ウエスタン村
@Aug/'01 Washington, USA


バーの前に止まったクラッシックカー: 勿論現役である


2001年8月。 私はアメリカ、ワシントン州の片田舎、Brewsterに居た。 深い入江と緑豊かなハイテク都市シアトルから内陸に300km程度入った場所だ。 とうとうと流れるコロンビア川の両脇にはりんご畑が延々と続く。 アップルステートと呼ばれる由縁である。 ちなみにりんごの種類は圧倒的に ”ふじ” が多いのには驚きと優越感を感じる。 コロンビア川両脇のりんご畑以外には緑は極めて少ない乾燥地帯でもある。 そして町の東北部には広大なコールビル先住民保留地が広がる。 Brewsterはコロンビア川の河川敷が少し広がった場所に、りんごの集荷地として発展した小さな町だ。 Doreを初め大手食品メーカーの巨大な倉庫が18輪トラックが直接横付けできる設計になり建ち並ぶ。 



コロンビア川: 荒涼とした乾燥地帯を流れる、両脇の僅かな平地にりんご畑が延々と続く


さて、映画でお馴染みのウエスタンは、アメリカ大陸に殖民したアングロサクソン人が開拓精神とゴールドラッシュに一攫千金を狙い、西部へ西部へと移動した土地で、ワシントン州よりはずっと南の土地の今は昔の話だったと思う。 ワシントン州北部、カナダ国境に近い、州道20号線沿いにWinthropと言う小さな田舎街がある。 昔のウエスタン村を再した歴史模様村だ。 休日を利用して日帰りドライブに出かけた。 


 


Winthropから州道20号を更に西に向かうと険しい山が両脇に聳えるカスケード山塊に分け入る
この辺りはNorth Cascade National Parkで雄大な山岳風景が楽しめる




木造ガソリンスタンド: 日本では消防法でこれは許可にならないだろう


Brewsterから国道97号をウエナッチ(シアトル)方面に向け、10km程下ると、Paterosと言う州道153号と交わる小さな集落がある。 ここから州道153号(Ross Road)をMethou川沿いに北上する。 信州、千曲川辺りの道を思い起こす風景である。 30kmばかり北上したところで、州道153号は州道20号に合流する。 20号線はカスケード山脈を越え西海岸に達する道だ。 この20号線を西に更に10km程走ると、突然、西部劇の街に入るのである
。 



ミニ博物館内部: 西部開拓時代の生活物資が並ぶ



ミニ博物館内部: 様々な缶詰とライフルが当時の生活様式を物語る



ミニ博物館内部: ストーブと珈琲豆粉砕機、それにライフルは欠かせない



クラシックカーの傍で
本物を見たり触れたりすることは、所有しなくてもその素晴らしさを共感できる



街全体がミュージアム風テーマパークになっている。 沿道の建物は全て木造だ。 少し新しく見えるが当時の風情を十分漂わせている。 国道2号線にはスイス村があったり、これは一種の村興し対策だろうか。 アメリカと言えども、地方と都市の格差は大きい。 田舎では、要所要所に大型アウトレット店が広大な敷地に広大な駐車場を備えて存在するが、一方、流行らない雑貨屋には埃に塗れた商品が並んでいたりするのである。 アメリカと言えば何でも贅沢で、大量消費の国と思われがちだが、当ても無く街を歩くと、時に質素で勤勉で勉強家の一面も見せたりするからおもしろい。 昔の生活や習慣、家畜の管理方法等が楽しみながら学べる仕組みがあったりする。 



ダンスホール前: アメリカンバイク2台、きちんと揃えて止められている
街の景観を乱さない心配りが伺われる




銀行(家畜集積場?)



辻のスーパー: 観光タクシーは馬車、座席は干草だ
(青いペンキは、いかにもダサい、渋い茶系にすべきだった)




牛のブランド記号: 持ち主表示
放牧された家畜にはこのような焼印がほどこされ持ち主が判る仕組みだ




洒落たレストラン: この2階席で(特大)ハンバーガーの昼食を頂く、



オカノガン山塊: この辺りの山は標高が余り高くない
ここには都会とはおよそ関係のない生活をする人々の姿がある


娯楽に乏しい土地に住み、家族の絆を大事にし、大自然に逆らわず生きる人々。 途端にこの人達が身近に感じられるのは気のせいだろうか。 ニュー・ヨークやロス・アンジェルスでは味わえないアメリカの質素で、素朴で勤勉な素顔をみることができるワシントン州の田舎に喝采。  








林蔵@Winthrop 26/Aug/'01 (Updated on 7/Jun/'09)#321
  

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