Kazushigeのミコノスの1日

ミコノス島は僕にとってちょっと可哀想な島である。なぜなら僕には世界で1番好きなサントリーニ島があるから。 この島がある限りミコノス島は僕にとって永遠に世界で2番目に好きな島だ。どうしてサントリーニが1番でミコノスが2番かというと ミコノス島には昔神様が住んでいたような雰囲気がないのである。サントリーニ島は昔絶対神様が住んでいた島に違いない、 そう思える島なのだ。何だかミコノス島を初っ端からけなしているように感じるかもしれないがそうではない。 ミコノス島は世界で2番目に好きな島だけあって本当に素晴らしい島なのだ。とにかくこれぞギリシャの海!と言えるくらい海が綺麗だ。 ミコノス島の海の特徴は波が静かで全体的に海に魚や生物がほとんどいなくて海の底が今まで誰も触れたことがないような 綺麗な砂で敷き詰められ何だか果ての無い巨大なプールみたいな感じだ。ちょっと沖まで泳いで海の中に潜れば本当に静かな 独りだけの映画でしか観たことのないような世界を味わうことが出来る。
ミコノス島で過ごす一日を書いてみたいと思う。

朝、ミコノスグランドホテルのオーシャンビューの部屋の天蓋つきベッドで目覚める。このホテルは今年(2001年) の5月にオープンしたばかりの新しいホテルだ。このホテルはアギオ・ヤニスという静かで綺麗なビーチに建っている。 昔「シャーリー・バレンタイン(邦題:旅する女)」という映画のロケ地になったところだそうだ。 話がちょっと横にそれてしまったが僕達がこの部屋に初めて泊まる客かもしれない、と思うくらい部屋が新しく綺麗だ。 部屋の窓からはエメラルドブルーの海とその向こうに隣のデロス島が見える。

シャワーを浴びてから朝食を摂りに行く。朝食のレストランからはホテルのプールとその先の海が見下ろせる。 レストランの床は大理石、真っ白な壁、海側の柱は石を積み上げて作られており本当にお洒落。 テーブルにセットしてある食器も全てオリジナルで一つ一つに可愛いイルカの絵が描かれている。 こんなレストランが日本にももしあったら朝食だけで1人5,000円は軽く取られるだろうな…と思う。 朝食はビュッフェスタイルで自分達のテーブルを決めて飲み物をコーヒーか紅茶をウェイトレスさんにオーダーしたら ビュッフェコーナーへ行く。ここのお薦めはシェフがその場で作ってくれるオリーブオイルをたっぷり使ったオムレツだ。 そんなに使うの!?というくらい本当にオリーブオイルを使う。そして出来上がったオムレツにタップリとケチャップをかける。 ギリシャのケチャップも世界一?と思うくらい美味しい。1人前のオムレツで恐らく卵3個は使っていると思うが全然油っぽくなく さっぱりしているのでぺロリと食べてしまう。僕はオムレツとサラダとヨーグルト、ギリシャのビスケットとボリュームたっぷり の朝食を摂る。なぜなら今日はレストランも1〜2軒くらいしかなければ人もほとんどいないようなビーチへ行くからお昼は抜いて 食事は夕方までお預けだからだ。

朝食を食べ終わったら水着に着替えてビーチへ向かう。ビーチへはミコノスタウンで借りたスクーターで行く。 ホテルからビーチまでは約30分くらいの道のりだ。本当はもっと早く行けるのだが妻を後ろに乗せているしギリシャ人の運転は 本当に荒っぽいのでゆっくり行く。でもゆっくり運転している僕らでも1つだけ追い越せる車がある。それはスイカ売りのトラック。 日本の焼き芋屋さんの車のようにノロノロ走りながらマイクで「取れたてホッカホカの甘いスイカだよ〜」と言って売っているのだ。

ビーチに着いて時計を見たら午前11時くらい。ビーチにはまだ10人前後しかいない、とは言ってもここはバスなど公共の交通機関が 通っていないので午後のピーク時になってもプラス10人くらいしか来ない。ほとんどプライベートビーチみたいだ。 砂浜を歩いて自分達の場所を探す。何人か寝そべっている人の横を通り過ぎるのだが、ここのビーチにいる人はトップレスか 全裸の男女がほとんどで嬉しいというか目のやり場に困ってしまう。適当な場所を妻が決めビーチタオルを砂浜に敷いて寝そべる。 このビーチは貸しパラソルなんてないから太陽から隠れることは出来ないのでタオルや帽子を被って頭だけは守る。 先に滞在したサントリーニ島で肌を焼いたので既に全身真っ黒だが、妻も僕も体中にサンオイルを塗りたくってこれでもか〜! というくらい肌を焼く。結婚する前は妻には日焼けしすぎると晩年シミだらけになるし皮膚ガンになるぞ!と言っていた僕だが…。

太陽の下で肌を焼き、体から汗が出てもう暑くて耐えられなくなったら海に飛び込む。ミコノス島の海は夏でもかなり冷たいので こういった状況に体を追い込んで海に入ると気持ちがいい。このビーチでは人もまばらだし貴重品も大して持ってきていないので 荷物を砂浜に置いて妻と一緒に海に入る。妻と僕はこのビーチの透明度はどれくらいあるかお互い離れてどれくらいまでお互いが 見えるかチェックした。正確にはわからないが少なくとも15〜6メートルは離れてもお互いの体は見ることが出来た。 海の透明度をチェックしたら今度は二人で沖のほうまで泳ぐ。日本では毎日のようにスポーツクラブで運動しているけど ギリシャでは過食で運動不足の毎日なのでせめて水泳でカロリーを消費しようと二人で頑張る。

