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北ア/剣岳・長次郎谷スキー
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コースタイム: 5/31 室堂10:05−−−10:20雷鳥平11:05−−−13:20別山乗越14:00〜〜〜14:20剣沢小屋 6/1 剣沢小屋6:55〜〜7:24長次郎谷出合7:55−11:19長次郎のコル11:40−12:40剣岳山頂13:00 −14:08長次郎のコル14:20〜〜15:25長次郎谷出合15:45−17:38剣沢小屋 6/2 剣沢小屋7:15−−−8:09別山乗越8:25〜〜9:30室堂 1日目:室堂〜別山乗越〜剣沢小屋 平日でのんびりした立山駅から室堂へ。まだまだ雪でいっぱいだ。室堂山荘付近で適当に遊んでから別山乗越を経て剣沢小屋へ14:20着。傾斜は緩いが、正面に剣岳を見ながらの滑降は素晴らしい。今回初めて剣沢を滑る我々はそれだけでも感動。今日の小屋泊まりは我々のみ。夕食はたいへん豪華。 2日目:剣沢小屋〜長次郎谷〜長治郎のコル〜剣岳〜長次郎谷滑降〜剣沢小屋 この日はメインの剣岳往復だ。剣沢を500m滑り、長次郎谷を詰めて剣山頂へ。長次郎谷を1000m滑る。最後には500mの登り返しがあるが。
3日目:剣沢小屋〜別山乗越〜室堂 剣沢小屋から剣岳を振り返りながら剣沢を登り、別山乗越に至る。別山乗越からは雷鳥沢を滑降するが、雪面があれていていまいちだった。素晴らしい3日間の素晴らしいスキーに満足して帰途につく。 @白馬岳周辺、A双六岳周辺、B立山・剱岳周辺。これは北アルプスの三大スキーエリアである。もっとも僕が勝手に選んだだけだが。このうちAは三年前と昨年のGWでかなり滑り込んだ。@は今年のGWに訪れた。残りはBの立山・剱岳周辺である。そこを訪れる機会は意外に早くやってきた。 5/31 室堂から剱沢小屋へ 暖かい立山駅にいると、ほんとに雪があるのだろうかと不安になってくる。しかしケーブルに乗って、バスに乗り換え、弥陀ヶ原を過ぎると周りは一面の銀世界となった。室堂でスキーの準備をしていると、周囲の観光客から珍しそうに見られる。「どこを滑るんですか?」「どこでも滑れますよ」室堂周辺で適当に滑った後に室堂山荘脇から沢筋を滑って雷鳥平へ。さらに別山乗越まで登る。僕は剱岳に行くのは3回目だが、いつも別山乗越からの剱岳には感動させられる。しかし、この時期は夏とは違った様子である。膨大な積雪が残っていて(多分10mくらいはある)別山乗越に小山ができているのだ。さっそく我々は剱岳をバックに滑っている写真を納め、剱沢小屋に向かって滑降開始!!。ここはとにかく眺めが素晴らしい。傾斜が緩いので眺めを満喫しながら滑ることができる。剱岳がどんどん近づいてくる。普通の歩行スピードでは味わえない面白さだ。のんびり滑ったのに20分で剣沢小屋に到着した。 今日の客は我々だけのようだ。僕は食事付きで小屋に泊まるのは実は初めてである。出てきた食事は・・・・これが山小屋の食事なの??と疑いたくなるような素晴らしいものだった。剣沢小屋は夏の混雑したときも美味しい食事らしい。逆に近くの某山小屋は不評らしい。 6/1 長次郎谷から剱岳をピストンする 今日はメインの一日である。幸い朝から素晴らしい天気である。雪が緩み始めるのを待って出発する。まずは長次郎谷への550mの滑降だ。みるみる剱岳の岩壁が近づいてきて素晴らしい眺め。「あそこがU氏が死にそうになったという源次郎尾根T峰下部中谷ルートだよ。すごいボロ岩らしいよ」などと話す。剣沢自体の傾斜はちょうど良く快適に滑れる。平蔵谷を過ぎるといよいよ長次郎谷出合だ。 長次郎谷出合は両岸とも切り立ったゴルジュ状で威圧的である。奥の方に見えるのは八ツ峰の岩峰群だろうか。スキーを背負い、アイゼンに履き替え、ピッケルを持ち、ハーネスを着け、いよいよ念願の長次郎谷に足を踏み入れる。下部は狭くて石が散乱していて、クレバスもあったりして滑れるか不安だ。