ポピュラー・ミュージック  用語集

音楽関連の用語を集めてみました

アクースティク
[acoustic]

日本ではアコースティックと発音される。アンプを用いた電気による音量増幅をしない、生の音で聞かせる楽器ないしは演奏を指す。アンプのプラグに差し込まないという意味のアンプラグド(unplugged)という語も現れた。

アナログ/デジタル
[analog : digital]

アナログは連続的、デジタルは離散的の意。音楽はもともとアナログで、音の気圧の連続的変化をそのまま録音したのが従来のアナログ・ディスク(音盤)。デジタルは、時間を区切り(標本化)、各時点での気圧を数値にする(量子化)もので、アナログ系雑音の排除が容易になる。音の自然さを多少犠牲にする代わり、音再生の確実さ、機器の軽量化と移動性、操作の簡便さを長所とする。

イージー・リスニング
[easy listening]

ラジオが発達して間もない1930年代に、クラシック音楽よりも堅苦しくない、アンドレ・コステラネツなどによるオーケストラ音楽が一般大衆のバックグラウンド音楽として工夫され、初めは軽音楽(light music)、次いでイージー・リスニングと称されるようになった。一方、ムード・ミュージック(mood music)、ラウンジ・ミュージック(lounge music)という呼称も生じた。
中庸という意味のMOR(middle of the road)も似通った言葉で、軽いロック的なものも含む。AOR(adult‐oriented rock)は大人向けのロックということで、中年になったかつてのロック世代を狙った路線のスタイル。ニュー・エイジ(new age)は、クラシック、民俗音楽、ジャズ、ヴォーカルなど多様な音楽ジャンルを総合した新分野で、境界線の曖昧さはMORに似ているが、もっと想像力をかき立てる感性が強調されていると言われる。86年度からグラミー賞にニュー・エイジ部門が新設された。

インディーズ
[indies]

インディペンデントからきた言葉で、フリーの制作者やミュージシャンによる自主制作盤(インディペンデント・レーベル)を指す。プレスや販売はメジャー(major大手レコード会社)に委託するケースが多い。小規模なレコード会社をマイナー(minor)レーベルと呼ぶが、インディーズは自主制作とマイナーを一括して指す場合もある。

エクスペリメンタル・ポップ
[experimental pop]

現代音楽の特に実験的な音楽とポピュラー音楽を融合したもので、1980年代から英米の前衛的ミュージシャンが取り組んできた。最小単位の旋律を反復させるミニマル・ミュージック(minimal music)が核となり、非西欧世界に向けて広がっていったワールド・ミュージックとも連動した非営利的な知的ロックの流れ。

エフェクター
[effector]

音に電気的処理を施して、さまざまな変化をつけ、効果をあげる装置。

MP3
[MPEG 1 audio layer 3]

音声デジタル信号の圧縮技術の一つ。MP3はもとのデータを10分の1程度に圧縮し、コピーして、これを専用プレーヤーやパソコンで再生する。

オルターナティブ・ロック
[alternative rock]

オルターナティブとは、主流のもの、既成のものに異議を唱え、それに取って代わるものという意味で、すでに1960年代後半から文化全般について使われてきた。最近では、主流となっているロックでは包めない傾向、動向、趣向のロックを指して使われている。

音楽ソフト配信

デジタルネットワークを通じて音楽をリスナーに届ける配信サービスは、従来のレコード店を通してレコードを買う慣行を根底から揺るがしている。音楽配信には大きく分けて二つの経路がある。一つはインターネット利用で、もう一つはCSデジタル放送の音楽番組からチョイスするもの。
音楽配信サービスはアメリカで最も先行している。最大手のCDNOWは約230万人の会員を持っているが、1999年末には1600万人を会員に持つコロンビア・ハウスと合併し、その会員にもインターネット販売をするという。コロンビア・ハウスはアメリカ最大の会員制レコード直販会社で、ソニーとタイム・ワーナーが対等の大株主になっている。この合併でCDNOWは約51万5000タイトルの音楽を品ぞろえすることになる。またアメリカ最大の通信企業AT&T、ユニバーサルミュージック、BMG、松下電器産業の4社は99年秋をめどに配信事業に参加する提携交渉を進めており、米IBMも英EMI、ワーナー・ミュージック、BMG、ユニバーサルミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント5社と共同して99年春からサンディエゴで実験に入っている。AT&Tはインターネットからパソコンにダウンロードさせる方式のほかに、専用再生機を使って半導体に録音させる方式も併用する。IBMはケーブルテレビ用の回線を使用するため、パソコンにダウンロードするのに、例えば30分のアルバムなら5分くらいでCDと同じ音質をキープできるという。これらアメリカの企業体は日本にも支社(ソニーは本社)があり、実験の成果は間違いなく日本の配信サービスに生かされるだろう。
通信衛星を使用するCSデジタル放送は、地上波放送と違って多チャンネル化が可能であり、日本のソニー・グループは音楽配信を視野に置いた専門チャンネルをスカイパーフェクTV!に設けた。「ミュージックリンク」とネーミングされたチャンネルがそれである。問題は不正コピーの防止と料金の設定。現在、通常のレコード販売から音楽家やレコード会社が得る対価は1曲当たり150円程度だが、配信会社がそれを支払い、その上で会社の利益を確保できる料金を考えると、とてもレンタル店の安さ(1枚100〜200円)に対抗できない。これが音楽配信サービスのネックになっている。

