導入の経緯
H21.9.26
 以前より「太陽電池」に関する電話は色々なディーラーから掛かってきていたが、我が家は耐震上から10年程前に軽量瓦に取り替えたこともあり、また屋根に負担を掛けることになるので、屋根への負担を理由に断り続けてきた。

 5月末頃、またあるディーラーから電話があり、「どうせ断るのだが、一度話だけ聞いてみようと、説明にきて貰った。営業マンは当然男性だろうと思っていたのだが、訪ねてきたのは20代の女性だった。説明は販売店のセールストークの内容に則ったもだったが、要領を得た説明だった。

 太陽電池の設置で一番危惧していたことがあったパネルの重量も、パネル1枚の重さが15kgで6枚のパネルを載せても90kgで1.5人程度の人が屋根に載っている程度で余り屋根への負担のないことが分かった。

 説明は従来の家電製品の販売と異なり、太陽電池はそこで発生した余った電力を東京電力(東京電力にとっては余り望んでいるところではないが。)に買い取って貰う話である。一方、東京電力の電力利用にも協力する必要もあり、夜間の電力利用(夜間割引料金の適用)による給湯器を設置して利用するとガス風呂も不要となり、光熱費を半減できることができる。更に、ガスコンロを電磁調理器(IH)に変更すればガスレスにすることが出来るとの説明であった。しかし、設備投資を回収するには20年ほど掛かる説明である。

 説明に従って給湯器の設置場所を調べたところ、給湯器のタンクは可成り大きく、場所として置くことは可能だが裏へ通じる通路を塞ぐことになる。通路を塞いでまで、ガス給湯器を電気に変更する必要性を感じなかったので、論外にした。また、電気給湯器は可成りの給湯能力を持っているようだが、現在使用している床暖房には対応できないので、カスレスの話も我が家にとって対象にならないこと分かった。

 結局、本論の太陽電池の話だけが残ったが、太陽電池の設置に対して国及び都からの補助金が出ること。更に大田区は23区では殆ど出していない補助金を、独自に出すことになったため大田区内での販売が進んでいるとのことであった。

 太陽電池については以前より興味があり家の耐震上の問題も余りなさそうなので、微々たるものであるが、CO2の削減に協力すべく、見積もりを出して貰うことにした。

 5月末に見積もりを貰ったが、補助金を受けることが出来る、最小構成(120WX6枚)でカタログ価格が約200万円するが、値引き価格が145万円。補助金合計が34万円となるので、実質価格が111万円になるとのことであった。製品保証期間は10年で、単純計算で約半額は回収できるだろうとのことである。

 イチローの大記録もヒット1本毎の積み重ねで達成できているように、CO2の削減努力も小さな協力の積み重ねで実現されることになるので、発注することにした。

 早速、6月中旬に工事をすることができ、その後1ヶ月程で、東電の検査が完了するとのことであった。ところが工事前日に連絡があり、「大田区内での受注が急増していて、予定していた太陽電池パネルが、入手出来なくなった。しかし、付帯工事だけ、先行してやらせて貰いたい。」とのことであった。当日予定の時間になっても現れないので、遅いなと思っていると、工事請負会社より電話があり、「朝届くはずの工事機材が入荷してこない。」とのことである。翌日には工事可能とのことであったが、パネルの工事に合わせて、6月23日にまとめて工事を実施して貰うことにした。

 6月23日早朝より作業を開始し、工事後室内の電源を遮断し、発電系統のみを接続することによって、配電線に電力を送り出せていることの確認ができ、3時頃無事工事を完了した。後は東電の検査を待つのみとなった。

 7月中旬を過ぎても東京電力の検査が来ないので、確認したところ大田区の設置台数が多いため、東電の立会検査員の手が間に合わず、遅れているとのことで、7月31日に漸く検査が完了し、8月1日より無事本稼働することになった。

 今回設置した太陽電池システムの構成を以下に示す。(写真の部品は全て今回新たに設置されたもの) 



太陽電池 HIP-210BKH5(サンヨー製)X6枚 (注)上記写真は一部で3枚分
  最大出力:1.26KW(210W/枚)

