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パルティータ2番 ハ短調 BWV826 〜 シンフォニア

なんか悲愴、だよな、ハ短調だし。
とかバカなことを思ってみたり。

バッハが晩年近くになってフリードリヒ大王のためにつくったハ短調の「捧げもの」は、「俺の作曲技術どうよ」と言わんばかりのドライな傑作で、甘っちょろい感傷とか深刻ぶりなんてものを遥か高いところからせせら笑っているような代物です。
フリードリヒ大王がバッハに提示した主題ってのは初めからハ短調だったのか、ちょっと疑いをはさんでみたくなったりして。
どっちにしろあれほどのものがその場の即興で出来るはずはないんで、あとから時間をかけて念入りに譜面書きをやったことは間違いありません。
譜面書きの段階でバッハはあえてハ短調を選んだのじゃなかろうか。
それ以前のバッハのハ短調ってのは、何だかべたべたにセンチメンタルだったり無駄に深刻ぶったりしてるものが多いんですが、均等割調律が普及し始めた時代、変ホ長調だからどうだとかハ短調だからどうだとか、もう意味ねーんだぜと、あのスーパードライな「捧げもの」でもってそんな調性格の呪いに決別宣言をしたんじゃなかろうか。
なんて噂話は胡散くささ満載で、実際のところはバッハどころか遥か後のモーツァルトやベートーヴェンあたりですら調性格の呪いから解き放たれていないように思えてしまったりするわけですが、んなことはどうでもいいとして、このパルティータのハ短調ってのは、いかにもハ短調、ですね。
何というか味付けが濃い。まるでスナック菓子。もちろん自分も大好きですが、世間一般でもパルティータ全6曲中じゃ一番人気じゃないですか。
特にこの序曲(シンフォニアって名前はいったい何なんだろ)は人気スナック菓子度が高い。
大のおとながもっともらしい言葉をついやしてこの曲を語るなんてこっぱずかしいにもほどがあるという感じ。
ついでに大のおとなが歯くいしばってこの曲を弾く姿なんてのもカッコ悪さ100点ですが、この序曲の後半のフーガを歯くいしばらずに弾くのは難しいんじゃないかと思います。
何しろ速く弾けば速く弾くほど自己満足度アップという困った性質のフーガ。でも、ゆっくり弾いたからって音楽にならないというものでもないので、無茶はしなくていいんじゃないかなと(決定的な難所ってのはないんで、ある程度の期間集中的に練習すればそこそこ速く弾けるようにはなるけど、どうせ半年1年ほっとけばダメになるに決まってる。関係ないけどマルタ・アルゲリッチのこの曲の演奏は驚異的ですね。まさに魔女です。化け物です。聴いても何の足しにもなりません)