民法(3)
前期/二単位
民法(5)
後期/二単位
家庭生活と法
前期/二単位
民事法演習(3)
後期/二単位
後期/二単位
民法(3)(参考:2011年度)
民事法演習(6)(参考:2010年度)
環境私法(参考:上智大学法学部)
債権法各論T(参考:2007年度上智大学法学部)
債権法各論U(参考:2007年度上智大学法学部)
親族法(参考:2006年度上智大学法学部)
相続法(参考:2006年度上智大学法学部)
民法演習(参考:2006年度上智大学法学部)
民法5(参考:2003年度立教大学法学部)
名誉毀損訴訟(参考:2003年度立教大学法学部)
民法4(参考:2002年度立教大学法学部)
民法1(参考:2002年度立教大学法学部)
民法(3)[前期/二単位]
科目のねらい
「民法(3)」は,いわゆる「債権各論」のうち,「契約」(後期に民法(6)で扱う)以外の領域を対象とする。すなわち,債権各論は,大きく分けて,合意に基づく債権発生原因である「契約」と,合意に基づかない法定の債権発生原因である「事務管理」「不当利得」「不法行為」の各分野から成るが,民法(3)は後者の領域を対象とするものである。
「不法行為」は,交通事故など日常生活に密接な分野であるのでイメージをつかみやすい面もあるが,実務的・理論的に非常に重要な概念・規範が多く,これらに関する抽象的で複雑な議論が少なくない。具体的な話から出発してそれがどのように抽象的な議論につながるか,その点に注意して理解を深めてもらいたい。分野としての重要性や議論の蓄積の多さから,講義の回数の大半は不法行為にあてる。「不当利得」は,契約を取り消した際の後始末などの法律関係として重要な意味を有する。「事務管理」は合意に基づかずに事務を行う際の法律関係であり,比較法的に興味深い分野であるが,実務上問題となることが少ないので,授業では簡単に扱うにとどめる。
講義の順番は,具体的なイメージが比較的つかみやすい「不法行為」を最初とする。「不当利得」は民法総則(民法(1)で扱う)との関係が問題となることから,最後に扱うことにする。
なお,成績評価は,下記の方法により,平常点を25点満点・定期試験を75点満点で評価する。
成績評価方法
平常点(授業への出席,授業毎の予習の程度,授業への積極的参加の程度,学期途中で課す小レポートや授業中の小テストの成績,等)と定期試験による。ただし,70%以上授業に出席しない者は,定期試験を受けることができない。
授業の概要
1.不法行為(1)
不法行為全体の意義と構造に触れた上で,比較的分かりやすい判決を素材に,一般的不法行為の要件・効果の全体の大まかなイメージをつかんでもらう。
2.不法行為(2)
一般不法行為(民法709条)の成立要件として特に重要な「故意・過失」を扱う。過失については,判断基準の構造に重点を置く。
3.不法行為(3)
「権利又は法律上保護される利益の侵害」を扱う。「違法性」という概念をめぐって学説上の議論が盛んであるが,判例の立場を基本として説明する。また,名誉毀損・プライバシー侵害など「権利又は法律上保護される利益の侵害」の具体的な類型にも触れる。
4.不法行為(4)
一般不法行為の成立要件である「損害」「因果関係」のほか,「不法行為の成立を阻却する事由」である,「責任能力」(民法712条),「正当防衛・緊急避難」(民法720条)にも触れる。「因果関係」については,公害や医療過誤に関する判例理論の展開に重点を置く。
5.不法行為(5)
不法行為の効果のうち,「損害賠償の方法」「賠償範囲」「損害の金銭的評価」を扱う。「賠償範囲」については,学説上の議論が盛んであるが,(理論的な問題点を指摘しつつ)判例の立場を中心に説明する。「損害の金銭的評価」については,人身損害の算定に関わる実務的な事項にも触れる。
6.不法行為(6)
不法行為の効果のうち,「損害賠償額の減額・調整」を扱う。「過失相殺」(民法722条2項)やその類推適用に関する判例理論の展開に重点を置く。また,「損益相殺」に関する最近の判例にも触れる。
7.不法行為(7)
不法行為の効果の残りの部分である「損害賠償請求権」を扱う。損害賠償請求権の相続,間接被害者,消滅時効・除斥期間に重点を置く。消滅時効・除斥期間については,近時の重要判例を取り上げる。
8.不法行為(8)
特殊不法行為の分野を概観した上で,「共同不法行為」(民法719条)を扱う。共同不法行為は不法行為の中で最も難解な領域であるが,判例・裁判例・学説の動向をできる限り整理しながら説明するので,じっくり取り組んでもらいたい。なお,第7回までの復習のための小テストを行う予定。
9.不法行為(9)
特殊不法行為の「監督者責任」(民法714条),「使用者責任」(民法715条)を扱う。特に「使用者責任」は,実務的・理論的に重要であるので,重点的に説明する。
10.不法行為(10)
特殊不法行為の「土地工作物責任」(民法717条),特別法上の不法行為に関する「失火責任法」,「自動車損害賠償保障法」,「製造物責任法」などを扱う。いずれも,日常生活に特に密接な分野である。
11.不法行為(11)・事務管理
不法行為の復習を兼ねて近時の注目される判例を取り上げた上で,「事務管理」に入る。事務管理の効果については,合意に基づいて事務を行う委任契約と対比しながら説明する。
12.13.不当利得(1)(2)
不当利得の総論的な説明をした上で,「侵害不当利得」「給付不当利得」「多数当事者の不当利得」「特殊不当利得」の順に説明する。近年の重要判例に重点を置く。
14.総まとめ
15.期末試験後に解説・講評を行う予定。