  寸  法:1350X450
Power Conditioner 太陽電池からの直流電量を50Hzの交流に変換する装置
遮断機 太陽電池からの出力と屋内配電線間を遮断
エネステーション 発電量及び消費電力量を時々刻々計測し、日、月、年単位のデータを収集、及びそれらのデータをモニタに送信
モニタ 発電量及び消費電力量の時々刻々のデータの表示及び日、月、年単位のデータをエコステーションより取得して表示
電力計(3台)
東京都用 東京都が設置した太陽電池が発生した電力を直接計測するメータ
買 電 用 従来からの電力計で東京電力から購入する電力量を計測するメータ
売 電 用 発電力が消費電力を上回った時、配電線に逆流する電力(売電)を計測するメータ
屋内遮断機 従来からある屋内遮断機で、今回新しく交換されたもの

稼働1ヶ月の実績
H21.10.22
買電時 売電時
図1 モニタ状況
 設置した太陽電池システムにはデータ収集機能があり、常時時々刻々変化する発電量、消費電力量及びその差(売電/買電)をモニタすることができる。図1の左側は発電量よりも消費電力が多く、『買電』していり状況を現し、右側は消費電力が少ないため、売電している状況を現している。

 またデータの表示内容を変更することによって過去の実績データを色々な角度から見ることができる。

 8月1日に本稼働し始めたので、1ヶ月間の稼働状況を見てみたのが、図2である。
図2 8月の稼働状況
 8月1日から本格的に稼働し始め、モニターを見ていると時間と共に(日が昇るにつれて)発電量が増加していくことから、順調に発電していることが分かった。1日の発電量が5.2KW/日であったのに対して、2日は2.4KW/日と半分以下となった。お盆までは可成り天候不順で発電量の変化が激しかった。15日のお盆を迎えてやっと晴天が続いて比較的安定した発電量となった。しかし月末には台風が接近し、一日中雨雲が垂れ下がっていたため、31日は月間最低の0.3KW/日の発電量であった。
発電量(KW/日) 消費量(KW/日) 売電量(KW/日)
最大 6.9KW/日 8月17日 最大 19.5KW/日 8月16日 最大 3.6KW/日 8月28日
最小 0.3KW/日 8月31日 最小 8.4KW/日 8月1日 最小 0KW/日 8月30,31日
平均 4.2KW/日   平均 12.4KW/日   平均 1.4KW/日  
図3 月間の各最大値、最小値及び平均値
 1日当たりの発電量、消費量、及び売電量の最大、最小及び平均値は図3のようになり、月間合計はそれぞれ次のようになった。
  発電量:129.5KW・時
  消費量:383KW・時
  売電量:42KW・時
  自給率:33.8% (注)自給率=(発電量/消費量)X100

 1ヶ月の運用から見た感想は次の通りである。
(1) モニタ(図1参照)を見ていると、時々刻々変化する電力利用状況が分かる。特に「売電」と「買電」の表示が青から赤に変化する。赤色(買電)になると、現在何と何が稼働しているか考え、今までは電灯の付けっぱなしは余り気にしていなかったが、不要な電気は消すようになった。
(2) 太陽エネルギーを利用した太陽電池は天候に依存することは十分承知していたが、具体的データを見て、天候によるギャップの大きさに驚くと共に日本の気候は太陽光発電向きでないことを実感した。因みに最大発電量日(17日)と最小発電日(31日)との発電量の比率は23対1である。また平均発電量は最大発電量の60%であった。
(3) 最小規模の設備でどの程度の効果が得られるのか一寸心配であったが、比較的冷房など電力を使用する時期にも拘わらず、自給率33.8%を得ることができた。これは、電力利用だけを考えると、鳩山首相の言う「2020年までにCO2を25%削減」を遙かに超える効果を得たことになる。

