宇宙 終焉のない新天地を求めて

NGC 4603 距離はおよそ1億800万光年

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米航空宇宙局(NASA)は25日、ハッブル宇宙望遠鏡を使った8年がかりの観測の結果、宇宙年齢決定の決め手となる宇宙の膨張速度を、高い精度で確定することに成功したと発表した。この数字に基づき、宇宙の年齢を120億年と推定した。ここ数年、80億〜100億年という若い宇宙年齢が提案され、それより古い星が存在する矛盾が指摘されてきたが、今回の観測で、天文学界を揺るがせた「宇宙年齢の危機」は解消されることになった。

 27人の研究者からなる国際天文チームはハッブル望遠鏡を使って、18の銀河の中にある約800個の変光星を観測した。変光星の変光周期などの分析から、銀河までの正確な距離と後退速度を割り出した。その結果、宇宙膨張速度を測る基準点とされる、地球から326万光年の地点では、天体が秒速70キロで遠ざかっていることが分かった。

 このデータを、緩やかに膨張し続けるとする従来の宇宙モデルに当てはめて計算すると、宇宙年齢は120億年となった。また、宇宙の膨張速度が加速されて大きくなっているという宇宙モデルを使うと、宇宙年齢は135億年となる。

 研究チーム代表の女性天文学者、ウェンディー・フリードマン博士(米カーネギー研究所天文台)は「これまで宇宙の膨張速度は秒速50キロから100キロの間で絞り込むことができなかった。今回、90%の精度で確定することに成功し、宇宙の起源や進化について、より信頼できる描写が可能になる」と話している。

このくらい遠方の銀河になると、ハッブル宇宙望遠鏡をもってしても、銀河中の星からの光は検出限界ぎりぎりとなり、変光星でないものも明るく見えたり暗く見えたりする。このためNGC 4603の解析では、前例をみないような大規模なコンピュータシミュレーションを用いての統計的な解析が行なわれた。