甲斐ゼミに応募する人に

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甲斐ゼミとは

(一) ゼミでの勉強

(二) ゼミの楽しみ

甲斐ゼミの入室試験

(一) 論文式試験


(二) 面接式試験

 

甲斐ゼミとは

 当ゼミでは、法科大学院、司法試験、国家公務員試験など、憲法の論文を書くことを必須の要素とする試験の受験を目指す人を採用し、その目標の実現に向けて、高いレベルの勉強をします。
 4年生になって、実際に受験をするときになって、それまで努力を重ねてきたにも関わらず、十分に実力が伸びなかったとか、法律に対する適性がないことが判ったとか、家庭の事情とかで、民間企業を目指すことはもちろん自由ですし、実際、多くの先輩が民間に進んでいます。

 が、少なくとも、ゼミへ入ろうという時点においては、真剣に国家試験を目指している人のみを募集対象としています。

 よほど強い意欲がないと、わがゼミで行う厳しい勉強に耐えられないからです。


(一) ゼミでの勉強


 ゼミでは、毎週君たち自身が決めたテーマについて1000字程度の論文を書き、それを私が添削をし、講評する、というやり方で勉強をします。

これは、どの段階をとってもかなり厳しいものです。


 第一に、国家試験にでそうなテーマを、正確に予想するには、それ自体、かなりの勉強を必要とします。

それを1000字程度にまとめるというのは更に難しいことです。

そのため、毎週サブゼミを開いて、自分たちでそのテーマについて何を書くべきかを討論します。

討論が十分に意義あるものとなるためには、その前に自分でかなりの勉強をしなければなりません。

これ自体に毎週かなりの時間を奪われます。


 第二に、毎週論文を書き続けるというのは厳しいことです。

過不足なく論点を網羅し、それぞれについてきちんと理由付けができた論文を書くには、君たち自身、何度も推敲を繰り返さなければなりません。

そして君たちが書いた論文を添削するに当たっては、私は国家試験に合格できるレベルを基準に評価を下します。

したがって、期末試験で優がとれるという程度のレベルの答案では、酷評が下されることを、予め覚悟していて下さい。

したがって、逆に少しでも褒められれば、未来はかなり明るいというわけです。


 第三に、講評に当たっては、それを完全に理解できれば、判検事や弁護士、国家公務員として直ちに十分に活動できることを目標に、現時点でのわが国公法学研究の最前線に位置する情報を伝えるべく、私も努力しています。


 したがって、1年生に入学して以来、これまでに国家試験等のためにかなりの努力をしてきており、今後もそのために努力をし続ける決意のある人でない限り、当ゼミに入っても、毎週の勉強についてくるのは無理です。


(二) ゼミの楽しみ


 当ゼミでは、いつの間にか、非常にたくさんのコンパを行うのが定例行事化しています。

また、夏や春の休みには必ずゼミ旅行に行きます。

特に春のゼミ旅行は、必ずスキーに行きます。

だからといって、スキーが滑れる必要はありません。

スキーというスポーツは、不思議なことにその理論さえ理解できれば、誰にでもあっという間に滑れるようになるスポーツだからです。

そして、その理論の易しい教え方に関する限り、私は絶対的な自信があります。

これまで数多くの、全く初心者をスキー場に連れていきましたが、ほとんどの人は1〜2時間のうちにすいすいと滑れるようになりました。

滑れないで終わったという人は一人もいません。

こうして苦楽を共にした行事を通じて生涯の友情が培えます。


甲斐ゼミの入室試験

 当ゼミでは、入室試験は論文式と面接式の両方で実施し、その両者の結果を総合評価して採否を決めます。

それぞれ下記の要領で行いますから、事前に十分に回答を考えて、試験に臨むようにして下さい。

(一) 論文式試験

 論文式試験では、「憲法41条について論ぜよ」をテーマとして書いて貰います。

 ご存じのとおり、41条では、国会には国権の最高機関という地位と、唯一の立法機関としての地位の、二つの地位があると規定しています。

 したがって、この問題について論文を書くということは、この二つのテーマの双方について論文を書く必要があります。

 しかもゼミ試験の場合、試験時間はわずか40分しか与えられないのですから、この時間内に書ききれる程度の量にまとめておかねばなりません。

 すなわち、君たちが、事前に論文内容について十分に検討を重ねた場合に、どの程度に要領よくまとめることができるか、という能力を見ることを狙いとしています。

そのつもりで、事前に十分に考え抜いて下さい。

 答案構成に当たっては、単に今、君たちの頭に入っている知識だけに頼らないで下さい。

君たちが現在使っている教科書に加えて、参考書、演習書、コンメンタール等、いま持っている全ての本に図書館で利用できる本までも総動員して、自分のベストと思われる答案を予め完全に構成した上で、その構成用紙を持って試験場に臨むことを期待しています。

