古着市
@Feb/'05 Abdhali, Jordan


アブダリバスセンターで、毎週金曜日に開かれる ”古着市”


ムジャンマ・アブダリ。 ブルー・モスクの直ぐ下にあるバス・センターである。 ここからは、主に北に向かうバスが発着する。 空港行きバス、シリアのダマスカスや、アカバ行きの国営バス、ヒジャージもここから出る。 中小のタウンへは様々なマイクロ・バスが活躍する。 一見整備とは無縁と思われるかなりくたびれた年代物のマイクロ・バスが、何も表示は無いがそれぞれの行き先毎の停車場に無造作に並んでいる。 マイクロ・バスには元気の良い概して若い男性の車掌が居て、客の呼び込みに余念が無い。

金曜日には、このバス・センターの東側半分、やや傾斜のあるバス・センターの下側半分が全く様相を変えてしまう。 おびただしい古着が野外に所狭しと吊るされる古着市が展開するのである。 古着市に便宜を図るかのように様々な生活用品屋を低価格で売る店も姿を表す。 更に野菜や果物も揃っているのである。 庶民の市場そのものの様相を露呈する。 古着市である。 当然質の良いものから悪い物まで出展物は千差万別であることは言う迄もない。 そこで掘り出し物探しが楽しめるのだ。 

2月の晴れた日、仲間と出かけてみた。 晴れていても真冬のアンマンは寒い。 勢い防寒着に目が移る。 皮ジャンやコート類がびっしりとハンガーに掛かっている。 これらの古着は恐らく欧州の古着を一山単位で大量に仕入れて仕分けした物であろうか。 よく見ると欧州のブランド物の古着も混じっているのである。 時間を掛け丹念に探せば、サイズの合った、程度と質の良い古着を安価に入手することができる。 これは、休日の楽しみが又一つ増えたと一人ほくそ笑むのである。

実におびただしい数の古着が展示されている。 そのせめぎ合いは店の境界すら定かでない。 今日のお目当ては冬のハーフ・コートだ。 一番下手迄下り、品定めをしながら、徐々ににわか市場であるバス・センターの斜面を登る。 市場に来ているのは貧乏人とは限らない。 我々を含め、様々な生活層の人々で埋め尽くされている。 庶民感覚溢れる場所である。 安っぽい品を売る雑貨屋等があるのが、格好のアクセントとなり、単調になりがちの古着市を適度な模様を織り成している。 値段交渉もしなければならない。 言い値で買うのは愚の骨頂なのである。 

程度の良いベージュの英国製ハーフ・コートを見つけた。 暫く少し距離を置いて見ていると、土地の者がその店で値段交渉を始めた。 店の者は ”アシャラ” (10JD=約¥1500)と叫ぶ。 客は、 ”サバ” (7JD=約¥1050)と言い返す。 暫くやり取りの後、結局その客は目当ての品を、8JDで買った。 それを見届けてから、やおらおやじに近ずく。 私の目当てであるハーフ・コートを手にする。 おやじはすかさず、”アシャラ”(10JD)と叫ぶ。 私も、すかさず、”サバ” と言い返した。 何度か同じこといい合い、結局先客と同じ 8JDを無理やりおやじに押し付け、手にした品物をそのまま持ち帰った。 

早速行きつけのクリーニング屋に出し、通勤に使っている。 少し使い古している感じがとても良く、しっかりした縫製にも大変気に入っている。 これは癖になりそう。



アブダリバスセンターの傍にあるブルーモスク








林蔵@Amman Jordan 4/Feb/'05 (Updated on 14/Jul/'08)#191

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