音楽著作権
[music copyright]

著作権法の音楽部門で、作詞家や作曲家が自分の作った作品に関して排他的な権利を持つこと。人格権は他人の盗作や恣意の改変を禁じ、財産権は作品が使用されたときの使用料徴収を認めている。また作品の使用形態によって演奏権(実演、放送など)・録音権(レコードなど)・出版権(楽譜など)の支分権に分類されるが、1998年から施行された送信可能化権はデジタルネットワークによるレコード配信サービスに対応するもの。著作権や特許権、商標権などを包括して知的所有権と呼ぶこともある。99年は日本で著作権法が施行されてから100年目になる。

海賊盤
[bootlegs; pirates]

著作権所有者に無断で作られたレコードのこと。ブートレッグはアーチストやレコード会社が市販する意図のない音源をもとに、ブラックマーケットで販売される。パイレーツは市販レコードを非合法に複製したもの。

カバー・バージョン
[cover version]

すでに録音・発売された曲を、別のアーチストが録音すること。自分の旧作を収録しなおす場合もある。日本では日本の既製曲を外国人アーチストが吹き込み、日本で発売するケースもあり、逆カバー・バージョンと呼んでいる。

環境音楽
[environmental music]

生活の中で実用的効能をもつ音楽の総称。工場、オフィス、売り場などの能率向上を意図したバックグラウンド・ミュージック(BGM、日本での用語)に始まり、音楽を含む快適な環境作りを目指すサウンドスケープ(soundscape)に発展していった。一方、家畜、魚群、植物の育成・誘導や人間の学習・医療分野に応用されるバイオ・ミュージック(bio music)の進展が目ざましい。米英ではミュージック・セラピー(music therapy 音楽療法)が盛んで、日本でも近年ヒーリング・サウンド(healing sound 癒しの音楽)に関心が高まっているようだ。

ギグ
[gig]

1930年代にアメリカのジャズ・ミュージシャンの間で使われ始めた言葉で、クラブなどの店に出演することをいい、特に一晩だけの出演という単発の仕事を指す。最近ではロック系アーチストの間で、ふだん一緒に演奏していないメンバーが集まって行うセッションを、ギグということが多い。

クラブ・ミュージック
[club music]

ダンスを中心とした都市の若者文化であるクラブ・カルチャーにおけるダンス音楽一般。ディスコの直系であり、ドラム・マシーン、シークェンサー、サンプリングなどを用いた音楽はハウス(house)と称される。ソウル音楽の要素、それも特にボーカルの要素を取り込んだものはガレージ(garage)といい、1980年代前半にニューヨークで生じ、後半になってこの呼称が使われるようになった。シンセサイザーを用いたサウンドとダンス・ビートを特徴とするものはテクノ(techno)と呼ばれ、もともとクラフトワークなどドイツのロック・バンドの影響下、80年代後半にデトロイトで生じた。そのガレージ、テクノを主体にしたダンス・ビートで踊る音楽サブ・カルチャーとしてジャングル(jungle)がある。ロンドンのクラブ界で生じたもので、きわめてテンポが速く激しく振動する大音量の音楽に合わせ、上半身裸になって踊る現象を指す。
クラブ・ミュージックは従来の音楽を解体して新しいサウンドを創出するため、著作権に絡んだもめごとがよく発生した。また、クラブ・ミュージックの出現で、この種の音楽を流すディスコはクラブと呼ばれ、従来のディスコと区別される。

グラミー賞受賞

1999年第41回グラミー賞(Grammy award)のベスト・レゲエ・アルバムに輝いた「フレンズ」(スライ&ロビー+オールスターズ)は、日本の独立系会社アイノックス・レコードの制作。同社の岩見邦夫社長がスライ&ロビーと歓談中に発想し、プロデュースした。日本では97年8月に発売されたが話題にならず、98年7月にアメリカとイギリスでリリースされるや、たちまちヒットチャートに登場した。日本人の制作、日本原盤のグラミー賞受賞はこれが初めて。当初からレゲエのコンピレーション・シリーズとして企画され、第2弾も制作されることになっている。

