンとスーツバッグだけである。 預ける荷物はない。 荷物が無いとチェックインは至極簡単である。 出国審査の列は意外に短く、スムースに通過。 30分程度の余裕をもってチェックインを済ませることができた。 出発ゲートはやや大きな円形をしたサテライトが一つあるだけ。 ドバイ行きは13番ゲートである。  サテライト内にはカフェが2ヶ所と小規模な免税店がある。 13番ゲートで出発を待つ人々を眺めると改めてアジア系の女性が多いことに気付く。 彼女たちは所謂メードさんであろうか。 いずれもイスラムとお見受けする。 インドネシアやマレーシアから当国に働きに来ている人達だろうか。 休暇で一時帰国をするのだろうか、それとも契約期間終了し帰国の途に着いているのだろうか。 いずれも楽しそうな顔をほころばせている。 久しぶりの帰国に違いない。 家族や親しい友人に会える期待に胸が膨らんでいるようだ。 少なくとも今の私の心境よりはずっと幸せなような気がするのだが。
 




メルデイアン系のスイート部屋: 台所から


席は主翼の上、エマージェンシー出口の前、詰まり離着陸時CAが対面に座る席である。 隣はイギリス人とインド系サウジ人。 英国人はドバイで働いて4年になる会計監査員、インド系サウジ人は休暇でインドの友人に会いに行くのだと。 我々3人はCAからアンケート用紙を渡された。 3人ともぶつぶつ言いながらアンケート用紙を埋める。 其のうちにCAが我々3人に景品袋を持ってきた。 途端に3人は機嫌ががよくなる。 採点は満点だとか、ほざく。 離着陸時対面に座ったCAは25歳のギリシャ人、エミレーツでは1ヶ月目だと言う。 ギリシャは今財政危機で大変だけど、良いところだから是非遊びに来てくださいとリップサービスも上手い。 ドバイに到着する時刻だが、搭乗機の飛行航路をモニター画面で見るとペルシャ湾上空をドバイとは反対のイランの方向に飛んでいる。 どうもドバイ空港が混んでいて、上空を旋回しながら着陸許可を待っているらしい。 時刻は午前0時過ぎ。 ドバイは眠らない空港、中東の一大ハブ空港の実感を受ける。 ようやく着陸許可が出たようだ。 搭乗機は空港に向け降下を始めた。 ランデングはかなりのラフランデング、すかさずインド系サウジ人はCAに先ほどのアンケートシートを返してくれと(冗談で)言う。 評価を書きかえるからと。 

空港は清潔でスペースがゆったり取られており、機能的で多くのショップが終日営業している。 ハブ空港の条件をすべて整えている。 毎回思うことだが、ここは中東だろうか。 スタッフの殆どがアジア系の人達だ。 シンガポールか香港と言われても少しも疑うことがないだろう。 イミグレも親切で迅速。 預けた荷物はないので、税関をすり抜け、タクシー乗り場へ向かう。 案内表示もしっかりしている。 タクシー乗り場では専任の案内係りが待ち客をてきぱきと捌く。 客待ちをしているタクシーはいずれも新車のように磨き上げられて整然と並んでいる。 全てのタクシーには新型のメーターがきちんと取り付けられていて安心する。 タクシーに乗り込み、ホテルの名を告げた。 運転手はちょっと困った顔をして、同名のホテルがドバイには2つあると言う。 そんなことは聞いていない。 少し焦る。 空港に近いほうに違いないと直感で決めた。 空港に近いほうへ行くようお願いした。 道路は広く新しく一点の曇りもなく完璧に整備されている。 両脇に聳える建物はピカピカに飾り立てられており、建物と建物の間は隅から隅まで緑で覆われている。 もちろん貴重な水をふんだんに与えている結果であるが。 

