Ai Nikkor 20mm F2.8S

発売 1984年12月
小売価格 81,000
レンズ構成 9-12
全長/重量 42.5mm/260g
最短撮影距離 25cm
フィルタサイズ 62mm
絞り羽根枚数 7枚
その他 近距離補正方式採用

photodo rating = 3.5
(同一光学系のAFレンズのデータ参照)

    「かわ」の所有するNikkorレンズの内で最大の画角(94度)を誇るレンズである。 28mmまでであればその画角を感覚的に把握できるが、20mmともなると人間の視覚を完全に越えているため、ファインダーを覗くと「ああ超広角レンズなんだなぁ」と実感できる。ここまで写るか!と言うくらい画角が広い。24mmはなかなか上品なパースペクティブを持っているが、20mmの場合は少々じゃじゃ馬的で、飼いならすのが大変そうだ。何もかもがファインダー内に入り込んでくるため画面整理が大変だ。従って、被写体にグッと寄って主題をはっきりさせることが肝要だ。また、フレーミングが少しでも傾くと不自然なひずみを生じるので、厳密に水平をとる必要がある。しかし魚眼レンズと異なり、水平にさえ構えれば意外と自然な描写を実現することもできる。
  AiS以降の20mmレンズとして、Ai 20mm F3.5Sが1981年に発売されたが、僅か3年後に現在のものに置き換わっている。 先代のもつ欠点(周辺光量不足、歪曲収差)を解決したのが現行レンズであり、フィルタサイズは52mmから62mmに変更されている。F3.5のレンズは解像度、歪曲収差、周辺光量で劣るものの、逆光性能に優れているらしい。一方現行品のF2.8は先代の欠点をほとんど解決しているものの、残念ながら逆光性能は劣るそうだ。どちらを購入するか最後まで迷ったが、超広角レンズといえどもファインダーが暗いのはいやだし、F2.8Sの方が総合的に高性能であることと、先代は生産中止になって久しいことから、F2.8Sである現行品を選んだ。やはりカメラとレンズは精密機械であるから、メンテナンスできるかどうかは大事なファクターだ。逆光性能については、最新のスーパーインテグレーティッドコーティングが施されている新品を買うことで対処した。

   大柄なレンズが多いNikonにしては珍しく、他社に比べ本レンズはかなりコンパクトに仕上がっている(フィルタ径62mm、重量260g)。20mmは使用頻度が高いわけではないので、携帯性が悪いと持ち運ぶ気にならなくなってしまうが、本レンズの場合はバッグの隅にチョコッと入れておけるので嬉しい。周辺光量はとても多く、1〜2段絞れば周辺光量低下は気にならなくなる。視野内に太陽を直接入れるとさすがにゴーストは出るが、フレアは皆無でまずまずの逆光性能だ。スーパーインテグレーティッドコーティングのためゴースト色は黄色だが、従来コーティングの青紫系の色に比べ比較的目立たないように思う。解像力も十分で1、2段絞り込めば周辺まで均質な画像になり、安心して画面の隅々まで使用できる。周辺が甘いとスナップに良いが風景系に使いにくい。また、近距離補正方式(CRC)のおかげで高性能を保ったまま25cmまで近接できる。K1リングを挿入するとさらに近接でき、超広角マクロ的使い方もできるとの報告もある。こちらも一度試してみたい。


 

      このレンズでユニークなのが、巨大なかぶせ式フード(HK-14)だ。総金属製のしっかりしたフードで、これを装着すると20mmは超広角レンズらしい装いになる。フードの固定は締め付け方式であり、締め付け用ネジが銀色に輝きなかなか高級感がある。それにしてもこのフード、どのくらいの効果があるのか大いに疑問だ。その割にカメラバッグに収まりにくく、携帯性は悪い。正直言って、コンパクトな花型フードが欲しい。しかし20mmレンズを圧倒的にエラそうにさせることは確かだ。
 

2002/1/20


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