アレキサンドリア
@Apr/'06 Alexandria, Egypt


地中海に面したレストラン"Fish Market"のテーブルには一輪のカーネーション生花
平和で静かなアレキサンドリアの湾が広がる
外から看板を見た時は安レストランかと思いきや超高級レストランだった


カイロ滞在2日目、今日は地中海に開けた街、アレキサンダー大王がBC332年にこの地を占領した時自らの名を授けたた街、クレオパトラがカエサルに逢う為特別仕立ての船でローマに向かった街、アレキサンドリアへ行ってみよう。 ホテルのコンシェルジュに聞くと、カイロからは列車で行けるらしい。 2時間程度の旅である。 1等、2等、3等があり、料金は1等で片道35エジプト・ポンド(700円)地度だという。 列車はラムセス中央駅から出る。 8時のサレキサンドリア行きに乗ろう。 ラムセス中央駅は地図を見ると、歩いて行ける範囲にあるようだが、安全を取ってタクシーを利用することにした。 ホテル前の流しのタクシーを拾う。 同じタクシーでも、ホテルの玄関で乗ると値段は2倍位になる。 ホテル専用のタクシー(メルセデス)だと更にその2倍の値段になる。 20エジプト・ポンド(約400円)で駅迄行ってもらう。(それでも、多分現地の人の2倍は払っているに違いないが。) 



Ramses中央駅:
アレキサンドリア行きの列車はここから発着する。



初めての場所で目指す場所を探すのは嫌ではないが、極めて苦手でもある。 何処にキップ売り場があるのかは、にわかには判らない。 インフォメーションは無いが、ツーリスト・ポリスと書かれたボックスが駅の脇にあった。 いかつい男性のポリスが数人たむろしている。 そんな彼らに聞いてみた。 ”チケット売り場はどっち?” すると、以外にも、ポリスの一人が、私を先導してチケット売り場へ案内してくれた。 其処が、3等席の売り場だと言うことは其の時点ではわからない。 チケット売り場のスタッフは英語が辛うじて通じる。 ”次の(8時の)アレキサンドリア行きのチケットを1枚下さい。” と言ってみると、”8時のは売り切れだと言う。 ちょっとがっかりしていると、例のツーリスト・ポリス(英語は余りわからない。)が私の袖を引っ張り、駅の外へ連れて行こうとする。 どうも胡散臭い。 騙されるのではないかと不安がよぎる。 用心しながらも彼の後をついて行った。 何と其処には、別のキップ売り場があった。 料金は25エジプト・ポンドであった。 そこで初めて此処が2等のキップ売り場であることを知る。 8時のアレキサンドリア行きのキップをゲットした。 朝から一仕事をこなした気分にひたる。  



 
アレキサンドリア駅
駅名が駅舎にも、駅構内何処にも、何処にも無い?


列車はナイル川沿いの農業地帯を北上する。 其の内にうたた寝をしてしまったらしい。 隣の男性から揺りこされて目が覚めた。 アレキサンドリア中央駅に着いたらしい。 私は隣の男性に行き先を伝えた覚えはない。 それでも、彼は人目で旅行者と判る私が降りるのはアレキサンドリアに違いないと言う推察から、親切にも私を起してくれたのであろう。 そんなところにも、エジプト人の素朴な人柄が感じられ、そして大変ありがたく思う。 アレキサンドリアの街の規模にすれば、以外に小さな駅である。 地図、案内書を遂に手に入れずに来てしまった。 駅の裏側に出たらしい。 右も左もわからない。 太陽の影を頼りに北の方向へ、とりあえず線路に沿って歩き出した。 金曜日の午前、街は眠ったかのように静かである。 ガードを潜って反対側に出、駅の正面迄行けば案内版が在るのではと淡い期待を抱き、駅の方面へ戻ってみた。 期待通りの街の案内地図があった。 これはありがたい。 駅から北に伸びる大通りを真っ直ぐ進めば、海岸には以外に簡単に出られそうである。 軍設備を右手に見ながら暫く歩くと、眼前に紺碧の地中海が飛び込んできた。 生命の母なる海は、何時見てもその恵みと癒しを感じ取らざるを得ない。 大げさに言えば2年間想い続けた地中海である。 



アレキサンドリア駅前通り: 海に平行して延びる大通り 



海岸通りは広く、立派なプロムナードを備えている。 気分は南仏と何ら変わらない。 恋人たちの格好のデート・コースになっているらしい。 休日の午前、多くのカップルが恋を語り合っているのを横目にみながら西へ歩く。 プロムナードは何処までも続くかのようだ。 ビーチはあくまで静かで、白い砂浜は広がる。 ビーチ・パラソルも既に夏の気分を演出している。   




海岸通りプロムナード: 
静かな地中海、綺麗に整備された広い歩道 カップルの格好の散歩道 
 


2時間近く歩いただろうか。 時間は昼になろうとしている。 ”Fish Market” の看板を目にしたのはその時だった。 アレキサンドリアで魚料理を頂くのも悪くない。 入ってみよう。 店内に足を踏み入れた瞬間、何となく違和感を感じる。 高級なのである。 外から見た感じは日本のファミレス程度に思ったのだが。 テーブルには2重の白いテーブル・クロス。 慇懃な態度のウエーター。 まー、入ってしまったのである。 ここにしよう。 先客は仏人の家族のような華やかな中年の女性2人に若い女性2人組。 窓際の席で盛んにデジカメやビデオ・カメラで静かな湾を背景に撮影をしながら、お喋りに余念がない。 白色が基調の店内に、白色のファッションに身を包んだその一団の振る舞いがとても優雅に見える。   




