メルボルン冬景色
@Jul/'01 Melbourne Australia


St. Kilda Jettyから眺るメルボルンシテイー


衛星打ち上げの準備と、実際の打ち上げ作業の為、 ドイツとアメリカへの3ヶ月の遠征から冬のメルボルンに戻った。 当地は真冬であるが、日本の冬に比べれば比較にならない程過ごしやすい。 なんと言っても、夜11時にオープンカフェで十分コーヒーを楽しめるのだから。 Swanston通りにある24時間営業のオープンカフェ “L'incontro” は相変わらず人で溢れている。 気温は14度位なのでそれなりの服装をしておれば、外でも平気である。 もっとも土地っ娘は夏と差ほど変わらない、半袖の臍出しだが。 アパートでは、それほど寒い訳ではないが暖房を入れた。 リビングの壁に備え付きの電気ヒーターである。  仕事から帰り、スイッチを入れ1時間もすれば部屋は20度くらいになり快適だ。 反面、空模様はロンドンの冬に似て、いまいちからりと晴れず、一時的に雨が降る日が多い。 それでも、じめじめした感じは無く過ごしやすい。 メルでの日常生活のリズムを取り戻しつつある。



衛星打ち上げイメージ写真: 実際のものとは異なります


アメリカでは衛星打ち上げの前後3週間以上休み無し、昼夜お構い無しの勤務になってしまった。 週末のランニングも出来ず、体が大部鈍っている感じ。 しかも超栄養過多、ボリュームたっぷりのアメリカ食を残さず食べていたものだから少し太ったかも知れない。 それにしても、今回の衛星打ち上げの瞬間は印象的だった。 打ち上げ数分前の,ブースター(打ち上げロケット)の機能確認風景が圧巻。 アポロ13やスペースカウボーイの映画の一こまそのものと言った感じ。 ロスのメイン・コントロール・センター、発射場のケープキャナベラル、ロンドンの某通信会社 Operationセンター、そして世界6ヶ国に散らばる TT&C局が全てボイス・ブリッジで接続されている。 私の担当したUSA Brewsrter局もそんな TT&C局の一つだ。 しかもここには今回は使わなかったが、ボーイングの Sea Launch用打ち上げコントロールセンターが、某通信会社の設備と、ドア―一枚隔てて隣にある。 

打ち上げの実況は、このコントロール・センターのメイン・コントロール卓に座らせて貰って、 コントロール室の前面壁一面の大画面で全てを見せて頂いた。 ロスのメイン・コントローラーが、片手に数10項目に渡る確認項目のリストを持ち、 歩き回りながら、ヘッドホン・マイクに向かって確認項目を1項目ずつ読み上げていく。  各担当者は、それぞれ所定の位置から、映像とボイスブリッジを通じて短く “Go!!” と答える。 これが実にカッコ良い。 男性、女性、さまざまな人種と年齢層の担当者からボイスブリッジを通じて帰ってくるリアルタイムの姿と声が、 これぞチームワークの輝く瞬間のように思えた。



Beacon Cove海岸通り 




St.Kildaのヨットクラブ



週末のランニングも久しぶりだ。 メルボルンに戻って最初の週末。 いつものジョギングコースへ繰り出した。 ビーコン・コーブの海岸通りの人出はめっきり少なくなっているが、サイクリスト、スケーター、ジョガ―は,相変わらず多い。 気温は14度程度なので、走るには丁度良い。 しかも太陽が雲間の隠れ実に走りやすい。 それから日頃の運動不足解消の一つである夜のシテイ散歩も再開した。 夕食を取った後、四角い碁盤の目のようなシテイを早足で1周する。 メルボルンの夜は安全だ。 明るく、車や人通りが絶えない。 シテイを1周するには早足で1時間、普通に歩くと1.5時間である。 今回は夜の散歩で発見した、メルボルンの不思議な光景を2つ紹介しよう。



メルボル・シテイー内: 整然とした区画がなされており大変歩きやすい



その一つは、Flinders Street駅の東端のコーナーだ。 Hats & Capsの店の前。 Flinders Street 通りと駅の間の余り広くも無い歩道がその舞台。 時間は夜の8時から9時頃の1時間以内の比較的短い時間に起こる現象。 老若男女、10-15名程度のグループが、歩道に立ったまま、手にはそれぞれの飲み物を持ち、おしゃべりに余念が無い。 まるでパブの雰囲気がそのまま、歩道に出てきたようだ。 しかも何時もメンバーは、同じようにも見える。  帽子屋の入り口は地下になって居り、入り口に続く階段の歩道側には丈夫な鉄の手擦りが設けられている。  そして道路脇には大きなトラッシュが置かれている。 丈夫な鉄の手擦りは、もたれかかるに丁度良く、飲んだ後の空き缶や空き瓶は、そのトラッシュに収まるのであろう。 夕方の少し遅めの時間。 僅か1時間足らずの路上パブ現象。 この現象を夏に気付いたが、冬の今も変わらず、この現象を確認することができた。 イギリス風社交スタイルが、この大陸の路上でも根強く生きている側面を見たような気がする。




メルボルンシテイー北端にある超大規模なクイーンビクトリアマーケットの看板:
此処では何でも揃う、しかも値段は安い



もう一つは、シテイの北端にある Queen Victoria Market の直南に広がる Flagstaff Gardens での夜景。 今はすっかり葉を落としたプラタナスの大木が連なる並木の背後に広がる広い芝生に、いくつもの物体がうごめく。 良く見ると、なにか狸のような、猫のような、イタチのような、夜行性で、前足が短く、手足の爪が鋭く、後ろ足で立つ、木登りが得意で、黒いふさふさ毛の尾っぽを持ち、体毛が褐色の、大型猫程の小動物。 およそ10匹以上が群れて、遊んでいるような、餌を探しているような、ほほえましく、都会の真中に生きる自然の動物の不思議な姿に見とれてしまった。 暫くじっと立って見ていると、その小動物は、もの珍しそうに直近くまで寄ってくる。 お互い睨めっ子をする。  誰かが餌を与えている気配も無い。 人間が物珍しげに眺める気配も無い。 大都会の真中に生きる不思議な野生動物の世界。




都会の夜の公園にうごめく正体: ポッサム、
かなり大型、子犬程ある








22/Jul/'01 林蔵@Melbourne Australia (Updated on 12/Apr/'10)#056

{林蔵地球を歩く}[頁の始めに戻る]