 今後もデータを整理して、太陽電池発電の効用について評価して行こうと思っている。 

稼働6ヶ月の実績
平成22年2月28日
 平成22年1月末をもって、稼働後6ヶ月を経過した。この6ヶ月間の発電量の推移に着目してみる。稼働し始めた8月をピークに総発電量は9月より下降している(図1参照)。当然のことながら太陽は南に傾く角度を増していき、日照時間も短くなってくるので、発電量が減少するのは分かるが、11月の発電量(81KW/H)は8月の発電量(135KW/H)の6割に減少している。また逆に日照時間の最も短いと思われる12月の発電量(97KW/H)と比較しても2割弱小さい。一方、今年1月の発電量(124KW/H)は冬至も過ぎ少し日が長くなったとは言え、この6ヶ月間中では昨年8月に続いて2番目に発電量が多い。これらの原因は何であろうか。
図1
 発電量は日照時間もさることながら、天候によるところが如何に大であると言うことが11月(図2)、1月(図3)の実績より分かる。データより発電量が4KW/H以上は「晴れ」、2KW/H以下は「曇りまたは雨」、2〜4KW/Hは「晴れたり曇り、または薄曇り」と分類し、それぞれの日数を8月、11月、1月について、計数したのが下表である。
発電量 8月 11月 1月
4KW/H以上 18日 10日 24日
2〜4 KW/H 9日 8日 3日
2KW/H以下 4日 12日 4日
 一般常識として11月は秋晴れの晴天の日が多いとされているが、昨年は晴れた日数が10日と月の3分の1であるのに対して雨または曇天の日が12日(40%)と異常な天候であったことが分かる。特に11月11日は発電量”0”KW/Hと全く機能してない日もあった。一方、今年1月は雨が殆ど降らず、晴れた日(24日)が多かったことが、良好な発電量を得る原因となっていることが分かる。

 太陽電池の発電量は天候によって左右されることは十分承知しているが、日常生活で感覚的に感じる天候による明るさの変化に比べて、発電量の変化は想像以上に大きいので驚いた。よく考えれば当たり前のことで、我々は日常太陽の直射日光を見つめて生活しているのでなく、空中の散乱光の明るさを感じているのである。それに対して太陽電池は太陽の直射日光を受け、その光量を電気に変換している。即ち太陽と太陽電池上を結ぶ直線上に雲が通過するだけで障害物となり、即光量は減少する。これに対して、我々の目に入ってくる散乱光の変化は殆ど影響を受けないためである。
図2
図3
 次に自給率(発電量/消費量X100)について見ると、9月の43%が最大、12月の26%が最小である。6ヶ月通算では33%と丁度全消費量の3分の1が自給されていることになる。これは導入時に想定していた割合に相当するもので、 順調に期待値通りに稼働していることが確認できたようである。

稼働後1年間の実績
平成22年9月22日
 平成22年7月末を持って稼働後1年を迎えた。この1年間の稼働状況を図1に示す。月間発電量の最低月が昨年11月で81KW/時、最大月が本年5月で151KW/時であり、その比率はおよそ1対2となる。昨年11月の発電量の少ないのは「稼働6ヶ月の実績」で述べたように、天候不順によるものであり、本年5月は天候に恵まれ、晴天が続き日照時間が長かったことを示している。いずれにしても如何にお天気次第であるかを如実に現している。

 自給率は当然のことながら冷暖房による消費電力の大きい夏及び冬で低下し、最低は本年2月の24%であり、最大は本年5月の58%である。年間では36%で全消費量の3分の1は確保できている。
図1
 現在は使用量を上回った発電量を東京電力に売却することができる。その売電量と売上金額を示したものが、図2である。これは東電の検針時のデータによるもので、検診日は月の中旬であり、月集計は検針日から翌月の検針日までとなり半月程のずれがある。従って稼働日が8月1日であるので、8月の検針は半月分となっている。

 買取価格が1KW・時=48円に決まったのが、昨年11月で12月分よりこの金額となっているが、11月分までは東電の売価相当であるため、約20円/KW・時である。そして年間で約18,500円分を買い取って貰っている。
 図2
 1年間の集計をして思わぬ問題点を発見した。図1のシステムに設置された売電量と図2の東電の売電量を比較すると大きな差が出てきたことである。東電の検針日が月の中旬のためモニタとの間には半月のずれがあり、単純比較は出来ないが、月と共に両者の累積誤差は拡大し、年間総売電量を比較すると72KW・時(10%強)の誤差が出ている。

 現在東京都による発電量を計測するメータ、並びに東電の設置した使用量を計測するメータ及び買い上げのためのユーザから見た売電量を計測するメータの計3個のメータが設置されている。一方システム側は発電量、買電量及び売電量の3つの計測センサーが取り付けられているものと思う。データから見る限り、発電量及び使用量は両者のメータ間の誤差は微々たるものであるのに対して、売電量に関しては図3のように10%以上の誤差が生じている。

