AiAF zoom Nikkor 28-70mm F3.5-4.5S

発売
小売価格 42,000
レンズ構成 7-8
全長/重量 71mm/350g
最短撮影距離 39cm
フィルタサイズ 52mm
絞り羽根枚数 9枚
その他 複合型非球面レンズ使用

photodo rating = 3.0

     F4と同時に購入した標準zoomレンズであるが、写りが上等であるのに加え、なかなか使いやすいので愛用しているレンズである。このレンズを購入したのは1992年であり、Dタイプになる前のSタイプのものである。そのDタイプもAF28-105mm F3.5-4.5Dの登場と共に廃品種となった。このレンズの質感はAi Nikkorと比べるべくも無いが、AFレンズの中でも比較的初期のものであるので比較的良好である。Dタイプになってさらにプラスチック化が進行し、AF28-105mm F3.5-4.5Dに至っては本当に安っぽいし、鏡胴のガタツキもはなはだしい。尤も、他社のレンズも同様に安っぽいので、Nikonだけの責任ではなく、むしろ時代の流れというべきであろう(カメラに限らず、最近のものはプラスチック化され、軽くなったけど安っぽくなった)。

    さて、ここで言いたいのは単なる造りの良し悪しではなく、カメラレンズとして、この見栄えのしない時代遅れのズームレンズがいかに優れているか再認識しようというわけである。このレンズの美点を挙げてみたい。

1.小型である
    長焦点側を70mmに押さえたことで、コンパクトサイズ(フィルタサイズ52mm、重量350g)にまとめられており携帯性に優れている。

2.マニュアルフォーカスができる
    「カメラレンズなのであるから、マニュアルフォーカスができて当たり前だろう」と怒られそうだが、最近これができないレンズが多いのだ。つまり、ちょっとピントリングを動かしただけでフォーカスの合う距離が大きく変わってしまい、フォーカス微調のできないレンズのなんと多いことか。これは恐らくオートフォーカススピード向上のためか、鏡筒設計の都合のためであり、メーカを問わず低価格ズームレンズにはこのような仕様のものが多い。Nikonも例外ではなく、AF24-85mm F2.8-4とか、AF28-105mm F3.5-4.5とかの最近の設計のレンズがこれに該当する。「かわ」も量販店の展示コーナーでこれらのレンズでMFを行ってみたが、フォーカスの微妙なコントロールはもはや人間の手ではほとんど不可能であることを悟った。本レンズはそんなことは無く、人間の手でもきめこまかなMFが可能である。

3.逆光に強い
    ズームレンズは大抵は10枚以上のレンズを使っているため反射面が多く、逆光に弱いのが通例である。しかしこのレンズ、焦点レンジを欲張っておらず、また複合非球面レンズを使用しているため、7群8枚という単焦点並の少ないレンズ枚数で構成されている。そのためか(レンズ設計も優れていると思うが)、ゴースト・フレア等がほとんど無く逆光でも安心して使えるのだ。いや、逆光耐性は明らかに単焦点Ai 50mm F1.2S以上である。

4.フォーカスリングが幅広い
    NikonですらAF初期の頃は、Minoltaのαシリーズ用レンズの用に申し訳程度のフォーカスリングしかなかったが、AFは万能ではないことがわかったためか、MFし易いようにデザインがリニューアルされた。この点は本当に評価すべきことと思う。本レンズはこの変更後のものであるため、フォーカスリングが幅広くとても操作しやすい。フォーカスリングのバックラッシュもないし、トルクが軽い以外は申し分の無いものである。

5.写りが良い
    絞り開放では28mm域で若干の周辺光量低下があるものの一段絞るとほぼなくなる。また絞り開放でも解像力・コントラストは良好であり、十分実用的である。色のりも良く、赤色なども綺麗に出る。ただ、28mm域で樽型ひずみが大きいのが難点か。

    以上美点を述べてきたが、勿論欠点もある。次にそれを述べてみたい。

1.絞りリングの動作がスムーズでない
    これはこのレンズ特有の問題ではなく、AF Nikkor全体の問題である。つまり、絞りリングがプラスチックのため(最近のAF-Sレンズは金属?)、ただでさえ動きがぎこちないのに、リングを強く握ると変形してさらに動きにくくなるのである。この点は強くNikonに改善してもらいたい。しかし最近の、F5、F100、F80等では絞り値は電子ダイヤルで行うことがデフォルトになっていることから、そのうち絞りリング字体が無くなってしまうかもしれないが....

2.CPLフィルタが使いにくい
    本レンズは、Nikonの安物ズームではお決まりの、フォーカスすると前ダマが回るタイプなのでCPLフィルタが使いにくいのが残念だ。但し、プロテクトフィルタの上からNikon純正CPLをつけてもケラレが起こらないのは評価できる(フィルタの二枚重ねはいけないんだけど、はずすのが面倒くさいので)。
 
 

2002/1/20


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