教科書:前田陽一『NOMIKA債権各論II不法行為法〔第2版〕』(弘文堂,2010年),内田貴『民法U(第3版)』(東京大学出版会,2011年),『民法判例百選II(第6版)』(有斐閣,2009年)
参考図書・資料:毎回,授業のレジュメをCHORUSにアップする。参考文献も左記のレジュメを参照。
準備学習・その他:各回の予習範囲を指定したリストを初回の授業までにCHORUSにアップする。また,授業の2日前までにレジュメをアップするので,毎回,レジュメと教科書の指定された範囲を予習してくること。
民法(5)[後期/二単位]
科目のねらい
本科目は,民法第四編「親族」および第五編「相続」を中心とする,いわゆる家族法の分野を対象とする。親族法は相続という財産上の効果の発生要件という性質を有するので,親族,相続の順に講義する(法典の順序でもある)。
本科目のねらいは,以下のとおりである。
1.家族法の基礎的知識を修得させる:本科目は未修者を対象に家族法の基礎的問題について一通り説明することとする。2単位の講義であり,細かい問題まで触れることはできないが,親族法については,婚姻の成立,婚姻の効果,離婚の要件・効果,親子関係,成年後見,扶養などを,相続法については,相続人と相続分,遺産の範囲,遺産の共有・分割,遺言と遺贈,遺留分などを扱い,家族法の基礎的・体系的な知識を修得させる。
2.実務的な視点を修得させる:最高裁判例はもちろん,多くの下級審裁判例を扱うことで,家族法の裁判実務の動向を踏まえた講義を行う。
3.財産法との関係について深い理解を求める:財産法とからみあった問題(実務的にも理論的にも重要である)に力点を置きながら講義する。例えば,親族法については,財産分与と詐害行為取消権,相続法については,遺産分割協議と詐害行為取消権,遺留分減殺請求権と債権者代位権など,債権保全に関係する問題に重点を置く。また,相続と登記の問題についても,債権回収(差押登記の対抗問題)の観点から判例を再検討する。
4.そのほか,人工生殖の問題など先端的な問題に触れることで,家族法について新たな視点から深く考え直す機会を与える。
なお,成績評価は,下記の方法により,平常点を25点満点・定期試験を75点満点で評価する。
成績評価方法
平常点(授業への出席,授業毎の予習の程度,授業への積極的参加の程度,学期途中で課す小レポートや授業中の小テストの成績,等)と定期試験による。ただし,70%以上授業に出席しない者は,定期試験を受けることができない。
授業の概要
1.身分行為の成立(第1回,第2回)
親族法の意義,戸籍制度などの総論的な説明をした後,婚姻の成立をめぐる問題(届出と意思,無効・取消,追認)について講義する。これに関連して,身分行為として共通する側面を有する協議離婚・養子縁組等の成立をめぐる問題に触れるとともに,財産法における無効・取消・追認に関する議論との対比を行うことで,より深い理解を求める。
2.婚姻の効果,内縁(第3回)
婚姻の効果について,特に財産的効果(夫婦の財産の帰属,日常家事債務の連帯責任,婚姻費用分担など)に重点を置いて講義する。夫婦の財産の帰属については財産法の共有法理・組合法理との関係,日常家事債務の連帯責任については財産法の代理法理との関係にそれぞれ留意しながら説明する。内縁については,重婚的内縁の場合の法律婚の効果との競合をめぐる問題に重点を置いて説明する。
3.離婚(第4回)
離婚の要件については,裁判離婚における有責配偶者からの離婚請求の問題を中心に講義する。離婚の効果については,財産分与の問題を中心に講義するとともに,債権の回収に関連する問題(詐害行為取消権との関係)にも力点を置く。
4.実子と養子(第5回)
実子については嫡出推定・強制認知に,養子については特別養子(普通養子との対比)に,それぞれ重点を置いて説明する。実子については,「嫡出推定の及ばない子」に関する近時の下級審裁判例の展開と最高裁の対応を踏まえて,法的な親子関係の本質について考えるとともに,人工生殖をめぐる親子関係の問題についても触れる。
5.子の監護をめぐる問題(第6回)
子の引渡請求,離婚の際の親権者・監護権者の決定,面接交渉権について,近時の最高裁判例・下級審裁判例の展開を中心に講義する。
6.子・被後見人の財産管理,扶養(第7回)
親権者の財産管理権と利益相反行為,成年後見制度を中心とした後見制度,親族間の扶養などについて講義する。利益相反行為については,取引安全と子の利益の調整という観点から,代理権濫用法理との補完関係に力点を置いて説明する。
7.相続人と相続分(第8回,第9回)
相続法の全体構造を概観した後,法定相続人の種類,相続資格を失う場合(欠格・廃除・放棄),法定相続分,特別受益・寄与分を考慮した具体的相続分の計算について講義する。
8.遺産の範囲,遺産の共有,遺産分割(第10回)
何が遺産の対象となるかについて概観した後,遺産共有の性質,債権債務の共同相続人への帰属,共同相続財産の管理,遺産分割について講義する。遺産分割については,代償分割などの柔軟な分割方法,遺産分割協議の解除の可否を中心に説明する。
9.遺言と遺贈(第11回)
遺言の方式,遺言の撤回,遺贈と「相続させる遺言」について,近時の判例の展開を踏まえながら講義する。特に「相続させる遺言」については,実務的にも理論的にも重要であることから,重点的に説明する。 10.遺留分(第12回)
遺留分制度の趣旨と遺留分の計算方法について説明した後,近時大きな進展が見られる遺留分減殺請求権に関する判例理論を総合的に検討する。
11.相続法と財産法の交錯(第13回)
