アパート入居
@Apr/'04 Amman, Jordan

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アパート外観:この建物の1階全てと専用駐車場、葡萄棚、花壇と内庭



やっと Shat Al Arab通りの Red Rose Hotel suite からアパートに移った。 アンマンの高級住宅地である。 広い歩道には、乾燥に強いオリーブの街路樹が緑にまぶしく周囲の白い町並みに強いコントラストを描く。 枝には鈴成りの小さなオリーブの実が乾燥地に豊かな恵みの象徴のように輝く。 建物のセットバックは充分に取ってあり、道路と建物の空間は大概庭園風に綺麗に手入れされ薔薇やスイカズラ、ジャスミン等が咲き乱れて甘い香りが漂う。 前庭には高い木立の常緑樹も好んで植えられる。 そしてバック・ヤードには果実のなる木が植えられているのである。

他のメンバーが家の下見や大家との交渉をするのに、一緒に付き合っている内に私の分が無くなってしまった。 24年前に1年間アパートに住んだ経験があるので、油断をしていたらこの始末である。 大家の家でお茶と好物のケーキを頂いていた時、大家に何気なく、私の住むアパートが無いんだけど、 と言ってみたら、その日の夜遅く大家から電話が掛かってきた。 娘が今住んでいるアパートを開けるから入ってくれるか、との話しである。 良ければ今から物件を見に来ても良いとのことである。 夜も遅い時間であったが大家の言葉に甘え、アパートを見せてもらうことにした。 大家が最新式のベンツで私を迎える為ホテルにやってきた。 寝室は見ることはできなかったが、居間、台所、食堂、シッテイング・ルーム、コッテージ、来客用トイレ等を見せて貰った。 この大家は前任者の方々の評判も良い上に、物件の広さ、調度品の良さ、安全面等から即座に入居の約束をした。

そして1週間後、娘さんの引越しが終わり、内装の修繕、調度品、ベッド、食器類の新調が終えたので見に来てくれとの連絡が入った。 早速行ってみた。 準備具合は申し分ない。 そして今、この(私にとっては)豪華で素晴らしい家でくつろいでいるのである。 東京ならさしずめ億ションというイメージであろうか。 それが東京では家具無しのウサギ小屋程度のアパートに支払うと変わらぬ値段で借りることができるのである。 石造りの建物は一度建てると資産価値は下がるどころか、インフレ率を考えると確実に上がる上、調度品も一旦良い物を入れると、乾燥地故、年数が経っても傷みが少なく、資産価値があまり下がらないからだろうか。




リビング: ビクトリア王朝風の家具を新調して戴いた



今日は、我が家(アパート)の自慢をしよう。 先ずは寝室。 メイン寝室はまるで王様のベッド。 濃い色調の木製で大きな一枚板に力強い飾り彫りが施されている。 寝具の素材は化繊を使わず全て天然のものにして頂いた。 カーペットも綿で赤を基調に新しく敷き詰めて貰った。 照明は少し暗く控え目。 勿論専用バス・トイレ付き。 ベッドと揃いの濃い色調で美しい木目に同要の飾り彫りを施した壁一杯に備わったワード・ローブ。 ゲスト・ルームは白を基調にした寝具にワード・ローブ。 ゲスト用専用バストイレもある。 広い書斎には(社長)机に書棚、FAX、ミニ・ワード・ローブ、サイド・テーブルが備わるが、更に有り余るスペース。 ここも寝室と同じ絨毯を新たに敷き詰めて貰っている。 居間には高価なペルシャ絨毯が惜しげもなく数枚敷かれている。 衛星テレビが備わっていて NHK は勿論、中東、欧州のテレビが300チャンネル以上、常時見ることができる。 ソファー・セットも新調して頂いたビクトリア王朝風である。 このソファーの硬さが大変気に入っている。 リビングにもトイレがあるので、3ヶ所にトイレがあることになる。




書斎: 寝室と同じカーペット



食堂は欧米の映画に出てくるような、メードが食事をキッチンから運んでくる造り。 ハイバック・チェアーに楕円の大きな黒椴調テーブル。 傍にはこれまた黒椴調の大型カップ・ボード。 カップ・ボードには台所の食器とは別に6人分の食器が揃っているが、これは私には使う機会がなく単なる飾りである。 このダイニング・ルームは一人住まいにはすこぶる使い勝手が悪いので使わないでおこう。
 


食堂:台所から遠くて使い勝手が悪い、部屋が大きくテーブルが小さく見える
床は磨き上げた大理石



ダイニング・ルームの続きは40畳大のシッテイング・ルーム。 ここにもペルシャ絨毯が数枚敷かれており、壁にはシックな絵が数枚。 床は全て大理石。 ペルシャ絨毯の赤に合わせた赤を基調にしたソファー・チェアーセット。 大型サイド・スタンドには専用のラウンド テーブルが備わり、分厚いクロスが掛けられている。 テーブルにはライト・スタンドと共にクリスタル・グラスのベースや置物が数点程よく添えられている。 更に居間の続きに全面ガラス張りで20畳程度のコッテージがある。 コッテージはこちらの大家族の金持ちが普段団欒に使う部屋。 おしゃべりを楽しんだり、皆でお茶を楽しむ場所。 




コッテージ: 全面ガラス張り



最後は台所。 ここも半端でないくらい広い。 食堂とは別に6人掛けのテーブルがあり、私は普段ここで食事を作り、食事を取り、お茶をする。 グリルは羊や豚の足1本丸々焼けそうな位大きい。 食器洗い機も付いているが、一人分の食器では使うことが無い。 大型の冷蔵庫は一人住まいには大変便利。 食事は一人分作るのは難しく2-3人分一度に作るが、これを冷凍して置いて、小分けにしてマイクロ・ウエーブ(電子レンジ)かガス・レンジで暖めると無駄なく食べられる。 冷凍庫は大活躍である。 

日本風で言えば1階(ここではGF)であるので、専用駐車場と葡萄棚に花壇も付いている。 葡萄棚の下は、広いテラス庭になっていて野外バーベキューに丁度よい場所を提供してくれる。




葡萄棚:この下でバーベキューが出来る



ボランテイアーに来てこんな贅沢な生活をして良いのだろうか。 疑問を持たない訳でもない。 しかしこの程度のアパートは、家賃補助限度内で充分借りることが出来るのである。 これもある面での地域住民への貢献(国際貢献)と地域住民と関わりを持つ一つの手段でもあるので、進んで受け入れるべきと肯定的に受け入れている。
ウイーク・デーは、寝室、台所、居間を行き来するだけだが、休日にはシッテイング・ルームやコッテージを含む全ての部屋を掃除する。 家事もなかなか良い運動になることを改めて認識する。 軽運動の後はシッテイング・ルームのソファーに身を沈め、コーヒー等を傍らにお気に入りの書物にふけるのも悪くない。






Apr/'04 林蔵 @Amman Jordan (Updated on 22/Jun/'08)#170

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