鞭虫卵
回虫卵
鞭虫や回虫などの寄生虫卵の卵殻は、分解に対して比較的強く、花粉と同じように堆積物中に残存します。遺構内や堆積物における寄生虫卵の含有密度を調べることにより、便所遺構の存在や田畑における人糞施肥の有無などを推定することができます。
寄生虫は固有の生活史を持つため、野菜や魚類(とくにコイ科やサケ科)の種類、そしてそれらを生食に近い状態で食べていたかどうかなど、食生活の詳細を復原できます。さらに動物固有の寄生虫卵を調べることにより、犬や豚などの家畜の存在についても明らかにすることが可能です。
サケ
食物残渣
奈良県藤原京跡の発掘調査により、わが国で初めて古代のトイレが発見されてから、各地でトイレの遺構が検出されるようになりました。
トイレの遺構に残された糞便の堆積物について、寄生虫卵分析のほか種実同定、花粉分析、消化し残された動物や植物の分析を総合的に行うことにより、当時の人々の食物の種類や食生活の様相を詳細に解明することができます。