相続放棄・遺産分割協議と詐害行為取消権,遺留分減殺請求権と債権者代位権など,相続と債権回収をめぐる判例の状況を総合的に検討する。また,相続と登記をめぐる問題についても,債権回収(差押登記の対抗問題)の観点から,判例を再検討する。さらに,相続回復請求権について,物権的請求権や時効制度との関係に留意しながら,その意義を検討する。
教科書:内田貴『民法IV〔第2版〕』(東京大学出版会、2012年刊行予定)、水野紀子ほか編『別冊ジュリスト・家族法判例百選(第7版)』(有斐閣,2008年)。なお、毎回レジュメをCHORUSから配付するので、各自ダウンロードして予習に活用した上で授業時に持参すること。
参考図書・資料等:前田陽一ほか『リーガルクエスト民法6親族・相続〔第2版〕』(有斐閣,2012年)。その他,講義開始時に配付するリストを参照。
準備学習・その他:各回の予習範囲を指定したリストを初回の授業までにCHORUSにアップする。また,授業の2日前までにレジュメをアップするので,毎回,レジュメと教科書の指定された範囲を予習してくること。
家庭生活と法[前期/二単位]
科目のねらい
家庭生活において生じうる様々な法的問題(主に家族法や不法行為に関する問題)について,具体的な事例を素材にしながら,多角的に分析を加える。財産法と家族法の基礎を一通り学び終えた受講生を対象として,実務的な側面と理論的な側面の双方において,より深い理解を助け,より高度な法的スキルを習得してもらう。
なお,成績評価は,下記の方法により,平常点を20点満点・定期試験を80点満点で評価する。
成績評価方法
平常点(授業への出席,授業毎の予習の程度,授業への積極的参加の程度,学期途中で課す小レポートや授業中の小テストの成績,等)による。ただし,70%以上の出席がもとめられ,出席率が70%未満の者は不合格となる。
授業の概要
毎回,下記のテーマに関するいくつかの具体的な事例を素材にしながら,理論と実務の両面から議論を深める。CHORUSにアップされるレジュメを使用するので,ダウンロードして予習に活用した上で授業に持参されたい。
1.医療過誤と損害賠償
2.交通事故と損害賠償
3.名誉・プライバシー侵害と損害賠償・差止め
4.公害・近隣妨害と損害賠償・差止め
5.婚姻の成立・効果をめぐる紛争
6.離婚の成立・効果をめぐる紛争
7.親子の身分関係をめぐる紛争
8.親権者の財産管理権をめぐる紛争
9.相続人の資格や相続分をめぐる紛争
10.遺産分割をめぐる紛争
11.遺言をめぐる紛争
12.遺留分減殺をめぐる紛争
13.相続と不動産物権変動をめぐる紛争
14.まとめ
15.期末試験後に解説・講評を行う予定。
教科書: レジュメをCHORUSで配付するが,できれば,下記の参考文献を教科書に準ずるものとして用意されたい((3)(4)はいずれか一方でよい)。
参考図書・資料等:(1)水野紀子ほか編『別冊ジュリスト・家族法判例百選(第7版)』(有斐閣,2008年)
(2)前田陽一『NOMIKA債権各論2)不法行為法(第2版)』(弘文堂,2010年)
(3)前田陽一ほか『リーガルクエスト民法6親族・相続(第2版)』(有斐閣,2012年)
(4)内田貴『民法4)(第2版)』(東京大学出版会,2012年刊行予定)
準備学習・その他:授業の2日前までにCHORUSにアップされるレジュメをダウンロードして,レジュメの事例をできるだけ独力で検討しておくと共に,関連する基本的な知識について基本書で確認しておくこと。
民事法演習(3)AB[後期/二単位]
科目のねらい
本演習は,1年次における「民法基礎演習(1),(2)」で扱えなかった判例を中心に取り上げて行う判例演習である。対象判例は,民法の財産法分野から取り上げ,基礎演習で取り上げた判例に比し,よりレベルの高いもの,少し複雑な事実関係を含むものとする。また,前期までに学習した要件事実論を実際の事件に適用するための演習である。受講者は,演習が始まる前に『問題研究要件事実』等のテキストを十分に復習して演習に臨まれたい。
受講者は,毎回の配付資料(民集及び最高裁判所判例解説)を十分に予習し,授業前日までに事案について簡潔にまとめたレポートを提出しなければならない。それを前提に,演習の場では,発表と議論を通じて理解を深める。なお演習は,法務講師の参加を得て行い,事案の整理,主張・抗弁といった訴訟構造の理解の面では,弁護士である法務講師が,実体法理解の面では研究者教員が主導することとして,理論と実務の双方から判例の理解を深めたい。学習効果を高めるために,その時間で完結させるのではなく,受講者には十分な復習も求めるが,さらに授業内試験を行って理解度を計るものとする。
授業内中間試験・授業内期末試験では,やや長めの事例問題を出題するので,授業で扱った問題はもちろんのこと,「民法全体について穴のない基礎的な知識」が備わっている(有名な論点に偏ることなく基本的な制度全般について理解している)ことが求められる。知識に穴があると,自分勝手な誤解から紛争解決の大筋を外すことになるので,普段から基本書の読み込みを心がけて欲しい。
なお,成績評価は,下記の方法により,授業内中間試験を30点満点,授業内期末試験を30点満点,その他の平常点を40点満点で評価する。
成績評価方法
平常点(授業への出席,授業毎の予習の程度,授業への積極的参加の程度,学期途中で課す小レポートや授業中の小テストの成績,等)による。ただし,70%以上の出席がもとめられ,出席率が70%未満の者は不合格となる。
授業の概要
1.公序良俗
賭博債権の譲渡に関する,最判平成9年11月11日民集51巻10号4077頁を取り上げる。公序良俗違反と共に債権譲渡における異議を留めない承諾の効力についても学習する。
