リヤド朝散歩
 
@Aug/'12 Riyadh, Saudi Arabia


キング・ファハド・メデイカル・シテイーの周囲に設けられたゆったりしたリハビリ歩道


気温34度〜38度、朝と言えどもこの程度はある。 だが湿度が極めて低いので歩こうと思えば歩ける範囲の気温である。 リヤドに来て運動量の少なさから、朝散歩を始めた。 最初はとても無理かと思っていたが、歩き始めるとそうでもないのに気付く。 多少汗ばむ程度で暑さによる苦痛は全くない。 6時から7時の1時間ばかりの朝散歩がリヤドでの日課になった。 雨は降らない。 この日課は変更を余儀なくされることはない。 




リハビリ歩道: 緑の植え込みが続く、
街の通りと違い、建物からのエアーコン吹き出しがないので気分は爽快



宿舎から北東に15分程歩いたところに、広大な敷地を占めるキング・ファハッド・メデイカル・シテイーがある。 周囲には広い歩道が緑の植え込みを伴い設けられている。 この広い歩道はどうも患者のリハビリに使われるもののようだ。 周囲約4km、丁度いい散歩コースになる。 ここなら街の歩道に比べ、建物からのエアーコンの吹き出しが無い分、気温も幾分低い筈だし、何よりも気分が全然違う。 更に工事で歩道が途切れることもない。 この環境は優雅な気分さえする。 




植え込みには定期的な散水が欠かせない
このような自動散水弁が全ての植え込みに備わっている



街の所々に気温表示板がある。 下の写真は朝6時半頃撮影したもの。 夜明け前の最低気温時刻から、いくらも経っていない時刻である。 この時間で38.4度、体温より高い気温だ。 それでも慣れれば暑さによる苦痛はない。 昼間の50度前後の気温では流石に顔面に痛みを感じるが。 だが乾燥しているせいと、街中はいたる所に工事現場があり街の空気は極めて埃っぽい。 からからに乾いた土壌がむき出しになったままなのである。 建材や砂等は車道に大きくはみ出し積まれたまま。 歩道の確保のような親切さは微塵もない。 注意標識さえなく、勿論補導員等居る訳もない。 そして、この国では工事が始まると長いののである。


朝6時半の気温: 38.4度、体温より高いが汗は殆どでない


ファースト・フード店は結構ある。 今はラマダン中で夜8時半以降しか開かないが、普段の時期なら朝から営業している店もある。 散歩の途中に寄ることだって可能だ。 ただ余り寄る気がしないのは、店員とお客が全て髭面の男性であるからだろうか。 この国では女性店員が禁止されている。 女性用下着店では、問題もあるようだ。 女性が下着を購入する際には、結構詳しい体のサイズを聞く必要があるそうだ。(この辺の事情はあまりよく知らないが。。。) 数日前、NHKワールドの特集でやっていたのだ。 リヤドのある婦人用下着店で女性客がインタービューに答えていたが、一種セクハラ的な嫌悪感を持つらしい。 女性下着店だけに限ってでも女性店員を許せば良いのにと思ってしまう。 そこは宗教的に厳格なお国柄、そうも簡単にゆかないのだろう。



バーガーキング: このお店は宿舎から歩いて15分程度
やはり、男性客専用入り口、家族客(女性客)専用入り口があある、内部は完全に仕切られている


街を歩くと、少なからぬ場所で下の写真に見るような水飲み場を見かける。 これは乾燥したイスラムの国特有のものだ。 パキスタンでもヨルダンでも見かけた。 ヨルダンではもっと本来の姿(昔の姿)に近い素焼きの土器に木製の蓋とひしゃくにコップと言うものを良く見かけたが。 昔、旅人達が砂漠を横断し辿り着いたオアシスや、途中の集落で喉の渇きを癒す、旅の困難に晒される人々への思いやりの仕組みである。 




無料水の飲み場: 乾燥したイスラムの国で良く見かける
旅人(通行人)の渇きを癒す為のもの



この街に来たはないは、街に野良猫など居ないだろうと思っていた。 何しろ日中の気温の高さは我々の感覚からすると異常である。 だが、住んで少し時間が経つと、意外に多くの野良ネコが生息しているのを知ることになる。 勿論彼らは野外に棲む。 我が家の2匹の猫も同じであるが、夏は家で一番涼しい場所、冬は一番暖かい場所を難なく見つけて陣取るのは、猫たちの特技のようだ。 ここの猫たちも、その習性は全く変わらない。 巧みに涼しい場所を見つけては無防備な姿を見せる。 その場所の一つが車の屋根だ。 猫が居なければそこが周囲より温度が低いとは知る由もなかっただろう。 特に朝方、家の周囲に路上駐車した車の屋根にだらしなく寝そべっている姿を見ることが多い。 




朝方、車の屋根で涼を取る野良ネコ: 朝は車の屋根の方が温度が低いのだろうか




建物のガラスドアーの底部から吹き漏れる冷気を楽しむ野良ネコ


キング・ファハッド・メデイカル・シテイの周囲の散歩道に設けられた緑の植え込みは自動散水弁が備わっており、新鮮な緑が維持されているが、一般の家の周囲にはそのような贅沢な設備がないことが多い。 それでも、緑は存在するのだ。 この街ではそのような街路樹にアカシアが植え込まれている場合が多い。 ミモザの名でも知られるアカシアは、ケニアのナクル湖ナショナル公園の森や、ナイロビの街路樹に見られた。 ここでもケニア程大木ではないが、車に日陰を与える程度には大きくなるようだ。  




