憲法法規と財政原理

 

目次

序文

序章 今日における国会中心財政主義の意義
 第1節 国権の最高機関としての国会
  1 間接民主制と国権の最高機関
  (1) 国会の有する二重の地位
  (2) 権力分立制に基づく立法の意義と限界
  2 形式的意味の立法の限界
 第2節 現代における国会中心財政主義の意義
  1 国会中心財政主義と租税法律主義の異同
  (1) 議会財政権の「監督権」としての沿革
  (2) 国民主権と財政権
  2 両原理の歴史的発展過程
 第3節 国会中心財政主義とフィスカルポリシー
  1 財政処理権の「監督権」としての構成の問題点
  2 財政管理権とフィスカルポリシー

第一部 財政積極主義の下における憲法
 第一章 予算の法的性格
 第1節 学説の概況とその問題点
 第2節 予算の社会性
  1 社会性に関する学説の概況
  2 予算と社会性の関連
  3 私見ーー全体社会説を基礎とする部分社会規範としての予算
 第3節 予算の一般性
  1 一般性の概念と予算の関連
  2 「法律」における一般性の必要について
  3 予算における一般性の欠落
 第4節 予算の法規範性の特徴
  1 民主主義に基づく法規範としての予算
  2 予算における年度区分の意義

 第二章 予算法律説への疑問
 第1節 予算法律説の主張について
 第2節 各国の予算法について
  1 各国予算法の概況
  (1) イギリスの場合
  (2) フランスの場合
  (3) ドイツの場合
  (4) 米国の場合
  2 各国予算法の法的性格
 第3節 予算法律説のその他の根拠について
  1 占領軍側の意思について
  2 旧憲法下の解釈との関係について
  3 予算内容の根拠規定について
  4 予算法形式説の形式上の根拠に対する批判について
  5 予算と法律の同位関係について
  (1) 消極的同意の原則
  (2) 予算の「抱き合わせ」の危険について
  (3) 「裏口支出」の危険について
  5 予算と法律の不一致について
  (1) 不一致の事態における予算と法律の優劣関係
  (2) 不一致の解消は本当に必要か ?

 第三章  予算内容の法的検討
 第1節 予算の内容に対する憲法上の要求
  1 問題の所在
  2 国会中心財政主義と諸国の制度
  (1) イギリスの場合
  (2) フランスの場合
  (3) ドイツの場合
  (4) アメリカの場合
 第2節 予算および決算の法規範性の持つ意味
  1 問題の所在
  2 法の強要性と法的強制力
  3 予算の法規範性の意味するもの
  (1) 歳入予算の法規範性
  (2) 歳出予算の法規範性
  4 決算の法規範性について
  (1) 決算をめぐる実務および学説とその問題点
 第3節 国会中心財政主義の意味するもの
  1 総計予算主義
  2 内閣の予算提出義務について
    (1) 総計予算主義と予算提出義務
  (2) 予算提出「権」とする見解について
  (3) 国会の増額修正権について
  3 予備費制度について
  4 総計予算主義とリース契約
  (1) 問題の所在
  (2) リース契約の合理性
  (3) リース契約の現行法制化における問題性

 第四章 米国の財政制度ー米国財政赤字の制度的原因
 第1節 前史ー豚肉樽から偉大な社会まで
  1 予算制度の概要
  2 支出充当と法律の異同
  3 支出充当法の制定方法と制約要因
  (1) 契約授権
  (2) 公債権収入使用授権
  (3) 義務的なエンタイトルメント
  (4) 信託基金
 第2節 ニクソンの財政改革
  1 執行留保の概念について
  2 ニクソンの執行留保
  3 議会の反撃
  4 ニクソン改革の評価
 第3節 議会予算及び執行留保統制法の内容
  1  執行留保に関する改革
  2 財政制度に関する改革
  3 現状とその問題点
  (1) 74年法の問題点
  (2) 議会による自己改革の限界
 第4節 わが国制度との比較
  1 米国制度の短所とわが国制度
  2 米国制度の長所とわが国制度
  3 まとめーー他山の石