既修者には既に学習済みの問題であろうが,より深い理解を求めるとともに,当事者の主張立証について意識した学習を進める。以下の問題においても同様であるが,特に2年短縮型の院生においては,判例の原本を読みこなす練習でもあるので,既に学習済みであるとしても第一審から十分に判例資料を予習しておくこと。
参考文献としては,最高裁判所判例解説をまず第一に読んでおくべきであるが(以下の判例についても同様である),そのほか,民法判例百選2)債権(第5版)30番解説,平成9年度重要判例解説60頁などがある(以下,民法判例百選の版について,特に注記がないときは第6版とする)。
2.代理
無権代理行為の追認拒絶後の無権代理人による本人相続に関する,最判平成10年7月17日民集52巻5号1296頁を取り上げる。無権代理と相続に関する判例は多数出されているので,合わせて復習したい。
参考文献:民法判例百選1)総則・物権(第5版)37番解説,平成10年度重要判例解説56頁,私法判例リマークス1999年(下)10頁など。
3.消滅時効
消滅時効の援用に関して,後順位抵当権者の援用が問題となった,最判平成11年10月21日民集53巻7号1190頁を取り上げ,援用権者の範囲等の問題点を学習する。
参考文献:民法判例百選1)総則・物権40番解説,私法判例リマークス2001年(上)10頁など。
4.所有権
不動産名義人に対する妨害排除請求に関する,最判平成6年2月8日48巻2号373頁を取り上げる。この判決は,物権的請求権の判例であるが,その相手方が問題となっており,通常の対抗問題とは異なるものの177条も問題となっている。対抗問題の理解を深めることも目的としている。
参考文献:民法判例百選1)総則・物権47番解説,平成6年度重要判例解説68頁,私法判例リマークス1995年(下)など。
5.地役権
地役権の承役地の譲受人と177条の第三者に関する,最判平成10年2月13日民集52巻1号65頁を取り上げる。177条に関する判例としては特殊な事例ではあるが,第三者論について総合的に復習することも目的としている。
参考文献:民法判例百選1)総則・物権59番解説,平成10年度重要判例解説63頁,私法判例リマークス1999年(上)22頁など。
6.授業内中間試験(他の授業の中間試験との調整で時期がずれることがある)
7.抵当権
抵当権による物上代位権の行使と目的債権の譲渡に関する,最判平成10年1月30日民集52巻1号1頁を取り上げる。
参考文献:民法判例百選1)総則・物権87番解説,私法判例リマークス1999年(下)26頁など。
8.債権者代位権
遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることができるかに関する,最判平成13年11月22日民集55巻6号1033頁を取り上げる。
参考文献:家族法判例百選(第7版)94番解説,平成13年度重要判例解説64頁,私法判例リマークス2003年(上)30頁など。
9.詐害行為取消権
財産分与が詐害行為取消の対象となるかに関する,最判昭和58年12月19日民集54巻3号1013頁を取り上げる。最判平成12年3月9日民集54巻3号1013頁も参照のこと(要件事実の勉強としては昭和58年判決のほうが有用であるので古いほうをメインとした)。
参考文献:民法判例百選2)債権18番解説,私法判例リマークス2001年(上)34頁など。
10.債権譲渡
差押え通知と譲渡通知が同時に到達した場合に関する,最判昭和55年1月11日民集34巻1号42頁を取り上げる。最判平成5年3月30日民集52巻1号1頁も参照(要件事実の勉強としては昭和55年判決のほうが有用であるので古いほうをメインとした)。
参考文献:民法判例百選2)債権31番解説,平成5年度重要判例解説83頁,私法判例リマークス1994年(上)49頁など。
11. 請負
請負の修補に代る損害賠償請求権と報酬請求権の同時履行関係が問題となった,最判平成9年2月14日民集51巻2号337頁を取り上げる。関連判例として,相殺が問題となった,最判平成9年7月15日民集51巻6号2581頁も予習されたい。
参考文献:民法判例百選2)債権66番解説,平成9年度重要判例解説79頁,私法判例リマークス1998年(上)52頁,法学教室204号132頁。12.賃貸借
賃貸借契約が解除された場合の転貸借に関する,最判平成9年2月25日民集51巻2号398頁を取り上げ,債務不履行解除,賃貸借の効力について学習する。
参考文献:民法判例百選2)債権62番解説,平成9年度重要判例解説75頁,私法判例リマークス1998年(上)46頁など。
13.共同不法行為
交通事故と医療過誤が競 合した,最判平成13年3月13日民集55巻2号328頁を検討する。最判平成15年7月11日民集57巻7号815頁も合わせて参照されたい(共同不法行為と過失相殺の問題を深く研究したい場合は,前田陽一「交通事故における共同不法行為と過失相殺」ジュリ1403号30頁も参照)。
参考文献:民法判例百選2)債権95番解説,私法判例リマークス2004年(下)66頁,平成15年度重要判例解説93頁など。
14.授業内期末試験
教科書: 判例資料を配付する。5階入口のボックスに入れるので,掲示や授業中の指示があった場合は,すみやかに各自一部を受け取ること。
参考図書・資料等:『最高裁判所判例解説民事編』(法曹会):雑誌である法曹時報に掲載されたものをまとめて各年度に刊行されるが,刊行が遅れており,最近数年間については,法曹時報を参照する必要がある。