しかし熊ノ岩が見え始めると広い斜面になってきた。しかも右手には有名な八ツ峰Y峰の岩壁群が立ち並ぶ。こんなダイナミックな景色を見るだけでも満足できるのに、その中をスキーで滑るなんて!!熊ノ岩を越えるのは一つのキーポイントだったが、中間の急なルンゼからあっさりと越えられた。長次郎谷左俣は次第に傾斜を増していく。晴天のため雪はかなり腐ってきていて、一歩ずつステップを蹴り込まないとずり落ちてしまう。登り切ったところは長次郎のコル。予想よりも広く、テント数張り分のスペースがあった。反対斜面をこわごわ覗くと、雲海の上に早月尾根、毛勝三山が浮かんで絶景である。 長次郎のコルからは、稜線を100m登れば剱岳山頂だ。しかし見上げる稜線はかなりの急斜面だ。何とかなるさ、とスキーをデポして登り出すが、登るにつれて高度感が出てくる。しかも雪はグサグサでステップが崩れそうだ。もし落ちたら数百メートルは止まらないだろう、と考えたところで、ザックからロープを取り出してアンザイレンすることにした。ハーネスだけは最初からつけていたので助かった。しかし雪壁の途中でこんな作業をするのは少し怖かった。もっとも、ロープを出したところで、トップは中間支点が取れないので絶対に落ちられない。ピッケルを深く刺し、足を何度も蹴り込んで確実なステップを作りながら登る。セカンドの確保はスタンディングアックスビレイだ。結局2ピッチザイルを使用すると、緩い雪稜になって一安心。振り返るとまさに絶景である。結局コルから山頂まで1時間もかかった。 山スキーの場合、どうも山頂でゆっくりするよりも、早く滑りたいという欲求に駆られる。山頂の休憩もそこそこにして下り始める。コルへの下りは登りよりも慎重に3ピッチで下る。さていよいよコルから滑降開始だ。しかし、熊ノ岩の上までの300mは平均斜度35度はある。35度というと、ゲレンデでは上級者コースに部分的に現れるだけで、長く続くことはない。それでも適当な雪質なら滑れるのだが、今日はグサグサ過ぎる。案の定、ターンの際に板が雪に突き刺さってしまう。こういう雪と傾斜の時はテレマークよりもアルペンの方が優れている。Kなどは途中で板をはずして歩いている。僕は大回りのターンで下るが、大回り過ぎて、真っ直ぐ歩いて降りてくるKとあまりスピードは変わらない。 それでも下るにつれて快適にターンが決まるようになってきた。熊ノ岩のルンゼは40度以上あるので横滑りでクリア。熊ノ岩の下はさらに傾斜・雪質とも快適になり、ガンガンとばす。まったく素晴らしい。下部では石が転がっているが、その間を縫うように滑るのも楽しい。こうして1000mの滑降を終えた。 滑りを終えたが、さらに剣沢小屋への550mの登り返しがある。次第に日が陰ってきて、剱岳の影が長くなってくる中、6時近くになってようやく剣沢小屋に到着した。小屋のお兄さんが、「もう少し遅かったら様子を見に行こうかと思ってましたよ」といって、缶ジュースをいただいた。ほんと、剣沢小屋はよい小屋です。小屋では、今日の10時間半の行動と素晴らしいスキーを思い返しながら、スキーや冬季登攀のビデオに見入った。 6/1 室堂に下山 朝日に輝く剱岳を振り返りながら剣沢小屋を後にする。雷鳥沢は30度程度だが、気合いか入らずコケながら下った。翌日は日本最大の滝である称名の滝を見に行ったが、すごい迫力で一見の価値ありだった。 それにしても、山スキーは何て楽しいのだろうか。自分でルートを選んで自由自在に行動し、滑る。まさにスキーは魔法の乗り物だ。人間が自分の力でコントロールできる範囲内で、最高のスピードが出せるのはスキーだ。それを山に持ち込んむことは、最高の贅沢だと思う。ASCのみんなも、ガイドを頼って計画を考えるのではなく、地図を眺めて自分で滑れそうなルートを選び、スキーを持ってでかけるという遊びをやってみてほしい。白馬岳から日本海へ、剱岳から日本海へ。立山から槍ヶ岳へ。規制の多い世の中で、雪とスキーの組み合わせは登山者に本当の自由とは何かを教えてくれます。 |