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 身近な材料を利用してできる針穴写真は、高価なカメラや特別な写真の知識を持たずとも、誰にでも撮れるものです。実際、私が最初に針穴写真を体験したときも、紅茶の空き缶を使い、フィルムの代わりに印画紙を暗箱に入れて撮りました。

 「カメラのシャッターを押せば撮れる」写真が当たり前の時代に、必要最低限の機能しかないピンホールカメラで写真が撮れることを知ったときは非常な驚きでした。メカ嫌いの私はそれ以来、針穴写真のとりこになってしまいました。

 針穴写真の魅力は、レンズを通した映像とは違う、独特の味わいがあるということだけではありません。手作りの暗箱で撮る針穴写真には、試行錯誤、失敗がつきものですが、自分が得たい写真を撮るにはどうしたら良いかを工夫できるところにあり、想像力を駆使すれば、普通のカメラより自由な表現をすることもできます。

 今回出展する作品は、手作りの暗箱(ポラロイドを除く)から生まれた針穴写真です。レンズを通した映像との違いを感じていただき、「原始的な」カメラに秘められた可能性を発見していただければ幸いです。

                                                    田所美惠子
田所美惠子の針穴写真館 暗箱から生まれたパリの風景
1997年5月1日(木)〜5月20日(火)
ティー・スリー立川ギャラリー
 
manual/material/monochrome pinhole photography by Mieko Tadokoro
by          Mieko Tadokoro
PINHOLE PHOTOGRAPHY