そのほか,要件事実の参考書として,司法研修所編『新問題研究要件事実』(法曹会,2011年),司法研修所編『改訂
紛争類型別の要件事実』(法曹会,2006年),岡口基一『要件事実マニュアル(第3版)1・2』(ぎょうせい,2010年)。など
科目のねらい
本科目は,いわゆる債権各論の領域を対象とする(従来、物権法との関連性から「民法(2)」の対象としてきた「賃貸借」も今年度から「民法(3)」で扱うことにする)。
債権各論は,合意に基づく債権発生原因である「契約」と,合意に基づかない債権発生原因である「事務管理」「不当利得」「不法行為」の各分野からなる。特に,「契約」と「不法行為」は,日常生活に密接な分野であるのでイメージをつかみやすい面もあるが,実務的・理論的に重要な概念・規範が多く,これらに関する抽象的で複雑な議論が少なくない。具体的な話から出発してそれがどのように抽象的な議論につながるか,その点に注意して理解を深めてもらいたい。
講義の順番は,具体的なイメージが比較的つかみやすい「不法行為」を最初とする。また,「事務管理」は委任契約との比較によって理解が深まること,「不当利得」は財産法全体(少なくとも契約法や民法総則)との関係が問題となることから,これらは「契約」を終えた後に扱うことにする。
なお,成績評価は,下記の方法により,平常点を25点満点・定期試験を75点満点で評価する。
成績評価方法
平常点(授業への出席,授業毎の予習の程度,授業への積極的参加の程度,学期途中で課す小レポートや授業中の小テストの成績,等)と定期試験による。ただし,70%以上授業に出席しない者は,定期試験を受けることができない。
授業の概要
1.不法行為(1)
民法典の中の債権各論の位置づけや不法行為全体の意義と構造に触れた上で,一般不法行為(民法709条)の成立要件として特に重要な「故意・過失」,「権利又は法律上保護される利益の侵害」を扱う。前者については,過失の判断基準の構造に重点を置く。後者については,「違法性」という概念をめぐって学説上の議論が盛んであるが,判例の立場を基本として説明する。
2.不法行為(2)
名誉・プライバシーなど「権利又は法律上保護される利益の侵害」の具体的な類型に触れた上で,一般不法行為の成立要件である「損害」「因果関係」を扱う。「因果関係」については,公害や医療過誤に関する判例理論の展開に重点を置く。そのほか,「不法行為の成立を阻却する事由」である,「責任能力」(民法712条),「正当防衛・緊急避難」(民法720条)にも触れる。
3.不法行為(3)
不法行為の効果に関する「損害賠償の方法」「賠償範囲」「損害の金銭的評価」「損害賠償額の減額・調整」を扱う。「賠償範囲」については,学説上の議論が盛んであるが,(理論的な問題点を指摘しつつ)判例の立場を中心に説明する。「損害の金銭的評価」については,実務的な事項にも触れる。損害賠償額の減額・調整」については,「過失相殺」(民法722条2項)に関する判例理論の展開に重点を置く。
4.不法行為(4)
不法行為の効果に関する「損害賠償請求権」に触れた上で,特殊不法行為の分野である「共同不法行為責任」(民法719条)を扱う。「損害賠償請求権」については,消滅時効・除斥期間に関する近時の重要判例を取り上げる。「共同不法行為責任」は不法行為の中で最も難解な領域であるが,判例・裁判例・学説の動向をできる限り整理しながら説明するので,じっくり取り組んでもらいたい。
5.不法行為(5)
「監督者責任」(民法714条),「使用者責任」(民法715条),「土地工作物責任」(民法717条)などを扱う。特に「使用者責任」は,実務的・理論的に重要であるので,重点的に説明する。そのほか,特別法上の不法行為に関する「失火責任法」,「自動車損害賠償保障法」にも簡単に触れたい。
6.契約総論(1)
契約法全体の構造に触れた上で,「契約の意義」「契約成立前の段階」「契約の成立」について説明する。特に「契約成立前の段階」における「契約交渉の破棄」「情報提供義務」の問題については,実務的にも理論的にも重要であるので,重点を置いて説明する。
7.契約総論(2)
契約存続中の関係に関する「同時履行の抗弁権」「危険負担」について説明する。抽象度の高い複雑な話が続くが,基本的で重要な事項であるので,じっくり取り組んで理解を深めてもらいたい。
8.契約総論(3)
「第三者のためにする契約」「事情変更の原則」「解除」「契約終了後の関係」を扱う。特に「解除」は,実務的にも理論的にも重要であり,「同時履行の抗弁権」や「危険負担」との関係も問題となるので,重点的に説明する。そのほか,次回からの契約各論への導入として,移転型の契約である「贈与」にも触れる。
9.契約各論(1)
次回にわたって移転型の契約である「売買」を扱う。「売買」は,典型契約の中で最も重要な分野であり,契約総論のモデルとなっている契約類型である。この回は,「手付」「瑕疵担保責任」を中心に説明する。特に「瑕疵担保責任」は理論的に重要な事項であるので重点を置く。
10.契約各論(2)
「売買」の残りの分野と,利用型の契約である「使用貸借」「消費貸借」を扱う(なお,「賃貸借」は「民法(2)」で扱われる)。「売買」については,「他人物売買」や重要判例が出ている「数量不足の担保責任」に重点を置く。
11.契約各論(3)
利用型の契約のなかで最も理論的・実務的に重要な「賃貸借」を扱う。賃貸人・賃借人の地位の移転や転貸借などの理論的に重要な項目に重点を置く。
12.契約各論(4)
