我が青春の学生生活

 

(僕の頭の)診断書.2
「中学校・真夜中の宴」

中学時代。もうほとんど記憶が薄れてるくらい前です。
当時はまだ真面目さの欠片くらいはあった僕は、“運動部で最もラク”と名高いテニス部に在籍しておりました。
そんなふうに名高い部でしたから、部員の士気の低さも全部活動随一といえたでしょう。
そんなわけで我々は練習そっちのけで、宛われているテニス部室を私的に利用するための改造に明け暮れていたりしました。

そんなふうに愉快に日々を過ごしていた、ある日のことでした。
朝登校してみると、教室内がなんか騒がしいような気がしないでもないといった感じです。
とりあえず適当なのを捕まえて話を聞いてみると、昨晩、運動部の部室の窓ガラスを割って侵入した者がいたらしいとのこと。
まぁ、まさかウチの部室じゃねーやな、なんて思ってたら、

「やられたの、お前んとこのテニス部だってよ」

…ウチかよ。
うわぁ、なんかとられてねーかなー、なんて心配しつつ、んで、そんだけか?と話の先を促す

「いや、なんか部屋の中にロウソク垂らしたあととか、濡れたあととかがあったって…」

…ヲイ。
中学生くらいともなると、好奇心が先走ってよけいな知識がたくさんあるもの。僕は自分の知識のインデックスをチェックしまくったところ、一つの結論に達する。

…SMプレイに違いない!!

いま考えてみると、最初にそんな結論が来るあたり、どうも人間として大事なものを失いつつある時期だったのかも知れない(もちろん、いまは失っている)。
しかしまあ、そんな突飛な結論も、全く根拠がないわけでもなかった。
ウチの学校の部室棟が建っているその裏手は、道路一本を挟んで森があるため、人気もなく昼なお暗いという環境だ。
そのため、そんな環境を活用しにやってくる連中もいる。
人気のないその道に、車を止めて車内交尾に励む方々だ。
この方々は真っ昼間からことに及んでいることも結構あるようで、そーゆう方々ならばいささか変わった趣向の遊戯も行うのではないか、という推察があったが故の結論が、「SMプレイ」というわけだ。

しかしまァ、こんな珍奇な体験も過ぎてしまえばどーでもよい思い出。いまでは話のネタにもなりゃしない。

あ、部室の窓を割って侵入した奴ですが、結局犯人不明。多分、近所のSMプレイヤー。


(僕の頭の)診断書.1
「高等学校・部活動の怪」

高校時代と言えば、けっこー前です。思い出は風化し、あの頃買い漁ったものはガラクタと化し、かつての友人とはすっぱり切れる、そんな感じです。
それはそれとして。
我が高校には、珍奇な部活動というものがありました。これは、名前からしてヤバそうだったり、名前はともかく内容がどっかおかしかったりする類のものです。
その、珍奇な部活動の一つに、「未来生体研究部」っつーのがありました。
…どう思いますか?
まあ、普通に考えればどっかオカシイと思いますよね。
だいたい“未来”ってなんだ。
そのうえ“生物”ではなく、“生体”とくれば、なんか「遊星からの物体X」の物体Xみてーなもんつくってんじゃなかろーか、なんて思えてきます。
そんなアヤシイ感じの部活動でしたが、部員、顧問ともにきちんといるようでした。

さて、彼らの活動内容及び活動実績ですが。

それがどうもはっきりしません。
いくつかそれらしい情報はあるものの、はっきりとした情報がないのです。どういうことでしょう?
もしかして、ヤバイガスかなんかで生徒全員ヤラれちゃってますか?
いえ、その可能性は否定しときましょう。別に根拠無いですし。

はっきりとしたものはないものの、我々が目撃した、彼ら“未来生体研究部”の研究の成果と思しきものはあります。
その一つが、

“再生カラス”

…いきなりこんなもんです。ネーミングがいまいちアレですが、他にステキな名前を考えていられるほどのもんでもなかったので。
何が再生で何がカラスかっつーとですね、単純に言えばアレですな、死んだカラスが蘇るってヤツです。

こいつを見たのは夏のこと、プール開きのために掃除を始めたときのことです。
晴れた太陽の下、僕らは汚れきったプールを掃除しようとプールサイドへと向かいました。
体育の授業でプールっていえば、カナヅチでもなけりゃ楽勝授業のひとつなので、だいたいは喜んで参加するもんです。ですから、掃除もめんどくせーってよりも、意外に真面目にやったもんでした。
んで、プールサイドに来たときですねえ。ヤツとエンカウントしたのは。
プールの隅っこのほうに、いろんなゴミが溜まってるわけです。すぐわきに立ってる木の葉っぱとか枝とか、飛ばされてきたビニール袋とかかっ飛ばしすぎたテニスボールとか、まあそんなもんです。
その中に、なにやら黒い塊がありました。
まあ、動きもしないものですから、ゴミには違いないと網ですくうことに。
これがまた妙に重い。なんやねん、と見てみると、紛れもないカラスの死骸。かなーり腐敗したタイプの。
死体が大好きなんて変態はその場にいなかったので、とりあえずわきの茂みのほうに放り投げ、プール掃除は再開です。

それから10分経たないうちですかね、みんながちょいと驚くようなことがあったのは。
さっき捨てたはずのカラスがですね、飛び立ったわけなんですねー。確実に腐って死んでたはずのが。
そりゃまあビビりますわな。普通のカラスはもうちょっと大人しいはずですし。
これを見た瞬間、その場にいた全員がピピっと来ました。

(これは未来生体研究部の仕業に違いない!)

数人の規格外の人たちは、(あれは「アトランティスの謎」に出てくる鳥にそっくりだ!)って思ったみたいですが。

もう、やな感じです。タダでさえ得体の知れない部活動であるにもかかわらず、マジで珍奇なもの作ってやがるのか!ってことですから。
けっこう地味っちゃあ地味ですが、それでもナンかやな感じです。それ以降、とりあえず未生研には関わらないことに決めました。
彼ら未生研には、このほかにも複数のヤバげなエピソードがあるそうですが、僕が書いててあんまし面白くなかったのでこの辺で打ち切ります。さよーなら。

 

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