 答案を書くに当たっては、論点をきちんと指摘し、以下、論点ごとに番号を振って、見やすい紙面を作って下さい。

 注意:時々、事前に、ゼミの先輩に、論文式試験に対して、自分で模範解答と思うものを作って来て、添削を依頼する人がいます。

しかし、これは不可能を強いるものです。国家試験用の添削というのは、特殊な技能を要するもので、本学の教授でも、国家試験と関わりを持っていない人の場合、できないのが普通です。

まして、君たちに比べ、まだ1年程度しか余計に勉強していない先輩にその能力があることを期待するのは間違いです。

私としても、皆さんが今の時点で、完璧な答案が書けるとは期待していません。

どこまで、法律を学ぶ適性と能力を持っているかを見たいだけです。

(二) 面接式試験

 面接式試験は、君たちが国家試験に対してどこまで真剣に取り組む意欲を持っているかを確認することを主たる目標としています。

そこで、たとえば次のような質問をします。

  1 どの国家試験を受けたいのか、また、なぜ受けたいのか、を聞きます。

 国家試験は、どれも、非常に厳しい試験であるだけに、単に法学部だから、程度の理由で、長く灰色の勉強時間に耐え抜くことは不可能だからです。

  2 試験科目のそれぞれに、どの先生の何という本を基本書としているかを聞きます。

また、その基本書を現在までに何回ぐらい読んでいるかを聞きます。

1〜2年生の時にもっぱら遊んでいて、何の準備もしていない人には、そもそも当ゼミの勉強についてくることは不可能だからです。

   単に憲法の勉強状況だけを聞くのでないことに注意して下さい。

 なぜなら、憲法という科目は、すべての法律の基礎となっているものであるだけに、他の様々な科目について、かなりの勉強をしていないと、そもそもきちんと理解することが不可能であるためです。

そこで、他の科目の勉強状況もまた大事なものとなるのです。

回答内容に疑問がある場合には法律の内容などについて簡単な質問をすることもあります。

  3 既に司法科、行政科等の研究室に入室しているか、否かを聞きます。

入室していない場合、なぜ入室していないかを聞きます。

入室試験さえも受けたことがない、という人の場合には、なぜ受けようとしなかったのかを聞きます。

    また、公務員試験を志望する場合には、1〜2年で、行政科の課外講座を受講しているかどうかを聞きます。

受講していない場合には、その理由を聞きます。

  4 面接に当たっては、いかにはきはきと自分の意見を言えるか、という点を大事にします。

どの国家試験でも必ず面接試験があり、そこでは複数の試験官を前にはきはきと自分の意見をいえるかどうかが合否を分けます。

したがって、いかに法律の勉強ができても、口頭で自分の意見を明確に言えない人は、国家試験に合格できる見込みはありません。

そして、当ゼミは、冒頭に述べたとおり、国家試験に合格できる実力を育てることを目標としていますから、ゼミの面接でも、そのような適性のあることを見ようとしているのです。

  5 司法試験を志望する者の場合には、当ゼミの勉強についてこられる意欲と能力があれば、学業成績は問題としません。

 6  これに対して、国家公務員試験を目指す人の場合には、学業成績についても質問します。

国家公務員では、国が採用予定するものの倍位が合格しますから、試験に合格しただけでは採用に繋がりません。

3年までの成績がほとんど全て優であるくらいでないと、4年生で受験した際に、各省庁の面接を突破して内定を貰うことは不可能だからです。

したがって、仮に、1年の時点で、既に良や可がかなりある場合には、もう公務員を志望するには手遅れという場合が少なくありません。

また、一般教養科目、特に英語や数学に関する能力も大事です。

本学部学生の場合、それが事実上試験の合否を決めているからです。

したがって、公務員試験を目指すという人の場合には、これらの点も質問します。