アラビア湾岸に面する港街ダンマン。 ここから首都リヤドに伸びるデザート・ハイウエー40号線。 この国でもっとも重要な主要幹線ハイウエーの一つだ。 ダンマンで荷揚げされた様々な貨物は、 このデザート・ハイウエー40号線を18輪大型トレーラーが殆どじゅじゅ繋ぎ状態で搬送される。 首都リヤドのまさに生命線と言ってもよかろう。 その様はバスの車窓から壮観とも言える景色を夜の砂漠に展開する。
ダンマンのビジネスホテル
部屋は全てスイートで2部屋、台所付になっている、長期滞在型である
私は今、ダンマンから首都リヤドに向う高速バスに乗っている。 休日を利用してダンマンでの内部打合せを終え、夜間高速バスでリヤドへ戻る移動中である。 500kmの距離をバスは約6時間で走る。 デザートハイウエーはほぼ一直線にダンマンとリヤドを結ぶ。 森も湖もなければ山も無い。 多少の高低はあるが、地表を移動する者にとってその起伏を感じることはない。 平坦な砂漠に砂丘が波打つ。 ほぼ中間地点でお祈り休憩の為、モスクのあるサービス・エリアに30分程度停車する。 お祈り停車中、私は手持ち無沙汰でバスの周辺をうろうろする。 日本や欧州のようなサービス・エリアには気の利いた アウトレットやフードコートは無い。 せいぜい、倉庫のような場所に埃の被った商品を並べたキオスクと、 かろうじてそれと判る立ち飲みのカフェ・スタンドがある程度。 私を除いて殆どの乗客は現地の方々である。 皆、敬虔なムスリムだ。 モスクに入る前に、手足を洗い、口を濯ぎお祈りの準備をする。 モスクの中では、自然と誰かの推薦で代表者が決まり、代表者の音頭で、お祈りが始まる。 イスラムの教えでは1日に5回のお祈り時間が定められている。 暗闇から明るくなる境時、日の出時、太陽が真南の位置時、 日没時、光が無くなり暗闇が訪れる時の5回である。 だが旅行中等、定められた時間にお祈りができない場合は、このようにできる時間にお祈りをすれば良いのである。 多少の融通性を持っているのがいかにも人間社会を律する宗教の掟と言うべきか。
ダンマンバスターミナル: リヤド行き定期バス
片道6時間、60リアル(約1300円)
お祈りが終わり、再びバスはデザート・ハイウエーに戻る。 規則正しい間隔で18輪大型トレーラーを追い越して行く。 お祈り休憩から2時間余り経つと、デザート・ハイウエーでは、トレーラーの後部ライトしか見えなかった地表にリヤドの街の灯が優しく視界に浮かび上がってくる。 街の灯が闇夜から安堵と希望と喜びを与えてくれる瞬間だ。 何か宗教的なオーラを感じるのは私だけだろうか。 キリスト教やイスラム教の発祥した時期の街の灯は、砂漠を旅するものに取って、もっと鮮烈でありがたいものだったに違いない。 街の灯の中に戻った。 アパートのベッドで安穏と就寝できる境遇に感謝。
林蔵@Dammam SaudiArabia 28/Sep/'12 (Updated on 4/Oct/'12)
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