 第五章 財政管理権における実効性の確保について
 第1節 財政管理機能の実効性確保の必要性
 第2節 予算を通じた財政管理権の行使とその限界
  1 予算を通じた財政管理の諸手法
  (1) スミスの予算管理用具説
  (2) 事業別予算制度
  (3) PPBS
  (4) ゼロベース予算
 第3節 決算を通じた財政管理の可能性
  1 財政管理手段としての決算の意義
  2 財政統制手段としての決算の歴史
  3 決算の財政管理手段としての有効性
  4 決算で使用しうる財政管理手段
  (1) 決算のための財政管理補助機関
    @ 会計検査院
    A 議会型オムブズマン
  (2) 決算による財政管理手法

 第六章  憲法89条後半における「公の支配」の意義
 第1節 問題の所在
  1 89条に関する問題点
  2 問題解決の視点
 第2節 学説の現状と問題点
  1 私学補助違憲説
  (1) 全面違憲説
  (2) 二分説
  2 実務の見解
  3 私学補助合憲説
  (1) 財政統制説
  (2) 公的性質説
  (3) 学習者交付説
 第3節 私見ーー事後的財政管理の代替手段としての公的監督
  1 「公の支配」の公的監督としての把握
  2 公的監督の具体的内容
  (1) 89条前半との関係
  (2) 慈善・博愛事業との総合的解釈の必要性
  3 まとめ

 第七章 国民主権原理と会計検査院の憲法上の地位
 第1節 権力分立制と会計検査院の関係に関するわが国学説の現状
  1 会計検査院の三権に対する独立性
  2 会計検査院の独立性の根拠に関する学説とその問題点
  3 独立行政委員会の合憲性に関する学説の会計検査院の独立性への        適用について
  (1) 65条の文言を根拠とする説について
  (2) 国会のコントロール下にあるとする説について
  (3) 行政委員の任期を根拠とする説について
  (4) 準司法・準立法機関とする説について
  4 まとめ
 第2節 権力分立制と最高財政監督機関の関係に関する各国の取組み
  1 最高財政監督機関の地位に関する各国の概況
  (1) 立法機関従属機関型
  (2) 司法機関型
  (3) 行政機関型
  (4) 第四権的機関型
  (5) 独立機関型
  2 まとめ
 第3節 国会の優越する内部行政領域
  1 権力分立制の外に立つ機関
  2 権力府の自律性の制限について
  3 国会中心財政主義と会計検査院
 第4節 国会中心財政主義と会計検査院の補助機関性
  1 国会の従属機関とすることの問題点
  2 解釈論としての国会従属機関説の不可能性について
  (1) 形式的根拠
  (2) 旧法との継続性
  (3) 現行憲法制定の経緯
  (4) 比較法的根拠
  3 憲法的立法論としての国会従属機関説の不当性について
  4 会計検査院の補助機関性
  (1) 会計検査活動の2層性について
  (2) 内部監査と外部監査
  (3) 外部監査機関としての会計検査院
  (4) 独立概念の多義性と補助機関性
  (5) 会計検査院と内閣の関係

第二部 租税法律主義の今日における意義
 第一章 租税法律主義にいう租税概念の外延について
 第1節 租税法律主義に関する学説の現状
  1 租税法律主義の課税要件法定主義としての意義
  2 租税の概念
  3 憲法学における実質的租税概念(その1)
  4 憲法学における実質的租税概念(その2)
  5 憲法学上の実質的租税概念に対する批判
  第2節 財政法三条の解釈について
  1 財政法3条と憲法84条の関係
  2 法3条に関する私見
  3 独占料金に関する私見
  4 法3条に関するまとめ
 第3節 84条をめぐる従来の学説の問題点
  1 84条と、83条および41条との関係
  2 84条を83条のは生徒間が得ることの異常性について
  3 課税要件法定主義と法治主義の相違について
  4 租税の伝統的定義の憲法学における問題点
  (1) 金銭給付について
  (2) 権力的課徴について
  (3) 一般的標準による賦課について
 第4節 私見ー租税に関する定義とその根拠
  1 租税の多義性と憲法学の対象とすべき側面
  2 租税と社会的予見可能性の存在
  (1) 法規範と社会的的予見可能性
  (2) 租税における予見可能性確保の困難性の原因
  (3) 非選択性について
  (4) 対価性および選択性概念の具体的内容について