グランジ
[grunge]

ハード・ロック、ヘヴィ・メタル、パンクなどを要素として生じたジャンルで、アメリカ北西部の都市、シアトルの雨の多い灰色の空の下で発展した。ニルヴァーナの1991年のアルバム「ネヴァ・マインド」をきっかけとして、広く話題になった。

グルーブ
[groove]

ロックやジャズで使うノリと同義語。クラブ・ミュージックの仲間で使われ、一般的になってきた。

コンピレーション
[compilation]

一定の意図に基づいて編集されたアルバムのこと。アーチストやグループの代表的なヒット曲を編集したり、ダンス曲やバラードなどを集める場合もある。また歴史的な視点から編集されたり、レコード会社が所属アーチストの代表曲を網羅する場合もある。1970年代ころまでオムニバス盤と呼んだ。

サンプリング
[sampling]

シンセサイザーでは再現が困難な現実音(レコードに収録された音楽を含む)を、デジタル信号に変換して半導体に記憶させ、シンセサイザーと併用して音の質や幅や形態を変化させる電子楽器をサンプラー(sampler)と総称する。そのサンプラーにいわば標本として記憶された音を任意に抽出し、これを素材音源として新しい音楽を作り出す手法がサンプリングであり、最近の音楽シーンを一変させた。ある部分の再生音を接続音的に反復させるループ(loop)感は、特にDJやハウス系のミュージシャンに迎えられた。当初は高価な楽器だったがデジタル製品の常として低価格化の進行も速く、サンプラーをいっそう普及させる理由となった。さまざまな機能が付加され操作は簡単になった。

シークェンサー
[sequencer]

シンセサイザーの複雑化、高度化に対応して開発された自動反復演奏システム。同時発音数や音符数、強弱、タイミングなどの表現情報が向上し、編集の容易さも特徴になっている。

シンセサイザー
[synthesizer]

電子発振器を使って音を構成する楽器。1964年、アメリカのロバート・モーグがIC(集積回路)を導入し、キーボード(keyboard 鍵盤)をつけ、自然楽器と決定的に異なる電子楽器として完成した。音の記憶、可変、時間移動、模倣などの特性をもち、あらゆる音楽分野で使われている。

スタンダード(ナンバー)
[standard]

ポピュラー・ソングのうち、年月を超えて長く歌われ演奏されてきた楽曲のこと。ポピュラー歌手のレパートリーやジャズのインプロビゼーション(improvisation即興演奏、アドリブ)の素材に使われる。ビートルズ以後シンガー・ソングライター(自作を歌う歌手)によるスタンダードを、ニュー・スタンダードと呼ぶこともある。

著作隣接権
[neighboring right]

音楽作品を演奏、歌唱する実演家やレコード化するレコード会社(製作者)に認められる権利。当初、隣接権者は著作権者に比べて保護期間が20年と短く、貸与権についても洋楽は認めないなどの格差があった。1990年にアメリカ通商代表部がこれを取り上げ包括通商法スーパー301条を適用すると迫ったのを機に92年、保護期間を50年に延長、貸与権を外国レコード会社にも認めるなどの改正措置をとった。

ディストーション・サウンド
[distortion sound]

エフェクターやアンプを使って音にひずみを与えること。

デジタル・ロック
[digital rock]

テクノ・サウンドとロックを融合したもので、イギリスのケミカル・ブラザーズが1996年秋に2枚のシングルで全英ヒットチャート第1位を獲得してから火がついた。デビッド・ボウイやU2なども影響を受ける。テクノといえばコンピューター・ビートの反復が特徴だが、デジタル・ロックはメロディーを重視した親近感を前面に出す。パンクやヒップホップの感覚とテクノ技法の融合といえそうだ。デジ・ロックとも略称する。

デモテープ
[demonstration tape]

デモンストレーション・テープの略。オーディション・テープとも。新人アーチストの売り込み用、または本格的な制作前の「音見本」用に作られる。マスコミに配布されるプロモーション用はサンプル(見本)盤と呼ぶ。

トラック・ダウン
[track down]