役務型の契約である「雇用」「請負」「委任」「寄託」を扱う。「請負」については,「瑕疵担保責任」を売買と比較して説明した上で,「危険負担」や最近の重要判例を重点的に説明する。「委任」については,任意解除権に関する判例理論の展開に重点を置く。
13.契約各論(5),事務管理・不当利得(1)
特殊な契約類型である「組合」「和解」を扱った上で,合意に基づかない債権発生原因として共通する「事務管理」と「不当利得」を扱う。「事務管理」については「委任」と比較しながら説明する。「不当利得」については主に総論部分を扱う。
14.不当利得(2)
「不当利得」について,「侵害不当利得」「給付不当利得」「多数当事者の不当利得」「特殊不当利得」の順に説明する。近年の重要判例を重点的に説明し,学説上の議論にはあまり立ち入らない。
教科書:内田貴『民法U(第3版)』(東京大学出版会,2011年),前田陽一『NOMIKA債権各論II不法行為法〔第2版〕』(弘文堂,2010年),『民法判例百選II(第6版)』(有斐閣,2009年)
科目のねらい
法律実務家として,最も強く要求されることの1つに,確実な実体法や手続法の知識を駆使して,実社会に生起する様々な私的紛争を,民事訴訟手続の中に適正に反映させて解決して行くことがある。そこで,本科目では,民事系科目の総合的な演習として,既に学習した実体法及び手続法がどのように活用されるのかを学習し,実務に対応できる枠組みを構築することを目指す。そして,法科大学院での教育の重要な眼目として,学生が主体的に問題を把握・分析して,自ら解決策を考案し,これを能動的に表現していくよう導くことが要求されていることに鑑み,学生にふんだんに課題を与え,発言の機会も多くし,さらには教材となる主張立証等の内容自体を学生に作成させるという方法も取り入れて,この面での実務家としての素養育成にも力を入れることとする。
以上のような視点から,テーマとしては,概要に示しているように,民事実体法と手続法の双方にまたがったものから選択し,具体的紛争について解決策を考えさせる課題を与える。題材は,判例,モデル記録の他,法科大学院支援プロジェクトによって教材化した現実の事件その他の事例からとり,資料を添付する等の方法により実務家としての能力育成に資する課題とする。
演習の場では当日起案を原則とし,教員側から解説を加えながら演習を進める。起案はすべて提出してもらい,コメント及び評価を付したうえで返却する予定である。民法を中心とした比較的平易な事案,民事訴訟法を中心とし
とした事案,総合的な事案を出題する予定である。
すでに出題された新司法試験問題を取り上げる回では,起案ではなく,内容の理解,討議を中心に進める。その際には,学生にレポーターとして報告を求める予定である。
成績評価方法
平常点(授業への出席,授業毎の予習の程度,授業への積極的参加の程度,学期途中で課す小レポートや授業中の小テストの成績,等)による。ただし,70%以上の出席がもとめられ,出席率が70%未満の者は不合格となる。
授業の概要
事案分析力を養うための演習であるため,この概要においては,演習で取りあげる課題の詳細をあらかじめ記すことができない点を了承されたい。
1.新司法試験出題問題についての演習を行う。レポーターを指定する。
2.民法総則分野を中心とした事例問題を提示して演習を行う。即日起案。
3.物権法分野を中心とした事例問題を提示して演習を行う。即日起案。
4.債権法分野を中心とした事例問題を提示して演習を行う。即日起案。
5.民事訴訟法を中心とした事例問題を提示して演習を行う。即日起案。
6.実体法と手続法を総合した問題を提示する。即日起案。
参考図書・資料等:司法研修所『紛争類型別の要件事実』(法曹会)
同 『改訂問題研究要件事実』(法曹会)
同 『増補民事訴訟における要件事実第1巻』(法曹会)
同 『民事訴訟における要件事実第2巻』(法曹会)
授業の目的・内容等
大気汚染,水質汚濁,騒音,日照妨害などの被害に対する損害賠償・差止めなどの民事的救済を扱う。民法(特に不法行為法)による救済を中心に,特別法による救済も対象とする。また,民事訴訟による救済の限界を補うものとして,公害健康被害補償や公害紛争処理にも触れる。講義全体としては,不法行為法の一般理論と公害環境問題への応用(あるいはその限界)に重点を置く。このように,この講義は債権法各論の不法行為法の応用科目としての性質を有するので,受講に当たっては,不法行為法に関する基礎的な知識を有していたほうが理解が深まるであろう。なお,テキストとして指定した環境法判例百選は,授業中かなりの頻度で参照するので,毎回持参してほしい。
授業計画:序,公害環境法の歴史,過失と権利侵害・違法性,因果関係と賠償範囲,損害と金銭的評価,賠償額の減額,損害賠償と差止め,損害賠償請求権,共同不法行為,特別法による責任,民事訴訟による救済の限界,の順に講義を行う。
評価方法:前期学期末試験(定期試験期間中)(100%)
テキスト:淡路剛久ほか編『別冊ジュリスト・環境法判例百選』(有斐閣,2004年),交告尚史ほか『環境法入門〔補訂版〕』(有斐閣,2007年)
参考書:大塚直『環境法〔第2版〕』(有斐閣)、前田陽一『NOMIKA債権各論U不法行為』(弘文堂,2007年7月刊行予定)
授業の目的・内容等
いわゆる債権各論は、@合意に基づく債権発生原因である「契約」と、A合意に基づかない債権発生原因である「事務管理」「不当利得」「不法行為」から成るが、この講義では@を対象とする。日常生活に密接な法分野であるのでイメージをつかみやすい面もあるが、最初の方で扱ういわゆる契約総論の分野や売買契約における瑕疵担保責任の性質論など、抽象的で複雑な議論も少なくない。具体的な話から出発して、それがどのように抽象的な話につながるか、その点に注意して理解を深めてもらいたい。
