ヘロン島
世界遺産@Apr/'82 Helon IslandAustralia



ヘロン島の珊瑚海岸にて


[世界遺産 Great Barrier Reef 自然遺産 1981年登録]  グレート・バリア・リーフ (Great Barrier Reef) は、オーストラリアの北東、 クイーンズランド州の沿岸にある世界最大の珊瑚礁。珊瑚海に位置し、3,000ヶ所の独立した珊瑚礁と大小900あまりの島々からなり、 総延長は長さ2,600kmにわたる。多くの場所はオーストラリアの国立公園に指定され、保護されている。 1981年にはユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。日本名は大堡礁(だいほしょう)。 (Wikipediaより)

オーストラリアの Moree に出張中、イースターにぶつかってしまった。 海外でのイースターは日本の正月より性質(たち)が悪い。 飲食店も含めて全てのお店が1週間近く閉まってしまうのだ。 普段の休日も殆どの店は閉まるが、少なくとも飲食店の多くは開いているので飢える心配はない。 ところがイースターはその心配をしなければならない。

色々考えた挙句、グレートバリアーリーフの最南端部にあるヘロン島でイースターを過ごすことにした。 町のレストランは殆ど閉まってしまうが、ホテルなら大丈夫とのこと。 Moree町の旅行代理店でヘロン島のホテルを予約。 仲間3人、車で行くことにした。 行きは大陸の東海岸沿いにそびえる Great Dividing Range の山中を走り、グラッドストーンへ抜ける。 ここで車を預け、ヘリコプターに乗り換え、沖合約40kmに浮かぶ珊瑚の島ヘロン島へ渡るのである。 片道600km程度の旅程だ。 東京ー大阪程度である。 然程のことはなかろう。 帰りは、海岸沿いに南下する計画だ。 ヘロン島はグレートバリアーリーフに点在する600余りの島でも、数少ない珊瑚で出来た島の一つだと言う。 貴重な動植物生態が観察できる島として名高い。



Lechhatdt Highwayの途中で休憩

Moree からは39号線を北上。 Goondwindi のガソリンスタンドで飲み物と簡単な食料に氷を仕入れ、車の荷物コンパートメントに積み込む。 内陸部山中のハイウエーは数百kmの間、何も無いかも知れない。 一応サーバイバルに必要な品々を買いこんだ。 道だけが延々と続く山中、Lechhardt Highway をひたすら北上する。 途中民家数軒の村を幾つか過ぎる。 そんな村には、必ず小さなガソリンスタンド兼質素なコンビニがある。 Moonie, The Gums-Condamms, Miles-Taroom, Banana-Bioela 等の小さな街を過ぎ、 今夜の宿を取る予定である。 海辺に開けた比較的大きな街 Gladstone に到着した。 ここは、明日ヘロン島にヘリコプターで飛び立つ街でもある。 Gladstone は鉱産物の積み出し港として発展した港町だ。 土地の起伏も多く、その一つの丘に登ってみた。 街の眺めが素晴らしい。



Gladstoneの町並み: スペースをゆったり取った平屋が整然と並ぶ小規模な街


Moreeで予約をしてあったモーテルは直ぐ見つかった。 夫婦で切り盛りしている部屋数10程の小さなモーテルだ。 いわゆるBB (Bed and Breakfast)である。 だから朝食は付いている。 アメリカのモーテルの朝食は、マフィン1個にインスタントコーヒーでおしまいだが、こちらはイギリス風。 トースト、目玉焼きにベーコンと盛りだくさんである。 大食漢の我々には大変ありがたい。 夕食は街の海鮮レストランへ雪崩込んだ。 今回の3人に限らず、日本人の魚介類好きには定評がある。 世界に誇れる食文化の一つだと思う。 確か26ドル(当時の交換レートで¥3,000程度)で大きなボールに生カキに海老、蟹が山と積まれて出されてきた。 海老は伊勢エビでなく、平べったい名の知れぬ種類だが、旨い。 生カキはフレッシュで美味しそうだが私は駄目なので、他の2人に任せた。