アカシヤの街路樹: アカシアは乾燥に強い



基本的に車社会の国である。 街の幹線道路の整備は行き届いている。 道幅は広く碁盤の目の如く整然と伸びる車道。 ジャンクションは、殆どが緑の芝生と適当な植え込みを伴った立派な立体交差。 だが歩行者は概して疎外されている。 広い道路を横切る歩道橋や横断歩道が全くと言って良いほど見られない。 この炎天下歩く人等、先ず見かけないからそれで良いのかもしれないが。 私のような変わり者にとっては大変困るのである。 キング・ファハド・メデイカル・シテイの東端に立体交差のジャンクションがある。  このジャンクションは湾曲する車道に沿って歩道が途切れることなく付いているので、ジャンクションを車同様に歩いて渡ることができる。 そして、メデイカル・シテイ側から、ジャンクションを渡ると、そこにはマリオット・ホテルが君臨する。 ここのアトリウム・カフェがお気に入りである。 何しろ8階迄の吹き抜けの下に広がるカフェは開放感満点。 カプチーノと水を頼んだ。 ボーイが、水は国産か輸入ものかどちらにしますか、と聞いてくる。 水の種類、ガスかノンガスかを聞かれることはあっても、国産か、輸入ものかと聞かれるのは初めてだ。 国産を頼んだ。 出てきた水はネッスル製だった。 ちなみに輸入物を頼むと エビアンが出てくるとのことだった。        




ミリタリーホスピタルとマリオットホテルの間に跨るジャンクション:
緑の芝と植木の手入れ(散水)に連日何人もの作業員が従事




マリオット・リヤド:
ロビーに併設されたアトリウム・カフェは8階迄吹き抜けで素晴らしい開放感が楽しめる
正面にはラマダン特別ランチの垂れ幕がかかる




マリオットのカプチーノ: ソーサー&カップはこの時期用、ラマダン調と凝っている



軒先に停めてあったバイク: BMW R1100
この暑さをものともせぬ強者ライダーが要るのは立派




レストランの家族(女性)専用入り口



レストランの男性専用入り口: 性差別ではないかとひがんでしまう


ガソリンの値段がとにかく安い。 下の写真はガソリン・スタンドのレギュラー・ガソリンの単価を表示している。 0.45 SAR(約10円)/リットル。 確実に水より安い。 スーパーで500ccのミネラル・ウオーターを買うと1SAR(約22円)、リトルに直すと、2SAR(44円)、何とガソリンの4倍である。 そんな訳で殆どの人は燃費等気にしない。 したがって大排気量で大型のアメ車が多い。 勿論日本車も健闘しているが、韓国現代自動車がジワリとシェアーを伸ばしているのも気になる。 韓国勢が元気なのは自動車ばかりではない。 家電製品は特に顕著だ。 ソニーよりサムスンのテレビのほうが人気があり、価格も高い。 もう、完全に負けている。 韓国の家電にはその国独特のニーズにあった作りがある。 日本製は、品質や性能では決して負けていない。 むしろ高品質である。 だが、使い勝手となると断然韓国製のいほうが勝るのである。 6年程前、ヨルダンに滞在中、観光地で韓国の青年に出会ったことがある。 その時、その青年に聞いたのは、彼は韓国の家電メーカーに勤めており、1年間ヨルダンで生活をしているとのことであった。 何をしているのか聞くと、毎日、国中を回って歩いていると言っていた。 後程知ったのだが、彼こそサムスンか、類似会社の幹部候補生だったのだろう。 彼らは長期に掛けて人と金を投資し巧みに市場調査をしていたのだ。




ガソリンスタンド: ガソリンの値段表示 0.45 SAR(約10円)/リットル



内務省: まるでFS映画に出てきそうな建物


お酒は全くない。 従って居酒屋もバーもない。 ホテルや、レストランでもお酒は出ない。 私は酒類を殆どたしなまないから、余り影響はないが。 その変わり、ジュース類は豊富だ。 街のフルーツ・スタンドは品ぞろえも豊富で、少し歩けば見つけることができる。 カフェも多い。 残念なのは、お店で働いているスタッフも、お客も全て髭面の男ばかりということだ。 カフェにも、入り口はちゃんと男性用、家族用と2つあるのである。




街のジューススタンド: 
お酒がない分、このようなジューススタンドが充実している
ラマダン中は夜8時半以降しか開かない




シュワルマ屋: 名前も店構えも何となくモダン
ローカル食はやはりローカル風の店構えの店で頂きたい




果物: スーパーでは豊富な種類が手に入る
平べったい桃がお勧め、少し固めで甘い




幼稚園: どこの国でも幼稚園は明るい色彩で派手に装飾されているので
一目でそれと識別できる




モールもラマダン装飾: 月のモチーフが特徴
ラマダンは新月から新月迄の1ヶ月
新月の判断は気象台ではなく、モスクの偉い坊さんが目で見て判断する
従ってその日にならないとわからない



日本食は、今や世界にそのシェアーを広めつつある。 ここリヤドにも、何軒かある。 10年前に訪れた時からある東京レストラン。 散歩道の範囲にあるのがこの寿司良だ。 店構えがまるで日本食店らしくない。 経営者は地元の人だが、内容は決して悪くない。 お昼に一度行ったことがあるが、寿司の盛り合わせ(8ピース)で70SAR(1500円程度)。 お昼には少し高いが、砂漠の国での寿司である。 この程度の値段は覚悟せねばなるまい。 8ピース(マグロ、サーモン、卵、イカ、きゅうり、白身、イクラ、貝)のセットだった。 度々利用する訳ではないが、このようなお店があると言うだけで気分が豊かになる。 心の余裕ができると言うか、潜在的な安心感を得られるからだろうか。




日本料理店: 寿司良
ローカル経営の店だが味は悪くない、お昼で1500円程度




















林蔵@Riyadh SaudiArabia 10/Aug/'12 (Updated on 19/Aug/'12)

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