授業計画: 以下の項目の順に講義を行う予定(ただし1回ごとの講義に対応するものではない)。
1 契約の意義
2 契約の成立
3 契約の効力
4 契約の解除
5 財産権移転型の契約(贈与・売買・交換)
6 財産権利用型の契約(消費貸借・使用貸借・賃貸借)
7 役務型の契約(雇用・請負・委任・寄託)
8 その他の契約(組合・終身定期金・和解)
評価方法:前期学期末試験(定期試験期間中)(100%)
テキスト:テキストは、債権法各論TU共通である。
内田貴『民法U債権各論〔第2版〕』(東京大学出版会,2007年)、星野英一=平井宜雄=能見善久編『民法判例百選U債権(第五版新法対応版)』(有斐閣,2005年)
参考書:潮見佳男『債権各論T』(新世社,2005年),加藤雅信『新民法大系W』(有斐閣,近刊)
授業の目的・内容等
いわゆる債権各論は、@合意に基づく債権発生原因である「契約」と、A合意に基づかない債権発生原因である「事務管理」「不当利得」「不法行為」から成るが、この講義ではAを対象とする。講義の大半を占める「不法行為」の分野は、加害者と被害者との関係を対象とするのでイメージをつかみやすい面もある。しかし、民法709条という一つの条文で多くを解決している分、解釈理論に委ねられている部分が多く、一歩踏み込むと難しい議論が少なくない。不法行為法における技術的な解釈論にじっくり取り組んでほしい。「不当利得」は財産法全体の後始末を扱う分野であり、民法総則・契約などの応用問題ともいえるので、これらの分野の復習をしながら理解を深めてほしい。
授業計画: 以下の項目の順に講義を行う予定(ただし1回ごとの講義に対応するものではない)。
1 不法行為の意義と構造
2 故意・過失
3 権利侵害
4 損害の発生と因果関係
5 不法行為の成立を阻却する事由
6 損害賠償の方法
7 賠償範囲と金銭的評価
8 損害賠償額の減額・調整
9 損害賠償請求権
10 共同不法行為と競合的不法行為
11 他人を監督する者の責任
12 物の管理者の責任
13 特別法による責任
14 事務管理
15 不当利得
評価方法:前期学期末試験(定期試験期間中)(100%)
テキスト:テキストは、債権法各論TU共通である。
内田貴『民法U債権各論〔第2版〕』(東京大学出版会,2007年)、星野英一=平井宜雄=能見善久編『民法判例百選U債権(第五版新法対応版)』(有斐閣,2005年)
参考書:潮見佳男『債権各論U』(新世社,2005年)、加藤雅信『新民法大系X〔第2版〕』(有斐閣,2005年)、前田陽一『NOMIKA債権各論U不法行為』(弘文堂,2007年7月刊行予定)。
授業の目的・内容等
下級審を含む多くの裁判例を紹介しながら親族法の現状を明らかにするとともに,財産法のからんだ問題や生殖医療の問題にも力点を置く。レジュメを配布するなど分かり易い説明を心がけるが,講義内容はテキストからかなり離れかつ情報量の多いものとなる。出席を怠らず受講してほしい。テキストと判例百選は,講義中に適宜参照してもらうので,毎回持参すること。なお,講義は,受講生が民法総則および債権法総論に関する基礎的な知識を有することを前提に行われる。
授業計画:序説,婚姻,離婚,親子,後見,扶養,の順に講義を行う(開講時により詳細な目次を示す)。
評価方法:後期学期末試験(定期試験期間中)(100%)
テキスト:内田貴『民法IV〔補訂版〕』(東京大学出版会,2004年),久貴忠彦ほか編『別冊ジュリスト・家族法判例百選〔第6版〕』(有斐閣,2002年)
参考書:開講時にリストを配布する。
授業の目的・内容等
下級審を含む多くの裁判例を紹介しながら相続法の現状を具体的に明らかにするとともに,債権法・物権法のからんだ問題にも力点を置く。レジュメを配布するなど分かり易い説明を心がけるが,講義内容はテキストからかなり離れかつ情報量の多いものとなる。出席を怠らず受講してほしい。テキストと判例百選は,講義中に適宜参照してもらうので,毎回持参すること。なお,講義は,受講生が物権法および債権法総論に関する基礎的な知識を有することを前提に行われる。
授業計画:序説,相続人,相続分,相続の対象,相続の承認・放棄と清算,遺産の共有と分割,遺言,遺留分,相続回復請求権,相続法と財産法の交錯,の順で講義を行う(開講時により詳細な目次を示す)。
評価方法:前期学期末試験(定期試験期間中)(100%)
テキスト:内田貴『民法IV〔補訂版〕』(東京大学出版会,2004年),久貴忠彦ほか編『別冊ジュリスト・家族法判例百選〔第6版〕』(有斐閣,2002年)
参考書:開講時にリストを配布する。
授業の目的・内容等
不法行為法(公害環境問題のほか、医療過誤、名誉毀損など)を中心に、債権法の他の分野、親族相続法などをも対象とし、現代的な問題や重要な論点に関する最近の判決(下級審を含む)を選んで検討する(近年のゼミでは、例えば、国立景観事件、ガン告知事件、2ちゃんねる動物病院名誉毀損事件、UFJ銀行合併交渉差止事件、人工授精死後認知事件などを扱った)。参加者の希望も考慮するので、興味を引いた最近の判決のコピーをゼミの初回に持参してほしい。講義や教科書だけでは味わえないもう一歩踏みこんだ民法の議論の面白さを体験してもらいたい。参加者は、ゼミ開始時に、民法総則・債権法総論・債権法各論を履修済みであることが望ましい。
授業計画:参加者と相談しながらテーマとスケジュールを決める。報告を割り当てる判決については,担当者の希望も考慮するので,初回に関心のある判決のコピーを各自持参すること。