演奏セクションごとに多数のテープに収録された音を、ステレオの場合なら2トラックに整理・収容してマスター・テープを完成させる作業。ミックス・ダウンとも呼ばれ、レコード制作の重要な作業になっている。同じ音素材でもトラック・ダウンいかんでは別のバージョンができる。これをリミックスと呼ぶ。レゲエのミュージシャンが好むリミックスの技術は、特にダブ(dub)といわれる。逆に録音済みのテープを再生しながら、別のトラックに新しい演奏を録音して重ねる方法をオーバーダビングという。サンプリング・マシンやシークェンサーでも同様の手法が用いられ、オーバーダブと呼ばれる。

ドラムン・ベース(D&B)
[drum & bass]

ジャングルから発展したダンス音楽で、ジャングルにかかわっていたイギリスの黒人ミュージシャンがサンプリングされたドラムとベースのビートを基調に、シンセサイザーや生楽器の演奏をミックスした。音楽のスタイルでありながら、演奏の手法でもあり、ミュージシャンの注目を集めた。

トリビュート盤
[tribute]

語義の通り、特定のアーチストやミュージシャンに対して称賛や尊敬の意を表すための企画。その意味では従来からもあったが、近年は企画に賛同する顔ぶれが豪華になって、たたえられるアーチストより、参加するメンバーのほうが話題になっている。

ハードディスク・レコーディング
[hard disc recording]

従来のテープにいったん音楽を録音する方法ではなく、演奏を直接ディスクに録音してしまうスタジオ技術。コンピューターによるデジタル録音で、テープ録音の際のトラック・ダウンが不用になる。

廃盤

採算ラインを割ったレコードを「レコード・カタログ」(レコード会社が年次ごとに発行する商品目録)から削除し、以後販売しないこと。レコード協会の加盟会社は年1回、ファン・サービスの一環として廃盤セールを行っている。

ハウスDJ

二つのターン・テーブルで2枚のアナログ・レコードを同時にかけながら、片方の盤を手で押さえて止めておき、別の盤の曲の気に入った部分とつないでいくという新しいダンス音楽作り。既存の曲の切り張りを行うわけだが、そこには当然、選曲はもちろん、どの部分をどうつなぐかという美的感覚の良し悪しが反映され、いわばレコードという楽器を弾いているのだとも言われる。日本人でニューヨークのクラブに進出して成功している富家哲の例があるように、言葉や容貌を介さないだけ海外進出する可能性が大きい。

ヒット・チャート
[charts]

レコードの売り上げ枚数を算定し、ジャンル別にランクづけしたもの。かつてはポップス、演歌、洋楽をシングルとアルバム別に作成していたが、ジャンルの多様化とレコード種別の増加により複雑になった。業界誌による週間統計ではアメリカの「ビルボード」誌のそれが有名。日本レコード協会は月間で加盟社の出荷枚数に基づくチャートを公表している。

附則14条廃止

著作権法には附則14条があり、喫茶店、ホテル、銀行、美容院など、BGMとしてレコード演奏や有線放送を商行為の場で使うことを特例として認めてきた(音楽喫茶やダンスホールなど音楽中心の商行為はすでに有料化)。この附則を廃止する著作権法の改正は、著作権者や隣接権者が30年間にわたって国会に陳情してきたが実現せず、1999年6月、ようやく衆議院本会議で全員一致による廃止が可決された。推計では無料で音楽を流していた店舗はレコード演奏が9万店、有線放送が112万店という。著作権者、隣接権者側は具体的な使用料規定を検討中だが、カラオケ使用料(最低月額2000円)より低く抑える方針で、福祉、医療、教育施設などは使用料の対象外とした。

ポピュラー・ミュージック
[popular music]

アメリカ合衆国で19世紀末に、はやり歌を生産する産業体制が整い始めてから生み出された営利音楽がポピュラー・ミュージックと称された。ロックが出現して10年ほど経った1960年代後期からは、「ポピュラー」はもっと広義に使われるようになり、現在は、クラシック音楽(classical music)、芸術音楽(art music)と称されている音楽と、それとは対極に位置する民俗音楽(folk music)との間にあり、それぞれとの境界線が必ずしも明確ではない広い領域の音楽を指す言葉として用いられている。その用法を積極的に打ち出しているのが、81年に設立された国際ポピュラー音楽学会であり、学際的に世界のポピュラー・ミュージックの諸相を研究するこの学会の第10回大会が99年7月にオーストラリアのシドニーで開催された。次回大会は2001年で、フィンランドが候補地。

マニピュレーター
[manipulator]

シンセサイザーやシークェンサーなど電子楽器をプログラミングする専門家を指す。

ミディ(MIDI)
[Musical Instrument Digital Interface]

デジタル方式の電子楽器を相互連動させるための統一規格。1983年に日米の電子楽器メーカーが合意に達した。これによって電子楽器単体の演奏だけでなく、電子楽器全体のシステム演奏が可能になった。

