アカバ・バスライド
@ May/'05 Aqaba, Jordan


パブリックビーチで夏を楽しむ地元の人達


5月1日、国際メーデーの日である。 ここイスラムの国でもお休みになる。 今日は日曜日、こちらは金曜・土曜日が週末なので、丁度3連休になるのである。  本格的な夏がやって来る前に、アカバへバスで行ってみよう。 日曜日、朝のジョギングを止めて、シメサニのJETT(国営バス会社)バス・ターミナルへ向かう。 ターミナルには、朝の第1便出発時刻07:00の15分前に到着した。 既にアカバ行きのバスが停まっていて、お客を乗せる準備は整っている様子。 ターミナルの切符売り場で、搭乗券を求めようとしたが、どうも様子が変である。 窓口の係員はアラビックしかしゃべらない。 多くの人が窓口に並んで居るが、搭乗券は一向に発行される気配が無い。 ここに並んで居るのは、どうもキャンセル待ちの人々であることが、暫くしてわかった。 これはやばい。 チケットが入手できないかもしれない。 それでは計画が潰れてしまう。 何とかチケットを入手したい。 窓口の係員に取りあえず、アカバ1名と伝えて置いた。 出発5分前になった時、窓口の係員が私のほうを向き、合図をする。 即座に窓口へ進み出る。 どうやら幸運にもチケットが入手できた模様である。 片道運賃の4.75JDを支払い、チケットを手にする。 他のキャンセル待ちの人達は複数人数なのでチケットは取れなかったようである。 その時、うかつにも帰りのチケットも同様な状況にあることを何故か気にしなかったのである。 



 5つ星ホテル、ムービンピックとラデソン・SASの間に完成真近のビーチ・リゾート


この国営バスには、当国には珍しく女性のパーサーが乗り込んでいて、お客の飲み物や軽食の便宜を図ってくれる。 ネス・カフェを注文する。 フリー・ゾーンのバリアーを通過した後、アカバ到着寸前に代金回収に廻ってくるのである。 バスは予定通り、4時間でアカバ・バスセンターに到着した。 帰りのチケットを予約して置こうと、バス・センターの切符売り場へ行った。 日本で言えば5月の連休の最終日である。 こんな日に予約無しでチケットを買える訳が無いのは、少し考えれば容易に想像の付くことである。 それを考えなかったのは、何時もながら、何ととんまであろうか。 チケット・カウンターの男性係員は、当然だろうと言わんばかりに、「今日は全便、全席満員だ。」とつれない返事である。 一瞬頭が真っ白になる。 事務所には宿泊の届け(国内旅行届け)を出していないので、どうしても今日中にアンマンへ帰らなければならない。 もう一つあるアンマン-アカバ間を運行しているバス会社の事務所へ淡い期待を持って行ってみた。 窓口の係員の返答に変化は無い。 



パブリック・ビーチへの入り口



こうなれば、全く別の手段でアンマンへ帰ることを考えるより他は無い。 タクシーはある筈だが馬鹿高に違いない。 これは最後の手段。 アンマン乗り捨てのレンタカーはあるだろうか。 最近ヨルダンの免許証を取得したばかりである。 幸い当国での運転はできるのである。 街のレンタカー屋で訪ねてみた。 在るという。 料金は幾らになるのか聞いてみた。 55JDだと言う。 これではタクシーと然程違わないのではないか。 セルビス(乗り合いタクシー、バス)がある筈だ。 ムジャンマ(バスセンター)へ行ってみることにする。 が、ムジャンマの場所が判らない。 街の中心ロータリーにあるマクドナルドに入り、店員に聞いてみた。 マックの店員は英語をしゃべることは、以前確認済みである。 店員は親切にムジャンマの場所を教えてくれる。 アフアーナ・ムジャンマからアンマン行きのバスが出るようだ。 アカバの町は小さいが、なにぶん不案内である。 にわかに聞いただけでは場所の見当がつかない。 店員はタクシーで行けとアドバイスしてくれる。 歩いてでも行ける範囲の筈だが、ここは店員のアドバイスを聞くことにした。 案の定、タクシーは、あっと言う間にアフアーナ・ムジャンマに到着した。 

ムジャンマにはアンマン行きの大型バスが客を順次受け付けていた。 未だ席はありそうだ。 チケットを買おうとすると、整理員がそのまま乗れと言っているらしい。 チケットを買わずに乗り込む。 続々とお客が乗り込んでくる。 あっと言う真に満席になる。 どうも満席になると発車するシステムらしい。 発車前に整理員が乗り込んできて、料金を集めだした。 1人3.5JDである。 隣に座った土地の男性は、小学校高学年と思われる子供連れだ。 でも子供の席は取らない。 自分の分だけ払っていた。 発車時は大きな子供を膝に抱えていたが、その内私との間の僅かの隙間に座らせた。 3.5JDは此方の人に取っては決して安くない。 アカバ等、そう頻繁に来る訳でもないに違いない。 土地の男性にしてみれば思い切った家庭サービスだったのだろうか。 私は黙って窮屈さに耐えた。 行きのJETTバス(国営バス)とは、お客の層がまるで違う。 たかが1JDの違いだがこうも乗客の生活レベルが違ってしまうものだろうか。 JETTバスの乗客は上質の衣類をまとい、手にはデジカメやムービーカメラを持っている、一方ムジャンマ発のバスの乗客は概して粗末なよれよれの装束で、手にしたビニール袋には野菜等が詰まっている。 途中、タフィーラで30分の休憩がある。 隣の子供連れの親父がビニール袋からきゅうりを1本取り出した。 そして私に差し出したのである。 食え、と言っているらしい。 ありがたく頂いて、そのままかぶりついた。 きゅうりは新鮮で瑞々しく旨かった。 


 
左: パブリック・ビーチのテラス・バーからRadison SASのプライベートビーチを望む、
その向こうはイスラエルのエイラート

右: 遺跡の宝庫であるこの国。 街中の1等地に遺跡がある。
  

 
 

街の中心、ローターリー: 緑地には貴重な水を絶えずまいている
背後の山には木は1本もない




1/May/'05 林蔵@ Aqaba Jordan (Updated on 21/Jul/'08)#198

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