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北ア/錫杖岳前衛フェース左方カンテ
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若駒山岳会のHさんとともに錫杖の岩場に挑戦した。錫杖の岩場に行きたいと思ったのは10月中旬であるので、意外とあっさりと?実現したが、10月下旬に名古屋から一泊二日程度で行ける雪の無い本チャンの岩場となると、錫杖しかないのである。 10/30 槍見温泉の露天風呂の駐車場で寝るが、夜は結構雨が降る。朝もガスっていたが、7:25発。クリヤ谷の登山道を登る。8:40に錫杖沢出合着。本当は岩場が見えるはずだが、何も見えない。錫杖沢出合は小さいテントなら4張りくらいは可能。 本当は今日左方カンテを登る計画だったが、ベースを張ってガスが晴れるまで昼寝する。昼過ぎガスが次第に晴れてきて錫杖の岩場が見え始めた。高さ300mほどもあるビルディング状の岩場が紅葉の奥に屹立している。もう登る時間はないので今日は下見だけ、ということにして出発する。最初錫杖沢沿いを詰めるが、右手の巻き道を進むと沢から離れ、ひどくヤブっぽい踏み跡になって結局ヤブこぎになる。 岩場の直下に到着して振り返ると、白く輝く穂高連峰が見えて素晴らしい眺めだ。さて、一通りルートの取付を確認することにしたが、これがなかなか大変である。何しろはじめての岩場で、他には誰もいないのだ。いや、上部の方には誰かがいるようでコールが聞こえるが・・・・。左方カンテの取付らしいルンゼはあるが、ホントにこれかどうかはわからない。取りあえず2ピッチ試登して、多分左方カンテだろうということにして?、懸垂下降して戻った。 登ってきた踏み跡は、あまりに薄かったため、もうどこか分からなくなってしまったので、一般的なアプローチルートの北沢を下る。水のない急な沢をしばらく下ると錫杖沢に合流するが、その場所に錫杖岩屋というベース地がある。ここはなかなか快適そうだった。そのまま錫杖沢を沢沿いに下って途中から左岸の踏み跡を下ると出合についた。 この日の夜はなぜか6時には寝てしまい、12時間も寝た。翌日には岩場を登って、帰宅した。 家に帰ってから山行の話になった。ところが、一日目の偵察のことは思い出せるのだが、二日目のことになると全く思い出せない。左方カンテを登ったハズなんだけど、・・・。うぉー、何で思い出せないんだ〜!!。そうだ、まだ一日目の夜だった。なかなか怖い夢でした。 10/31 変な夢をたくさん見て楽しい?一夜だった。朝は寒いが、6:17、夜明けとともに出発する。前衛フェースに日が当たり始める。見上げる岩場は垂直にそそり立ち、左方カンテがどんなルートか楽しみだ。しかし一体どこが左方カンテルートなんだろうか?
錫杖沢から北沢を詰めて取付まで40分ほどである。そこではすでに先行の四人パーティが登攀準備をしていた。やはり昨日試登したルートが左方カンテだったようだ。日もあたりはじめて暖かくなってきた。7:45、我々も登攀開始!!
11:50、とうとう左方カンテを抜け、ピーク近くの広いテラスに出た。抜けるとこれまで見えなかった槍ヶ岳が現れて、充実感を味わえる。取りあえず握手する。 さて下降に移ろうと、先行パーティの後を追う。ところがP2を左にトラバースする部分で、踏み跡を見失ってしまう。先行パーティはいつの間にかはるか先の烏帽子岩の西肩まで進んでおり、小さくなってしまった。いったいどうやって進んだのか??。しばらくウロウロしたが、結局わからず、左方カンテを懸垂で下ることにした。このとき、北沢に小さい石を落としたのだが、最初はカラカラと乾いた音だったのが、落ちていくにしたがい、ゴーン・ゴーンと不気味な低い音になって反響し、非常に不気味だった。 懸垂下降も楽でない。登りの8ピッチ目の部分で、途中の灌木に引っかかって回収不能になってしまった。アブミで登り返してロワーダウンしたが、またまた引っかかってしまいさらに登り返し。精神的に疲労感がつのる。結局8回の懸垂下降に2時間あまりを費やした。 15:30取付に戻り、錫杖沢を下ってベースを撤収し、17:15、暗くなる頃駐車場に戻った。 今回の左方カンテはV級のピッチも多かったが、岩も堅く支点もしっかりしていて、なかなか快適なクライミングを楽しめた。錫杖前衛フェースの岩場は南東面に位置するため、晴天ならばかなり暖かく、今回もちょうどよい暖かさだった。しかし真夏の晴れた日に来るとかなり暑いかもしれない。 今シーズンのアルパインは八ツや錫杖も行けて満足できる成果が得られた。 |