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楽譜(参考運指つき)
楽譜(音の高さと長さの情報以外はほとんど削除した状態)

フランス組曲 3番 ロ短調 BWV814 〜 アルマンド

アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグの4つが主要曲、サラバンドとジーグの間にメヌエットとかガヴォットとか軽めの間奏曲がいくつか挟まれる、というのがフランス組曲の大雑把なかたち。

主要曲のうちサラバンドをのぞく3つは、演奏も楽じゃないものが多いんですが、この3番のアルマンドは、特に例外とはいえないまでも、そんなに苦労しなくて済む曲じゃないかという気がします。
でも中身は濃い。
完全な主題労作型。
単純な舞曲としてのアルマンドというよりは2声のインヴェンションに近い、かなりの力作です。
フランス組曲の他の5つのアルマンドより一格上の音楽という感じがします。
演奏も特に難しくはなく、くわえて音楽としての密度がとても濃い、まあ素晴らしいにもほどがあるという作品。
おまけに甘美というかメランコリックというか、雰囲気まで持っちゃってる。

うわーいい曲だ、で、練習を始めたわけですが、どうにか弾けるようになったころには、なぜかすっかり飽きていました。

これは以前にも経験があります。
2声インヴェンションの13番イ短調、あれもこんな感じの曲ですよね。
大好きで一時は毎日のように弾いてましたが、いつの間にか見向きもしなくなって、今じゃもう弾けません。
この曲がそうならないことを祈ります。

たとえば同じフランス組曲でも、5番6番あたりのアルマンドは、演奏が決して楽ではなく、そのわりには密度なんてスカスカ、曲の雰囲気はといえばただの馬鹿音楽、取り柄も何もあったもんじゃありませんが、なぜかずっと弾き続けたいなと思わせるものをもっている。
まったく音楽の魅力ってのはどこにひそんでいるか分かりません。