＋絵とか言葉とか＋
Q．はじめて出会ったのはいつのこと？
「もしかして、覚えてなかったり？」
・・・いえいえ。
きっちり思い出のアルバム内にとどめてある。
今はびっくりした分だけ、取り出すのに時間がかかってるだけで。
小雪舞う、この大学の入学試験は、確か４年ほど前のこと。
こほこほと止まらない咳のせいで、周囲の人間の眉を寄せさせて。
大きなマスクで見えないのをいいことに、世界で一番不幸な顔をしていた日。
「あのさー、キミ、甘いものとか好き？」
隣の席から飛び込んできた言葉と。
大事な試験前のはずなのに、ずいぶんとリラックスした顔と。
両方に、不幸を吸い取られた日。
「あー、割と好き、です」
「んとじゃあこれ、はい」
と、今。
４年前に差し出されたのと同じものが、机の上に乗っかっている。
×1０、ぐらいの数で。
「・・・これなに？」
「二人がはじめて出会ってから４年が過ぎたお祝いに」
「・・・はあ」
「あと、今日は天下のバレンタインデー、らしいんすよ」
「・・・それぐらいはさすがに私も知ってる、すけどね？」
「だから、オレの愛の形を具現化に挑戦。じゃじゃーん」
「ハッピーバレンタインデー！」
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