市の民間認可外保育施設に対する施策への質問と意見への市長回答
 

地域保育園のリストに関して会員が「市長への手紙」にて質問した内容に対する市長名による回答です。


 お手紙を拝見いたしました。
 本市では、平成12年度に「川崎市子どもの権利に関する条例」を制定し、平成
13年4月1日から施行いたしました。
 この条例は、子どもの権利について、子どもも大人も共通の理解の基に、子
どもを一人の人間(権利主体)として尊重し、権利侵害から守り、自分らしく生き
ていくことを支えていこうという趣旨で制定をいたしております。
 そのため、条例の第3条に、市や市民、児童関係の施設の管理者・職員等の
責務として、それぞれが、それぞれの立場で、子どもの権利を尊重し、権利の
保障に努めるべき旨を規定しております。
 本市といたしましても、あらゆる施策を通じて、子どもの権利の保障に努め
る所存でございまして、お問い合わせをいただきました認可外保育施設に関す
る事業につきましても、実施にあたっては、児童福祉法及びこの条例に照らし
合わせ、児童福祉の向上を目指し推進しております。
 個別事項についての回答は次のとおりです。

(1) 及び(2)認可外保育施設の情報提供について、(4)今後の方針について
(6)ちびっこ園に対する対応について
   現在、認可外保育施設(地域保育園)は、本市で把握する限りにおいて、市
  内に、約100か所あります。
   本市では、従前から、利用者が施設選択の参考とすることができるよう、
  市内の認可外保育施設の名簿を、保育所入所案内やインターネットに掲載し
  ておりました。
   しかし、認可外保育施設は、児童福祉法等の規定が適用されませんので、
  市が運営費を援護しております施設以外の施設については、施設の設備、運
  営状態、保育内容がまちまちです。また、厚生労働省が示しております「新
  認可外保育施設指導監督基準」に適合していない施設もありますので、市と
  して、市民に責任を持って紹介できる状況にはないものと考え、このたび、
  控えることとしたものであります。
   認可外保育施設に対しましては、当該施設が、乳幼児を預かるサービスを
  行っている施設でありますので、本市といたしましても、児童福祉の観点か
  ら、児童福祉法第59条に基づき、施設への立ち入り調査を行っており、特
  に、「新認可外保育施設指導監督基準」に適合していない施設に対しまして
  は、改善に向けた指導、助言を行っております。
   行政指導の方法として、公表をという御意見ですが、児童福祉法によりま
  しても、当該施設の了解を得ないで、ことさら否定的な内容を一般に公表す
  ることは適切な対応とは考えられませんし、逆に、営業の自由を妨害する恐
 れがありますので、消極的な手段ではありますが、情報の提供を控えること
 が現時点では、最良の方法であると考えております。
  いずれにいたしましても、保育に関する情報の提供は、大変重要なものと
 考えておりますが、不確かな情報を提供することは、市民の皆様に御迷惑を
 かけることとなる場合が考えられますし、子どもの権利条例の精神にも反す
 るものと考えておりますので、現時点では、これらの情報提供を控えるとと
 もに、必要な施設には、粘り強い指導・助言を行ってまいりたいと考えてお
 ります。
  今後につきましては、現在、県における認可外保育施設対策推進会議の中
 で、種々検討しておりますので、県及び横浜市と協調しながら、対応を検討
 してまいりたいと考えております。
   また、ちびっこ園につきましても、前述のとおり、厚生労働省が示してお
 ります 「新認可外保育施設指導監督基準」に適合するよう指導・助言を行っ
 ているところです。

(3)神奈川県児童福祉審議会の答申について
    神奈川県児童福祉審議会の答申は、神奈川県知事の諮問を受け、県知事に
  なされたものです。したがいまして、この答申に関する評価は、神奈川県が
  行うべきもので、本市が、評価するものではないと考えております。

(5)地域保育園の援護の拡充について
   地域保育園事業における新たな援護対象施設の指定は、その時の予算の範
  囲で行っております。また、援護費の充実につきましては、認可保育所に準
  じた保育サービスの提供を基本に、充実を図ってきているところです。
   地域保育園事業は、子ども総合プランの中で、本市の保育施策の一つとして
  位置付け推進していくこととしておりまして、基本的には、援護基準を満たす
  ことを基本に、地域の保育需要や市民の利便性などを考慮しながら、必要性が
  高い地域の施設を選定し指定していくこととしております。
   援護費につきましても、援護対象地域保育園に担っていただきたい役割や援     
  護対象外地域保育園とのバランスなどを考慮しながら、市民の皆様に御理解い
  ただけるものとしていくことが必要であると考えております。
   いずれにいたしましても、本市の地域保育園事業に対する考え方は、前述
  のとおりですし、現実に、本市の地域保育園の援護基準を満たすことができ
  ない施設も見うけられますので、これらのことを考え合わせれば、提案をい
  ただきました御意見は、難しいものと考えます。

(7)保育園の整備等について
  本市では、子どもたちの健やかな成長や子育てを支援するため、平成10
 年度に「かわさき子ども総合プラン」を策定し、子育て支援施策の推進を図
 っているところです。
  保育事業につきましては、認可保育所の整備を中心に、これに地域保育園
 やおなかま保育室などの認可外保育施設事業を総合的に推進することによ
 り、全体的な保育受け入れ枠の拡充を図り、市民の保育所利用要望にお応え
 していくこととしております。
  したがいまして、児童福祉法に基づき、児童の福祉の向上に努めるととも
 に、子どもの権利条例にありますとおり、あらゆる保育施策を通じて、子ど
 もの権利の保障を目指し努力しているところです。

 いずれにいたしましても、現在、地域の保育需要や保育所の運営形態のあり 
方、規制緩和の動向などを勘案しながら、今後の本市の保育施策あり方につい
ての検討を進めているところですので、今後これらの検討を踏まえ、市民の皆
様にとって、利用しやすい保育所を目指し、また子育てと仕事の両立が図れる
よう多様な子育て支援事業を推進してまいりたいと考えております。

平成13年8月7日
 
 


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