アムラ城
世界遺産@ May/'05 Amra, Jordan


砂漠のハンチング館跡


[世界遺産、Quseir Amra, 文化遺産、1985年登録] アムラ城は、ヨルダンの首都アンマンの東、約80kmにある。外観は、ドーム型の屋根になっている。内部には、サウナのような施設や、深さ25mの井戸も残っている。8世紀頃のウマイヤ朝の王が、離宮として建設したといわれている。表向きは征服した地の警戒で建てられたと言われているが、実際には、厳格なイスラム教徒の目をそらし、王族達が快楽を享受するための離宮だったと考えられている。城内には、天体図や砂漠の動物、裸婦などのフレスコ技法で描かれた壁画が残っている。(Wikipediaより)



小さな世界遺産である。 ヨルダンではペトラ遺跡、アジルーン城に次ぐ3番目の文化財世界遺産である。 アンマンからアズラックへ向かう幹線道路M40(通称イラク街道)沿いにある。 アズラックの少し手前にあたる。 8世紀始め、ウマイヤード王朝の貴族達の狩りの宿として使われたらしい。 内部壁面に描かれた数々のフラスコ画が絶品である。 




レセプションホール: 館の内部は極彩色のフラスコ画で埋め尽くされている。
イスラム圏では珍しい裸体画が多く描かれている



フランス政府の援助で砂に埋もれていたこの遺跡は発掘が進み、世界遺産に指定された。 特にアライバル・ホールと浴室のフラスコ画が素晴らしい。 当時の王朝貴族の生活ぶりが伺われる。 砂漠のど真ん中にありながら狩りの後は御婦人を伴い優雅に浴室で汗を流していたのだろうか。 




浴場の壁画: 日常の姿が隠すことなく描写されている


 


 天井を覆う多くのフラスコ画


当時はこの当たりは乾燥地帯ではありながら、ライオンを始め多くの野獣動物が生息していた豊かな大地であったことが伺われる。 土地の砂漠化は自然現象に拠る部分も多分にあるように思うが、人間の仕業である部分もあるのは否めない。 このような人間の豊かな営みを過去に見ながら、青く光る水の惑星の持続性ある今後の発展を切に願わざるを得ない。



ロバが廻した水汲み上げ機: 浴場には汲み上げた地下水をふんだんに使われた



ろばと言う動物は何と従順で我慢強い生き物だろう。 小さい体で大きな荷物を背負い、更にその上に人まで乗せる。 まるで過載の典型のように見える。 粗末な食事で厳しい環境下で黙々と働く。 この水揚げ機もロバが廻していたに違いない。 炎天下、半径2m程度の円周を、つるべに繋がれた木の歯車軸を中心に無限に廻る。 21世紀の現代もロバの生活はあまり変わらない。 西洋や日本の高級車が満ち溢れている街に、今も荷と人を満載したロバがゆっくりと昔の時間を刻みながら歩いているのを見ることができるのである。 








24/May/'05 林蔵@ Amra Castle Jordan (Updated on 24/Jul/'08)#200

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