Gladstone飛行場: これからヘリコブターに乗る、搭乗前に荷物を持って体重計に乗る



翌日、いよいよヘロン島へ乗りこむ日だ。 飛行場へ行く。 車を無料の専用駐車場に止め、ヘロン島行きのヘリコプターカウンターへ行く。 ヘリは4機あり、全機島のホテルの直営機だと言う。 出発は午後1時。 乗る前に自分の荷物を手に持って体重計に上がらされる。 ヘリは積載能力に厳しい重量制限がある。 荷物だけで無く、自分の体重も含めた総重量を計るのだ。 燃料の計算に必要なのであろう。 ヘリはヘリポートからまっすぐ飛びあがるものと思っていたら、さにあらず。 飛行機と同じ滑走路を、低空飛行で飛び、滑走路がなくなったところで上空に舞い上がる。 ヘロン島迄、時速140kmで30分かかる、と言うことは70km程の距離になる。 島は以外に遠い。 暫く普通の海の上を飛ぶ。 バリアーリーフが眼下に見え始めた。 真っ青な海原に点々と浮かぶように見える様々な形のエメラルド色に輝く珊瑚リーフ。 機上からは如何にも島に見えるが、実は水深数メートルのリーフなのだ。 そんなリーフの姿を楽しみながら暫く飛んでいると、豊かな緑をたたえた島が見えてくる。 Heron Island だ。 周囲数kmの小さな珊瑚でできた島である。 へりは島を一周して海岸のへリポートに降り立った。



ヘロン島に行く途中の素晴らしいリーフ



Great Barrier Reef 最南端のHeron島: ヘリから撮影



ヘロン島に降り立った筆者


"Welcome to Heron Island" の看板が8人の乗客を出迎えてくれた。  ”ヘロン" とは鳥の名で”鷺”と言う意味だ。 さすがに鷺が多い。 狭い島に茂る木々に数え切れない数のシラサギがひしめき合っている。 それだけ糞害も凄い。 また鳴き声もすざましい。 うるさくて夜も眠れぬくらいだ。 これも自然を楽しむ為の1光景であろう。 ホテルに着くと若い女性の係員が、島のこと、ホテルでの過ごし方、動植物の保護に対する注意事項等、 おそろしいばかりの早口で一気に説明してくれる。 島にはホテルが一軒あるのみ。 部屋数は、せいぜい2,30部屋くらい。 幾つかの部屋は海洋研究者が長期滞在に利用しているらしい。 ホテルの部屋には鍵が無い。 ここには泥棒は居ないのだ。 レストラン兼売店の棟には多目的小ホールが付属している。 ここでは週に数回、当ホテルに長期滞在している海洋研究者が観光客相手に普段の研究成果を、スライドや8mmで巧みな話術を添えて披露してくれる。 なかなかアットホームな雰囲気で良い。 ゆったりしたスペースの売店で記念にTシャツを買った。 キャッシュで支払おうとすると、”クレジットカードお持ちですか?” と聞いてくる。 おやっと思った。 日本では殆ど聞かない質問だ。 多分逆の質問は聞くことがあるだろうが。 欧米の特に由緒のあるお店では、店が客を選ぶと言うことが往々にしてある。 ここの場合は多分キャシャ-がただ 防犯や取り扱いが現金だと面倒であった理由と思うが。




ヘロン島に降り立ち、Welcomeボードの前で




珊瑚海岸


翌日は、真っ白の珊瑚砂の浜辺で時間を過ごす。 満ち足りた静かな時間。 島は歩いて30分くらいで1周できる。 20 -30室のホテル1軒分の客しか居ないのだから、浜辺には殆ど人影がない。 海にも入ってみた。 澄み切った海。 何やらふにゃふにゃしたものが足に当たる。 良く見るとなまこだ。 多少気味が悪い。 実はこの類の動物は筆者にとって大変苦手なのである。 保護色になっており、白い珊瑚砂に紛れている。 惜しみなく降り注ぐ太陽、波音と鷺の泣き声以外には何も聞こえない砂浜、水平線まで広がる原色の珊瑚の海。 心が洗われるイースターホリデーに感謝。



珊瑚の海岸: 波と植物の戦いが繰り広げられる






2/Apr/'82 林蔵 @Helon Island Australia (Updatede on 18/Apr/'10)#072 

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