ミュージックPOD
[music press on demand]

「ミュージックポッド」と呼ばれ、レコード店やキオスクなどに置かれる音楽の自動販売機。コンピューターに音楽データを集積し、店頭のPODはインターネットを通じてその端末機となる。リスナーは画面のタッチパネルで選曲し、10秒程度の試聴もできる。気に入った曲はMD(ミニ・ディスク)にダウンロードする。1曲につき150円。歌詞カードのシールも一緒に取り出すと250円になる。ブイシンク社の開発で、1999年5月から都内レコード店約30店舗で実験を開始した。インディーズ(独立系)のソフトやメジャーの旧譜を中心に約6000曲をリストアップしている。将来はキオスクやコンビニエンスストアにも配置したい意向。このほかにもディレクTVがCSデジタル放送をインターネットと一体化して、テレビ・ショッピングをする実験を2000年から開始すると発表した。アメリカのAOLと提携して行うものだ。とはいってもインディーズと旧譜が対象ではビジネスにならない。そこで通産省の援助のもと日本レコード協会が「総合音楽データベースの構築」に取り組んでいる(1998年12月)。デジタル流通技術の急速な展開に対応すべく、レコード会社が一元化されたデータベースを構築し、放送のデジタル化対応を含めた新たな音源供給システムを確立するのが目的だ。このような流れをディスクメディアからシリコンメディアへの転換とみる人は多い。レコードというモノがなくても音楽は伝達できるという認識で、レコード会社との契約を切ってしまった音楽家もいる。確かに現在はパソコンで音楽を制作することもできる。しかし、それでも違法な個人サイトに悪用されるという問題は残る。

メディア・ミックス
[media mix]

もともとは広告用語で各種の媒体を組み合わせて、効果的な宣伝効果を上げる意味だったが、ポピュラー音楽の世界では特定の歌手を中心に、CD、CF、テレビ、ラジオ番組出演、タレント本や写真集の出版などを集中させる手法(特にタイアップ)を指す。ヒット曲作りに不可欠との意見もある。

ラップ
[rap]

1970年代後期にニューヨーク市のサウスブロンクス地区に住む若いアフリカ系アメリカ人の間で起こった、音楽、ダンス、落書きから成る街頭文化のヒップホップ(hip-hop)が発展し、そのうちの音楽が80年代に入ってラップという名で知られるようになった。コンピューターを利用したサンプリングによる器楽伴奏に乗せて、韻を踏む歌詞をリズミカルに語るもので、その行為をラッピング(rapping)、それを行う人をラッパー(rapper)という。
都市在住アフリカ系アメリカ人の人種、文化、社会状況と結びついたラップは、世界各国に普及し、ドイツ、ブルガリア、ニュージーランドなどで、社会的に周辺部に追いやられている人たちに、文化上のアイデンティティーを表現するメディアとして用いられている。

リイシュー
[reissue]

かつて発売されたレコードを再プレスし、発売すること。CDなど新しいレコード・メディアが普及すると、いやおうなくリイシューが盛んになる。1970〜80年代の作品のリバイバルの原動力となった。リメイクともいわれる。

レーベル
[label]

レコード盤中央部に張られたブランド表示の紙片。タイトル、アーチスト、作詞・作曲・編曲者、発売会社を記載する。当初は1レコード会社1レーベルだったが、レコード会社間の統合が進行し、1社が多数のレーベルを持つようになった。

ワールド・ミュージック
[world music]

イギリスの音楽産業関係者が1987年に使い始めた用語で、先進工業国以外の国々の、土着性の強いポピュラー・ミュージック一般を指した。その種の音楽に対する人気に見てとれる、米英中心のポピュラー・ミュージックに飽き足らなくなったポストモダン的趣向の変化は、90年代に入っていっそう強まり、アフリカ諸国のポピュラー・ミュージックに対する関心から出発して世界各地の音楽に及んでいる。ケルト音楽と称されるアイルランド音楽に対する関心もその一環であると同時に、ヒーリング効果からも注目されている。一方、映画『タイタニック』の大ヒットがケルト系音楽への関心の新たなきっかけとなった。日本では、ヨーロッパ経由のワールド・ミュージックへの関心が自国の音楽へ目を向けさせることになったのと同時に、アジアの他の国々のポップに対する興味がかきたてられた。
ワールド・ミュージックの意義は固有の土着性の保持だけではなく、活発な交流にある。その意味で、韓国が金大中大統領の訪日を機に、音楽を含めた日本文化の解禁に向かったのは注目されてよい。ビジネス先行に生じるかと思われる文化摩擦を中和する働きがワールド・ミュージックに期待される。

 

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