Ai Nikkor 85mm F1.4S

発売 1981年9月
小売価格 107,000
レンズ構成 5-7
全長/重量 64.5mm/620g
最短撮影距離 85cm
フィルタサイズ 72mm
絞り羽根枚数 9枚
その他 近距離補正方式

photodo rating = 4.4

  極めつけの大口径レンズのひとつだ。所謂サンニッパの方が大口径であるが、85mm F1.4は前ダマ径が6cmもあるのにもかかわらず全長が64.5mmと短いため、これはこれで独特の大口径の迫力を醸し出している。105mm F1.8や135mm F2.0と同様、絞りリングから前方に向かって鏡筒が一気に太くなる。他社のレンズと異なるのは、この部分に銀色で優美なレンズ着脱リングがあしらわれており、蟹の鋏と合わせてデザイン上良いアクセントとなっている。このように美しいレンズデザインも本レンズの魅力の一つである。
 
 ポートレートレンズとして85mm F1.4は多くのカメラマンの憧れレンズの一つである。従って各社レンズ開発には力が入っており性能的に優れたものが多い。Nikonの85mm F1.4にはこのMFモデルとAFモデルの2つが存在する。AFモデルの方は、最新設計だけあってシャープネスも高く、評判はすこぶる良い。しかしIF方式を採用しているためか、ボケ量が全群繰り出し式のF1.8レンズ並しかないのは残念だ。MFレンズではそのようなことは無く、かなり大きなボケ描写を楽しむことができる。開放でも口径食は小さいが、一段絞れば均一なボケ描写になる。描写力であるが、さすがに開放では若干フレアを感じるが、それでもかなり良好な像を結ぶ。F2まで絞るとかなりシャープになり、柔らかい背景ボケとの対照がとても美しい。このようにF2でこのような高画質が得られるところは、やはり大口径レンズの余裕と言えよう。明るいレンズは絞りの自由度が大きいため、使っていて本当に楽しめる。

  重量は比較的大きいが全長が短いためか、F2に装着した重量バランスは思ったほど悪くない。180mm F2.8よりもかなりマシだ。フードはねじ込み式のHN-20(標準添付)である。このフードもかなりの肉厚の金属製でしっかりとできている。またフードの奥のほうから手前にかけて肉厚が徐々に変化しており、なかなか凝った造りになっている。また、AFレンズ用のフードは極端に径が大きいが、MF用のこのフードは適度な大きさでありデザインバランスに優れると共に、収納性も良好である。それにしてもこのレンズ、180mm F2.8と並んで物凄い質感である。描写力もさることながら、持つ喜びに溢れた一品といえよう。

2002/1/20


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