10分足らずでホテルに到着。 ホテルは大型ショッピングセンターの間、地下鉄駅の前という至極立地条件の良い場所にある。 メルデイアン系のスイート型ホテルだ。 フロントには深夜にも関わらず欧州系の女性スタッフが優雅に対応してくれる。 念の為、先に到着している筈の関係者が投宿しているか尋ねてみると確かにその名があった。 ホテルは間違っていなかった、一安心である。 部屋は長期滞在にも対応できる台所付スイートである。 かなり広い。 これで120USドル程度なのだから、地の利を考えると決して高くはない。 翌朝、地上階のレストランへ朝食を取りに降りる。 ここではアジア系女性スタッフがいる。 どこに行っても男性のサービススタッフしか居ないリヤドとはおよそ雰囲気が違う。 アジア系の女性スタッフがおもむろに席に来て珈琲かテイーかを尋ねる。 ブラックコーヒーをお願いする。 その時、何気なく私の名を聞くのである。 それが実にわざとらしくなくごく自然になされる。 そして私が食事を終えレストランを出る際に、私の名を添えて、きょうも良い日でありますようにと、送り出してくれるのである。 欧州の一流ホテルのしぐさである。 




メルデイアン系スイート: 本格的な台所が付いている


ドバイでの仕事が終わった。 ドバイでエージェントしているエジプト人のB氏が自分のアパートでエジプト料理のお昼を招待しようという。 願ってもない機会である。 我々3名は彼のアパートを訪れた。 今は単身だが、其のうち家族を呼ぶらしい。 しばらく歓談をしている内に豪華なエジプト料理が食卓に並んだ。 彼の料理の腕はなかなかである。 おいしい昼食と歓談で時間はアッと言う間に過ぎる。 この後もう一つのエージェントに会うことになっている。 既に午後の6時前である。 そのエージェントは6時迄事務所が開いているらしい。 場所はすぐ隣のビルだと言う。 急ぎ移動し、そのエージェントへ向かう。 社長は米系ヨルダン人と聞く。 実際に会ってみるとややインド人的アラブ人の風格を有している。 彼は地域の指導者や経済の動きに詳しい。 流石にドバイのビジネス界で生き抜いているだけのことはある。 底深い資質を感じる。 彼から一般的な地域の情勢や専門的な動向を伺い、一旦ホテルに戻ることにした。 私は既にホテルをチェックアウトしていたので、トルコから来ている関係者の部屋にお邪魔させていただき、移動用の服装に着替える。 そして空港へ向かう前ににショッピングセンターで個人用のPCが入る少し大きめのリュックを購入することにした。 ショッピングセンター内の品ぞろえは凄いの一言に尽きる。 香港やシンガポールのマーケットと何ら変わらない。 広大な店内に所狭しと膨大な種類と量の商品がやや雑多にひしめくと言った感じ。 ここでもスタッフは殆どアジア系女性だ。 お目当てのリュックをゲットした。 ドバイ滞在の最後は皆で少し豪華な食事をすることに決まっているようだ。 空港に隣接するメルデイアンホテル内に構える日本食レストラン ”菊” に行くことになった。 メルデイアンに入っていると言えば一流である。 ここドバイはお魚も新鮮なものが手に入る。 お酒も問題なく飲める。 私はあまり飲めないが、生の小を頼んだ。 閉めは特上チラシ寿司、味は日本で食べているのと何ら変わりはない。 つまり旨いということである。 これで190EAD(約4000円)。 一流ホテルの一流レストランでの食事である。 決して高くはないであろう。 久しくぶりに本格的なレストランで上等の食事をした満足感に浸る。 皆にお礼を告げ、一足先に空港に向かった。 深夜2時の便である。 リヤドには朝3時着、ホテルに着くのは4時頃になるだろうか。 ドバイの空港は眠ることはない。 深夜にも関わらず全ての御店が営業している。 人の数も昼間と変わらない。 改めて国際ハブ空港の実態を見せつけられた思いである。 

















林蔵@Dubai 4/Jul/'12 (Updated on 6/Jul/'12)#420
  

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