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食材に関しては戦時中疎開先で、200坪程の畑で、母親と二人で麦やサツマイモに始まり、色々な野菜を作っていたことから、困ることはなかった。しかし、着る物に関しては戦中戦後の物資のない時代を過ごしてきたためか、全くの無頓着であった。逆に妻は着る物に関してはセンスがあり、服などは選んでくれていたので自分で選んで買った記憶がない程である。
自分の着る物は兎も角として、妻の着る物も必要になってくる。最初は娘たちに依頼していたが、頼んでばかりもいられず、衣服の買い物に出掛けることとなる。婦人服の売り場は比較的抵抗もなく入っていけるが、センスのない自分にとってはどのような物を選ぶかが問題である。仕方なく店員に事情を話し、2,3点選んで貰う。本人にどちらが良いか聞くのだが、かつてのように着る物などに興味はなく、返事がない。仕方なく自分が選ぶこととなる。
洋服など上に着る物はまだ良いが、下着売り場となると一大決心が必要となる。大の男が女性の下着売り場をうろうろし、品物を手にとってゆっくり見ているわけには行かない。そこで目的の品物のある位置を確かめ、その場所へサッと行き、余り品定めをせず、品物を持ってレジに行くこととなる。頭の中には買う物の形状だけがあって、サイズを忘れると失敗する。ある時、下着を買いに行き、目的の場所のハンガーの一番手前に掛かっていた「A75」と書かれたタグの付いた品物をなにも気にすることなく買って帰った。翌日着せようとすると小さくて着れそうもない。よく見るとタグに書かれた「A75」とはアンダーバスト75cmの意味であった。
サイズ表示にはS,M,Lが使用されている。自分は身長175cmなので、基本的にLサイズを買っている。一方妻は20cm強の身長差があるので、Mサイズを買えば良いものと頭から思っていた。しかし、Mサイズでは何となく小さい物がある。余り見たことなく捨てていたが、送られてくる通販などのカタログを見るとM.L等のサイズ表示と共にウエストやヒップサイズが書かれていることが分かった。特に婦人物は縦の身長から選ぶのでなく、横の胴回りから選ぶのだと再認識した次第である。 |