 (付説) 関税は租税に該当するのか

 第二章 財政法における課徴金の概念について
 第1節 財政法における課徴金の概念
  1 手数料
  2 社会保障関係課徴金
  3 負担金
  4 罰金等
  5 訴訟費用等
 第2節 財政法上の課徴金と憲法上の課徴金の異同

 第三章 租税法律主義と手数料
 第1節 手数料の租税該当性に関する研究方法について
  1 基本的姿勢について
  (1) 租税について
  (2) 手数料について
  2 手数料法制に関する実態調査について
  3 手数料法制の分類基準の不明確性について
  4 収入目的性との関連について
 第2節 任意的手数料と必要的手数料
 第3節 必要的手数料にかかる規制類型
  1 非法定型手数料の概要
  2 法定型手数料の基本類型
  3 政令委任型手数料の概要
 第4節 必要的手数料と租税該当性
  1 収入目的性について
  2 非選択性について
  3 非対価性について
  (1) 法律明記型手数料
  (2) 政令委任型手数料
    @ 実費勘案型手数料
    A 上限規制型手数料
    B 全面委任型手数料
  (3) 非法定型手数料

 第四章 租税法律主義と社会保障関係課徴金
 第1節 社会保障の概念
 第2節 社会保険
  1 総説
  (1) 社会保険の意義
  (2) 社会保険の特徴
  (3) 社会保険の対象
  (4) 保険料徴収を伴う社会保険の特徴
  2 医療保険
  (1) 制度の概要
  (2) 非選択性について
    @ 判例の見解
    A 逆選択について
  (3) 非対価性について
    @ 職域保険における保険料の算定方法について
    A 地域保険における保険料の算定方法について
        B 医療保険における対価性について
  (4) 収入目的性について
        @ 国が保険者でない公的医療保険について
        A 立法政策性とプール制について
        B 現状の評価
   3 年金保険
  (1) 制度の概要
        @ 年金保険の複層構造
        A 年金保険の系列
  (2) 租税該当性について
        @ 年金保険における対価性
        A 基礎年金における租税該当性
        B 2階部分に関する租税該当性
        C 準公的年金に関する租税該当性
        D 年金保険に関する租税該当性のまとめ
  (3) 関連問題について
        @ 国民年金の空洞化について
        A 2階部分の一元化問題について
  4 労働保険
  (1) 制度の概要 
  (2) 租税該当性について
  5 社会保険のまとめ
 第3節 公的扶助における費用の徴収
  1 制度の概要
  (1) 費用徴収が問題となる領域
  (2) 費用徴収規定の内容
  (3) 費用徴収の法的性質
  2 租税該当性について
 第4節 児童手当
  1 制度の概要
  (1) 児童手当制度の概要
  (2) 特例給付制度の概要
  2 租税該当性について

 第五章 租税法律主義と負担金
 第1節負担金の概念
  1 財政法3条と10条の関係
  2 実定法上の負担金の分類について
 第2節 公共用財産に係る負担金
  1 原因者負担金
  (1) 原因者負担金の発生原因と法的性格
  (2) 原因者負担金の租税該当性
  2 受益者負担金
  (1) 一般的受益者
  (2) 特別受益者の2類型
  (3) 反射的受益者負担金について
  (4) 積極的受益者負担金について
  (5) 反射的受益者負担金法制の合憲性
 第3節 公共福祉目的事業の負担金
  1 受益者負担金
  2 原因者負担金

 第六章 租税法律主義と罰金等
 第1節 罰金等の種類
 第2節 罰金等の租税該当性

 第七章 租税法律主義と訴訟費用等
 第1節 訴訟費用等の種類
 第2節 訴訟費用等の租税該当性

 後書き
  参照条文

 

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