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■十一月出題分の解説 校正者:市川浩 *(問題文) 私の考へ方は、一言で言へば、日本の天皇制といふものは百年に一度使へば良いといふことであり、その歴史的に稀な機會以外は、いざといふ時に使へるやう、いささかもその傳統と權威を傷つけることなく、大事の上にも大事にして、これを護ることが肝要だと考へてゐる。 (岡崎久彦) *(應募文) 一、 余の考へを一言で申さば、我国に於ける天皇制なるもの、百年に一度使ふに足れ(=ら)ば、良しとすべきものなり。従ひて肝要なるは、歴史に於ける、斯く稀なる時宜の外、いざ鎌倉時にありて使用(+し)得べく、聊も其が伝統と権威を損はず、この上なく大事に懸けて、之を護持すべきことなり。 (K.Fさん) *(解説) 赤字は誤、青字は解説箇所原文、括弧内は應募文番號。紫字は添削試案 ◆ 百年に一度使ふに足らば(一) 「足らば」にて文法的には問題解決するも、問題文は「百年ニ一度使ヘバヨイ」にて、「使ヘレバヨイ」には非ざれば、使はばよし など ◆ 損はず(一) 「肝要なる」がこの文の主語なれば、この場合は損はざるやう と副詞句とすべく *(擔當者試案) 日の本の皇(すめら)みことのことは、約(つづ)めて言はむに、百年(ももとせ)に一度(ひとたび)有るべくもあらぬ國のあはやの時に備へて、日ごろはただ畏み畏み奉(まつ)りて、いささかも御名を害ふなかるべきこそ要(えう)なれとなむ思ひ侍る。 (市川 浩) ▼「指南塾」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |