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八ツ/小同心クラック&中山尾根
(99年10月9〜10日)


コースタイム:

10/9 美濃戸6:39−−8:28赤岳鉱泉9:26−−10:27大同心基部10:50−−11:27小同心基部12:00
   −−(小同心クラック)−−13:45横岳14:17−−16:17赤岳鉱泉

10/10 赤岳鉱泉6:40−−7:03中山乗越7:10−−7:51下部岩壁取付8:26−−10:40稜線11:10
   −−12:16赤岳鉱泉12:50−−14:16美濃戸

横岳西壁

 中山乗越の下からは横岳西壁がよく見える。左が大同心で右が小同心左岩峰。小同心左岩峰の中央の顕著なクラックが小同心クラックルート。
 今年は9月に北岳バットレスを計画したものの、雨で中止。今年も御在所の岩だけで終わってしまうのだろうか・・・・。そこで最後のチャンスと、八ツの岩を計画した。八ツの岩といえば、ボロくて無雪期にはとてもダメという噂も聞く。しかし小同心などピッチ数も手頃で、初心者同士のパーティにはちょうどよさそうだ。

10月9日 小同心クラック
 美濃戸まで車で入って赤岳鉱泉に向かう。この道を歩くのは7回目だが、雪のない時に歩くのは初めてだ。約2時間で赤岳鉱泉に到着。テントを張って大同心稜へと向かう。「大同心沢」の看板の地点から踏み跡に入り、左の大同心稜に進む。踏み跡は非常に明瞭で迷うことなく約1時間で大同心基部に付いた。このあたりは紅葉していてなかなか良い眺めである。
 さて小同心へ向かうが、ここから先は初めてのルートだ。先行パーティも無く不安である。大同心の基部の明瞭なバンドをトラバースし、大同心ルンゼをそのまま横断する。しかしここでちょっと間違って大同心ルンゼを詰めてしまう。すぐ気が付いて引き返し、小同心基部のトラバースに入る。ここの踏み跡はあまり明瞭でなく、少しミスったりしながらも、何とか小同心クラックの取付までたどりついた。
 取付は広くくつろげる場所で、フラットソールなど登攀準備をする。さあ登攀開始!!

1ピッチ目 IV-

 岩角を確保支点にしてもらい、左上のチムニーっぽい場所を目がけて登る。見た目はボロそうだが、登ってみると意外としっかりしていて、ホールドも大きくて快適に登れる。チムニーに入ってしばらくで、屋根状の岩の下に明瞭な確保点があるのでそこで確保する。
2ピッチ目 IV

 そのままチムニーを登る。非常に快適なルートでグイグイ高度が稼げる。いつまでも登っていたくなってしまうようなルート。上部で左右に分かれるが、右側の浅いチムニーを登ると小同心の肩に着くのでそこでビレイ。稜線の人が見える。写真は肩の抜け口
3ピッチ目 III

 小同心の頭に向かってバンドを登るが、容易なピッチである。岩角を支点にビレイする。
 小同心を登り切り、三人とも満足げに横岳頂上までコンテで進む。山頂に出ると中高年登山者がたくさんいて、我々は注目の的に。特に女の子が二人もいたことでビックリしたんだろう。三人で握手し、硫黄岳を経由して赤岳鉱泉に戻った。


10月10日 中山尾根
 朝は寒い。今日は中山尾根だ。小同心以上に脆そうなので行く前から緊張する。中山乗越に向かい、中山尾根に入るが、踏み跡は不明瞭。樹林の中をアイゼンの穴を探しながら適当にたどっていく。やがて細いリッジになると、下部岩壁の取付に到着。登攀準備をする。

下部岩壁1ピッチ目 IV

 さて登攀開始だが、ガイドでは右下に下がってIII+のチムニーを登るとある。しかし我々は取付から登り始めた。すると一カ所IVくらいの難しい箇所に出くわした。ここを右にかわすとチムニーに出て、あとは左上すると確保点がある。
下部岩壁2ピッチ目は左に回り込んで凹角を登り、15mほどで灌木で確保する。確保していたら、下から若駒の三人パーティが登ってきた。お互いあいさつをする。

 その後はしばらく岩稜と草付きをコンテで登る。まだ日陰のため、霜で浮き石が凍り付いているからいいが、融けだしたら大変だ。やがて問題の上部岩壁が登場。

上部岩壁 IV+

 下の方はあまり支点が無いが、凹角ぽい所を15mほど登ると右側に確保支点があるテラスになる。そのまま左上のかぶり気味のチムニーに入る。ハーケンが何カ所かあるが、ナッツを一つセットしてヨイショと乗り越えると気分がよい。写真は抜けたところ。左上の灌木でビレイ。

 後は岩稜をコンテで登る。一カ所4mくらいの垂壁があったが、そのまま通過するとトサカ状岩峰の基部に出た。もう稜線はすぐ横に見え、登山者もたくさん歩いていたので、ここはパスして、右に続くバンドをトラバースして稜線に出た。完登を祝って握手。

 今回の岩は簡単なコースとはいえ、先行パーティのいない初めてのルートを自力で登ることができ、たいへん満足できる内容だった。次は冬に来てみたいルートだ。