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土曜日の午後。駅前のマックで映画までの時間を潰してた。 映画はやっぱり予告編から見ないとダメでしょ。 変なこだわりを振りかざされて、一本映画の時間を遅らせることになった。 「じゃあジャンケンで決めましょうよ」 |
へへへーとナオが笑ったら、先生に変な顔された。 白いテーブルの上には約束のハッピーセット。 ハンバーガーとポテトのSとコーラのセット。 オマケで付いてきた、キティーちゃんの携帯ストラップを指でつまんで、女の子ってこういうのスキだよねえ。と先生がしみじみ言ってる。 昼時は少し過ぎていたけれど、店内は学校帰りの制服姿の同世代で溢れていて。 「こういうオマケ付きとかに弱いです。おなか別に空いてなくてもつい買っちゃう」 「……なんか悔しいから、今度レンタルして見ることにします」 どこで。とか、直結で思ってしまって、ナオは軽い自己嫌悪に陥る。 隣の席の学生集団から一際大きな笑い声が上がって、ナオは自然と目をそちらに向ける。 視線をもとに戻したら、先生も隣の学生集団をじいっと見ていた。 突然、おいでおいでって先生に手招きされた。それから、右耳貸してねって言われて。 きょとん、とナオは固まった。 「え。誰のがですか」 また、隣の学生集団がどっと洪水みたいな笑い声を上げたから。 子供みたいなダダをこねて。 おなかは、ハンバーガーにポテトでもう十分膨れていたし。 「じゃあ私が負けたらスカート丈長くして、先生が負けたらうちの学校の男子の制服を着るってことで」 |
あんなに見たがってた予告編そっちのけで。 グーパーって、手を開いたり閉じたり、忙しい人になってた。 終いには頭を抱えて、なんでかな。なんで出しちゃったかな。って、かなりやかましい人になりはててた。 ええっと、人には反射って運動があってね、先生。 と、丁寧に説明してあげてたら、確実に本編にまで差し障りが出てくる、とナオは思って。 しょうがなく、おいでおいでって手招きをする。 不思議そうな顔をして近づいてくる先生の左耳、無断で拝借して。 周りの人には聞こえないように。 ジャンケン必勝法を。 「ええっ嘘ほんとに?!」 |
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