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八ツ/ジョウゴ沢・裏同心ルンゼ・アイスクライミング
(98年11月28日〜29日)


目指せ黄蓮谷!

 今年の2月に御在所の3ルンゼ、八ツのジョウゴ沢と、若駒山岳会の人にアイスクライミングに連れていってもらった。そうこうするうち、年末に甲斐駒ヶ岳の黄蓮谷右俣に行くということを聞いて、他会の合宿であるが、僕も参加させてもらうことにした。

 今冬はラッキーなことに、11月中旬以降の冷え込みで、八ツの沢もだいぶ凍っているらしい。記録的な暖冬だった去年は、12月末でもほとんど凍っていなかったらしい。黄蓮谷に向けての最初のトレーニングは、Hさんと僕の2人で行われた。28日、運良く雨は朝までにあがり、美濃戸口から赤岳鉱泉に向けて歩く。下は雨だったが、上は雪だったようである。赤岳鉱泉で積雪5cmくらい。テントを張ってからジョウゴ沢に出発する。

 ジョウゴ沢に入るが、珍しく今日はトレースが無い。沢の左を歩いて行くと、5mF1が現れる。結構凍っていて十分登れるが、先は長いということで右の確保なしで登れる所を通過する。まもなくF2である。4月にASCのメンバーと行ったときは、水がゴーゴー流れていて怖かったが、今日はよく凍っている。Hさんがリードして抜ける。続いてF3があるが、これはどうということもない。前回はこの滝は雪に埋もれていた。沢は開けて右俣を分けると、幅3mくらいのゴルジュになる。ここは氷の滑床になっていて、面白いところだ。ゴルジュを抜けると、正面には高さ20m垂直の「乙女の滝」が現れる。これは蒼い氷で美しい。右を見れば右ルンゼが凍った滑滝をかけている。要するに、ここは強烈に美しい場所なのである(写真)

 「乙女の滝」にトップロープをかけようと右ルンゼの滑滝を確保して登り、左にトラバースして乙女の滝の落ち口に出た。支点は残置ハーケンがあるが、スクリューを3本埋めて支点とした。懸垂下降で降りてトップロープで遊ぶ、といっても、垂直の氷はかなり手強かった。バイルは打ち込めばけっこうきくのだが、アイゼンを蹴りこんでも氷が割れてしまい、なかなかきまらないのである。腕をパンパンにして登った。トップロープを二回やったところで、日暮れも近くなったので赤岳鉱泉に戻ったが、人にも会うことなく面白い一日だった。


 翌日は裏同心ルンゼを登る。ここは初めてだがトレースはある。しばらくは平凡な河原歩きで、やがて氷瀑が現れる。ここで一パーティが登っていた。簡単そうだったが、練習と言うことで確保して登った。続いて3段40mの氷瀑。下2段はたいしたことなかったが、最上段5mはなかなかパーティカルである。左の容易なラインは別のパーティの人が登っていたので、我々は右の垂直な部分を登ることにした。リードは僕である。少し登ってスクリューをセットすることにしたが、これはなかなか厳しかった。分厚い手袋をしていると、カラビナにロープを通すだけでも一苦労で、足がプルプル震えた。そこを越えると大同心の岩場が頭上にそびえて壮観である。最後は大同心の基部を目指して右側の氷瀑を登り、雪のついた急な草付きを登って大同心稜に出た。大同心稜からの眺めはまた素晴らしい(写真)。晴天で風は弱く、まさに登山日和であった。最近はフリーばかりやっていて、久々に充実した山行だった。