 ユーザの立場からすると売電量は最大の関心事であり、これだけ売れたはずと思っているのに、そんなに買い取っていないと言われるようなもので、甚だ気持ちのよくないものである。目下メーカに調査を依頼中である。
図3
 東電の検針票を見ると検針時の使用量と同時に、前年度同月の使用量が表示されており、エコ効果を知ることができる。本年1月を除いて使用量が前年度を下回っていることが分かる。ここで注意を要するのは、これはあくまでも東電の電力使用量であって、我が家の消費量でないことである。(図4参照)
図4


稼働後2年間の実績
平成23年8月25日
 平成23年7月末で稼働後満2年を迎えた。システムはトラブルもなく稼働している。また、何も変更してないので、基本的にデータの変動は天気次第である。唯一データ上、問題が起きたのは3月11日の東日本大震災により、3月17日頃の検針が実施されず、システムが算出した仮データとなり、4月検針において累計で修正されている点がある。稼働後1年目と2年目を比較しながら、各種データをまとめたものを以下に示します。

 図1は月別の発電量を示すもので、2年目の昨年8月が161KW/時と最高の発電量で昨年の猛暑がハッキリと証明されている。しかし、今年の春(3,4月)は気温も低く春の訪れがおそかった。また6月中旬からは梅雨が早々上がり、猛暑がやって来た。何となく発電量は体感温度に比例すると思いがちであるが、「熱発電ではない。太陽光発電である。」それを証明するのが図2である。3,4月は気温は低いが晴れた日が多く、5,6月は曇り/雨が多く、発電量はお天気次第であることが証明されている。
図1 発電量
 
図2
 図3-A、及び図3-Bは売電量でモニタと東電の検針結果である。モニタと東電の検針量には約半月の差がある。また東電の3月分の検針量は震災のため検針されず、暫定量で、4月検針で補正されている。従って両検針結果が一致しないことは分かっているが、年間売電量で見ると東電の検針結果はモニタよりも1年目:72KW・時、2年目:58KW・時少ないことになる。即ち約10%強の売電量が少ない検針結果となっている。

 この結果については昨年気がつき、サンヨーに問い合わせをしているが、未だに正式な回答が来ていない。分かったことは直接売電量を検出しておらず、消費量を計測し、次式で計数していることである。
   【売電量】=【発電量+買電量】ー【消費量】
 計測されている項目は【発電量】、【買電量】、【消費量】の3点である。一方メータで検出されている項目は【発電量】、【買電量】、【売電量】であるので、メータによる検出が正しいとすると、【消費量】の計測量が小さく検出されていることになる。検出センサーが正しいものとすると、センサーを通過する前に使用されている電力系統があることになる。いずれにしても太陽光発電利用者からすると、最大関心事は売電量であり、「これだけ売った筈だ」に対して「これだけしか買ってない」と言うデータは納得に行かないところである。
図3-A
図3-B
 消費電力量を図4に示す。前述のように消費電力の計測値に疑問は残るが、1年目より2年目の方が消費量大きかったのは昨年の8月、9月のみである。これは昨年の夏の異常気候を如実に現したいる。もう一つ特徴的なことは3月11日の震災以降、電力不足から節電が叫び出され、不要な電気を消すようになったためだろうか、3月から7月までを比較してみると2年目(1,254KW・時)は1年目(1,571KW・時)より約20%減少している。


稼働後3年間の実績
平成24年8月18日
 平成24年7月末を持って稼働後、丸3年を経過した。システムとしては順調に稼働しているようである。システム上何も変更してないので、基本的に実績データの推移をまとめたものである。図1は3年間の発電量の月別推移を示すものである。ここで見えて来たことは発電量が最も少ない月が11月であり、最も大きい月が5月であるらしいことであることが見えて来た。11月は「秋晴れ」のイメージが強く、日照時間も長いように思われるが、そうではないようである。

 太陽光の発電量は日照時間ともう一つは発電パネルと太陽の入射角度依存する。図2は11月(平成23年)と5月(平成24年)の発電量を比較したもので、1日の発電量が5KW・時を超えた日数が5月では21日あるのに対して、11月は僅か1日しかないことである。セールストークとして日照時間は年間を通じて、1,2割程度との触れこみであったが、入射角を考慮すると、35〜40%の落ち込みとなる。即ち
図1
11月 5月
5KW・時以上 21
3KW・時以上 17 23
図2
1年目 2年目 3年目
11 81 95 89 265
05 151 128 147 426
比率 53.6 74.2 60.5 62.2


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