地中海ビーチ: 
ボーダフォンのパラソルが幾何学的に並ぶ 気分はリゾート


メニューを眺めたが、魚料理の値段が何処も空白になっている。 時価だろうか? 前菜のサラダと魚のグリルを注文した。 さて、魚である。 ボーイが、 ”魚はお決まりでしょうか?” と訪ねてくる。 其の時、やっと注文のシステムを理解した。 奥にある、フィッシュ・ケースの中から魚を選ぶのある、そして目方を量って貰うのである。 そうすれば、初めて自分が注文した魚料理の値段が決まると言う仕掛けである。 早速、フィッシュ・ケースの中から適当な魚を選び、目方を量って頂いた。 500g足らずで、値段は25エジプト・ポンド(500円)だと出た。 これは魚だけの値段。 飲物、サラダ、税、サービスは別である。 さー、これで後は席で待つだけである。 周囲を取り巻く広いガラス窓は、この時期開け放たれている。 暫し、湾に浮かぶレジャー・ボートや漁船、弓なりの湾の対岸に浮かぶアレキサンドリアの遠景を眺めながら時間が過ぎ行くにまかす。 



Fish Market(レストラン)内部: 魚は選んだ後、目方を量り値段が決まる


美しい静かなアレキサンドリアの湾景を楽しみながら、美味しい魚料理を頂いた後、更に湊の突端にある要塞跡へ向け歩く。 アレキサンドリアの太陽は既に強い日差しを容赦なく降り注ぐ。 空気は乾燥して居て気持ち良いが、急ぎ足で歩く癖のある私は汗ばんでいる。   



   
湊: 
漁船やレジャーボートが処狭しと停泊していて、南仏、ニースやマルセイユを思い起こさせる




途中、道の傍に小さなモスクがある。 モスクの入り口は通りに面している。 そのドアーの模様が下の写真である。 イスラム芸術は偶像を一切取り払っている。 イスラムの掟は宗教活動に留まらず、生活の全般に及ぶ。 そんな訳で、このような素晴らしい幾何学的な模様をそちこちでお目に掛けることができる。  



海岸通りのモスクの装飾ドアー


湊の防波堤の突端にある要塞跡に到着した。 ここは観光名所らしい。 多くに観光バスやタクシーがひしめき合って居る。 プロムナードも一際広く立派な造りである。 露天の土産売り屋も開店に余念がない。  


 
シタデル跡へ伸びるプロムナード:
南フランスの明るさを感じる ここはアラブの国だろうか

 
要塞跡を一通り見学した後は、再び歩いてアレキサンドリア駅迄戻ろうか。 実は帰りの列車の時間を調べていなかったのである。 何時もの暢気な一人旅の私の癖だ。 アレキサンドリアを5時頃には出ることにしよう。 余り遅くなると、列車のサービスが無くなるかもしれないし、カイロには2時間掛かるから、カイロに余り遅く着きたくない。 既に時間は3時を廻っていた。 これから歩くと、5時にはアレキサンドリア駅には戻れそうにない。 トラムがあった。 トラムは海岸沿いに走っていた筈だ。 トラムに乗れば、歩いて来た方向に戻れるだろう。 トラムの駅は直ぐに見つかった。 早速トラムに乗り込んだ。 どっちの方向に行くのか判らない。 英語は余り通じそうに無かったが、身振り手振りで聞いてみた。 やはり、このトラムは反対方向らしい。 戻る方向は反対路線のトラムらしい。 反対路線に行く。 停まっていたトラムに乗り込んだ。 何か車内の雰囲気がおかしい。 女性客ばかりである。 もしかすると、、、。 其の内若い女性が私に近ずいてきて何やら言っている。 どうも英語らしい。 とっさのことで意味がわからない。 聞き返してやっと意味を理解した。 やはり、この車両は女性専用車だった。 ヨルダンではトラムはなかったので、そんなことを考えたことがなかった。 エジプトはれっきとしたイスラムの国だ。 ある程度以上の年齢の男女同席は許されない。 すごすごと隣の車両へ移動した。 
  

 
 湊の突端にあるイスラム時代のシタデル跡の覗き窓から、
現代の湊の防波堤越しにアレキサンドリアの町を望む



首尾よく、アレキサンドリア17:15発の列車に乗り込むことができた。 此処でもキップ売り場を間違えたらしい。 キップ売り場は、1等、2等、3等、それぞれかなり離れた別々の場所にあるのだ。 慣れていないとどうも面倒である。 購入した切符の値段は16エジプト・ポンド。 来た時より更に安い。 3等だろうか? アレキサンドリア17:15発の列車は、来た時に比べて多くの駅に停車する。 つまり普通列車と言うことである。 料金の安い訳がやっと理解できた。 3時間掛かり、20:10、既に夜の帳もすっかり降りたカイロのラムセス中央駅に到着した。 投宿しているナイル・ヒルトン迄、夜の散歩を兼ねて歩いた。 地図では直ぐに見えてもかなりの距離だ。 約1時間後、ナイル川沿いのホテルに到着。 ハーデイーズで軽く夕食を済ませ、到着した日に利用したインターネット・カフェに行き、メールをチェック。 インターネット・カフェはホテル界隈には沢山あるが、最初入ったお店で1時間3エジプト・ポンド(60円)5時間の割引クーポンを買ってしまったのである。 ホテルから至近だし、利用を続けた。 明日はスエズ運河を観に行ってみよう。 コンシェルジュの話だと、列車よりバスが便利らしい。 










7/Apr/'06 林蔵 @Alexandria Egypt, (Updated on 21/Aug/'08)#220

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