海でひと泳ぎしたら妻は昼寝をする。妻はパラソルも無い炎天下の中で熟睡が出来る変な女だ。 僕はとても太陽の真下で日除けもないところで昼寝なんか出来ないので妻をおいてビーチの端で遊んでいるアヒルの群れのところへ 歩いていってみる。誰が飼い主なのかは全く分からないがこのビーチには10数匹のアヒルが日中放し飼いにされていて海で 気持ち良さそうに泳いでいるのだ。僕がアヒル達に近づいても全然怖がらず反対にアヒルの方から近づいてきて面白い。 アヒルと海を眺めながらボォーと時間を忘れて過ごす。

そろそろお腹が空いてきたな、と感じて時計を見たら午後の3時半。妻のところへ戻り遅めの昼食をしにミコノスタウンへ行く。 ミコノスタウンにあるJimmy’sというギロ屋さんへ行く。僕達夫婦が今回の旅行で1番美味しいと思ったギロ屋さんである。 「ギロ」という食べ物について簡単に説明したいと思う。ギリシャで最もポピュラーなファーストフードで、色んなハーブで マリネした豚肉を何時間もグリルでじっくり焼いてそれをナイフで削ぎ切りにしたものとトマト、タマネギ、ニンニクの 風味が効いたヨーグルトソースをピタパンというパンで巻いたものだ。店によってはギロの中にフライドポテトを2〜3個 入れてくれることもある。これは本当に美味しい。ギロの味を一度知ってしまうとギリシャでピザやハンバーガー等の ファーストフードを食べようなんて思わなくなる。 夜のことも考えて一人ギロ1つづつ、山盛りのフライドポテトを一皿注文し二人で分けて食べる。 ここはギロはもちろんのことフライドポテトも異常に美味しいのだ。大きくカットしたポテトをオリーブオイルで揚げていて少しも 油臭くなくさっぱりしていてホクホクしている。そしてそれにバジル等のハーブが混ざった塩を振りかけて食べるのだ。

お腹が満足したらホテルに戻りプールで泳いだりプールサイドのベッドで寝そべって本を読んだりして日没までの時間をゆっくりと 過ごす。日没時間に近づいたら部屋に戻りシャワーを浴びて二人で部屋のバルコニーでサンセットを待ちながらコンプリメンタリー のワインを飲む。心地よい風に吹かれて綺麗な海と夕日を見てワインを飲んでいると「このまま永遠に時間が止まってくれたら…」 と思ってしまう。

サンセットを見た後は夕食だ。今日は妻が前から予約していたぺタソスビーチホテルでのグリークダンスを観ながらのビュッフェだ。 この夕食は僕ら夫婦にとってギリシャ旅行の中でメインイベントの1つでもあるのでちょっとお洒落していく。 ロビーに行くとお迎えの車が来ていてぺタソスビーチホテルまで連れて行ってくれる。 ぺタソスビーチホテルは去年旅行したときに泊まったホテルでプラティヤロスという綺麗なビーチに建っていて従業員もとても フレンドリーで妻と僕のお気に入りのホテルである。レストランは海に面していて綺麗な海を観ながら食事が出来る。

大体夜の9時くらいから夕食が始まる。食事をに取りに行く順番はテーブル毎に違うので自分達の順番が来るまで妻はスイカジュース、 僕はビールを飲んでゆっくり待つ。自分達の順番が来たので食事を取りに行く。 ここのビュッフェはお皿を貰ったら自分で料理を取るのではなくカウンターの向こうにいる料理人に 「この料理とこの料理を下さい」と言うと適量を取ってくれる。ギリシャの代表的な料理は大体揃っていて何の料理か尋ねると 丁寧に教えてくれる。大きいお皿に山盛り料理を載せてテーブルに戻り食事を始める。僕はここの料理が大好きである。 一つ一つの料理がとても美味しいのもあるが、普通のレストランでは2人だと頑張っても3〜4種類の料理しか楽しめないのが ここでは沢山の種類の料理を一度に楽しめるからである。妻も僕も2回もお替わりしてしまった。

食事が終わるといよいよグリークダンスの時間だ。ゆっくりとしたテンポのギリシャ音楽が流れると、男性ダンサー3人が現れ お互い肩を組んでゆっくりと踊り始める。 その中の1人は60歳前後の可愛らしいおじいちゃんなんだけど本当に足取りが軽やかで惚れ惚れする。 若い頃はさぞかし女性を泣かせたんだろうな、なんて下世話なことを考えてしまう。グリークダンスは観ていて本当に楽しい。 楽しそうに踊っているダンサーを観ていると自分がギリシャにいるんだな、ということを改めて感じさせてくれる。 ダンサーは数曲代表的なギリシャの踊りを見せたら今度は観ていた客を誘って皆で踊りだす。 皆で手をつないでレストラン中を踊り歩くのだ。簡単なステップだけ教えてくれて誰でも楽しめるようにしてくれるのが嬉しい。 ダンスは深夜まで続くみたいだが、僕達は12時ごろで引き上げてホテルへ帰って寝る。

ミコノス島での長い1日は終わった。 ミコノス島は本当に素晴らしい島だ。サントリーニの次に…。終わり