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奥秩父:笛吹川東沢遡行〜甲武信ヶ岳
(96年10月4日〜5日)


コースタイム:

10/4 駐車場9:36−10:16東沢出合上10:36−11:05ホラの貝11:16−12:50西のナメ滝13:05−13:30釜の沢出合−14:30両門の滝14:50−15:10サイト地

10/5 サイト地7:11−9:12水場9:35−10:08甲武信ヶ岳10:25−12:20ヌク沢12:35−13:26駐車場


 今年の沢の目標は、夏は上廊下で、秋は笛吹川東沢であった。天気はあやしく、3日の夜は雨の中諏訪SAで仮眠する。しかし翌朝にはすっかり晴れ上がった。「雨でも沢に行くんだ」という気合いが晴天を呼ぶのである(本当か?)。西沢渓谷も平日なので人は少ない。橋を渡っていよいよ東沢に入る。水量は前夜までの雨にもかかわらずそれほど多くない。上廊下に比べればかわいいものである。

 しばらく河原歩きだが、下部ゴルジュを避けるために左岸の巻き道に入る。途中、「ホラの貝」のゴルジュを覗きに下る。田部重治は「流れが藍のような凄い色に吐き出されて、大きな釜をなしている。このトンネルがどの位続いているだろうかがわからない。ただ暗い青い水の色が、奥深くに光っている」と書いた。それから80年以上を経た現在も、いささかもその様子に変わりはない。一人感慨にふけったが、同行者二人にはそれほどの感慨もなかった様子である。このゴルジュを突破するにはアブミトラバースなど高度な技術を要する。しかも秋である。もとの巻き道にもどった。

 やがて河原に降り立つと、紅葉の中左右から豪快な滑滝が合わさり、いちいち感嘆してはツルツルのスラブを滑り台にして遊ぶ。やがて右から合わさる釜の沢に入り、滝を越えると「千畳のナメ」の登場。紅葉のトンネルの中を水がサラサラと流れる(写真)。水が足にサーとあたる感覚を楽しむ。北アの赤木沢とはまた違った美しさだ。


 6mの滝を左からYさんを先頭にして高巻く。しかし、トラバースに入るべき箇所も通り過ぎて、どんどん上に登っていってしまう。「ちょっと待てよ」「待て!」「6mの滝でこんなに高巻くわけがないだろ!」ここで少し気を悪くした僕は、続くハイライトの「両門の滝」(写真)を無言で過ごした。そのうち再び河原になり、すぐ幕営適地を見つけてテントを張った。しかし、夕食のカレーには?!マークをつけたかった。平日だけあって、2人の遡行者に会っただけだった。

 朝は寒い。8度である。渓流ソックスをはく時の冷たいこと。水師沢出合下の滝は右から直登。最後の50m滑滝も右を登る。ここの雰囲気もよい。ここを過ぎると甲武信小屋の水場があって、遡行終了。甲武信山頂では金峰に向かう横溝さんと別れ、西沢渓谷に下山した。