評価方法:出席状況,授業中の発言,担当した報告の内容などの要素を総合的に評価した平常点による。
民法5(参考:2003年度立教大学法学部)/EX025[通年/四単位]
ねらい・授業内容
民法第四編「親族」および第五編「相続」を中心とする,いわゆる家族法の分野を対象とする(家事審判法にも言及する)。
多くの裁判例を紹介しながら家族法の現状をできるだけ具体的に明らかにするよう努める一方,財産法的な観点からの理論的再検討も試みたい。特に相続法については,近年の判例理論の進展にはめざましいものがある。今年度は,相続法に重点をおき,相続法から講義を始めることにする。
講義内容はテキストからかなり離れる(情報量の多いものとなる)が,テキストは判例百選を含め講義中に適宜参照してもらうので,毎回持参すること。
授業計画:より詳細なものを開講時に配布する予定。
0.親族相続法序説 (1)参考文献 (2)歴史 (3)家族法と財産法
1.相続法序説 (1)概観 (2)相続の開始
2.相続人 (1)相続人と相続順位 (2)相続欠格と廃除 (3)代襲相続
3.相続分 (1)序説 (2)法定相続分 (3)重複資格 (4)特別受益 (5)寄与分
4.相続の対象 (1)序説 (2)祭祀財産 (3)相続財産の範囲
5.相続の承認・放棄と相続財産の清算 (1)序説 (2)単純承認と相続放棄 (3)限定承認 (4)財産分離 (5)相続人の不存在と特別縁故者
6.遺産の共有と分割 (1)遺産の共有 (2)遺産の管理 (3)債権債務 (4)遺産分割
7.遺言 (1)序説 (2)方式 (3)遺言の解釈と無効・取消 (4)遺言の撤回と死因贈与 (5)遺贈 (6)遺言の執行
8.遺留分 (1)序説 (2)遺留分額と侵害額の算定 (3)遺留分減殺請求権をめぐる問題
9.相続回復請求権
10.相続法と財産法の交錯 (1)相続と登記 (2)相続と債権者取消権・債権者代位権
11.親族法序説 (1)親族 (2)戸籍と氏
12.婚姻 (1)婚約 (2)婚姻の要件 (3)婚姻の無効・取消 (4)婚姻の効果 (5)離婚 (6)内縁
13.親子 (1)概説 (2)実子 (3)養子 (4)親権
14.後見・保佐
15.扶養 (1)序説 (2)扶養の権利義務 (3)扶養をめぐる問題
教科書
· 遠藤浩ほか編『有斐閣双書 民法(9)相続〔第4版増補版〕』(有斐閣)
· 遠藤浩ほか編『有斐閣双書 民法(8)親族〔第4版増補版〕』(有斐閣)
·
久貴忠彦ほか編『別冊ジュリスト・家族法判例百選〔第6版〕』(有斐閣)
参考書
· 内田貴『民法IV』(東京大学出版会)。他の文献は,開講時にリストを配布する予定。
成績評価方法:筆記試験
その他:民法(1)〜(4)の多くについて,履修済みか併行履修することが望ましい。
名誉毀損訴訟:実体法と手続法の綜合演習(参考:2003年度立教大学法学部)[前期/二単位]
ねらい・授業内容
ある著名人を原告,出版社を被告とする名誉毀損訴訟の裁判記録を素材に,実体法と手続法を総合した授業(ぜミ形式)を行う。法科大学院ではこのような方法の授業が多く行われることになると思われるが,学部生にとっても有益であることには変わりないだろう。
不法行為法の研究者とこの事件を担当した弁護士がそれぞれの視点から指導をするが,ゼミの運営については学生の側に主体となってもらうので,受講生には積極的な参加が求められる。毎回の出席はもちろん(毎回出席をとる),各班ごとに行われる時間外のサブゼミやゼミ直前の昼休みを用いた打ち合せに参加すること,および,かなりの頻度でレポートを提出することが求められるので,この授業のために多くの時間を割ける学生が受講することを希望する。また,不法行為法と訴訟法に関する基礎知識を前提とすることや,ゼミ形式で行うことから,受講の条件がある(「その他」の項目を参照)ので注意されたい。
名誉毀損訴訟は,近年増加傾向にあり,社会的に注目される事件も少なくない。訴訟類型としても,不法行為法理論としても,興味深い分野である。ゼミの負担はかなり重くなるが,その分,やりがいのある面白いものになると思われる。意欲的な学生の参加を望む。
授業計画
4月15日:趣旨説明(1),選考試験
4月22日:趣旨説明(2),班分け,名誉毀損の一般論
5月 6日:ロールプレイング(依頼者からの聴き取り)
5月13日:訴状作成
5月20日:答弁書作成
5月27日:第一準備書面,証拠申請(原告側)
6月 3日:第二準備書面,証拠申請(被告側)
6月10日:弁論準備
6月17日:争点整理
6月24日:証拠調べ(人証調べ)(1)
7月 1日:証拠調べ(人証調べ)(2)
7月 8日:判決
成績評価方法:平常点(出席,ゼミへの寄与,提出物など)による。
その他:ゼミ形式で行うため,受講生を二十数人〜三十数人に制限する。受講のためには,下記の資格を満たした上で,開講日(4月15日)にタッカーホールで行われる選考試験(名誉毀損の不法行為に関する簡単な試験のほか,民事手続に関して興味のある点や,授業への提案について書いてもらう予定)を受けることを要件とする。
* 民法(1),裁判学――両方とも単位取得済みであることを必要とする(ただし,民事手続法(1)を単位取得済みであれば,裁判学を単位取得済みでなくてもよい)。
* 民事手続法(1)――単位取得済みであるか,今年度前期に並行履修することが望ましい。
民法4(参考:2002年度立教大学)/EX024[通年/四単位]
ねらい:授業内容
民法典の第三編「債権」のうち,第二章「契約」(第七節「賃貸借」は民法(3)に譲る),第三章「事務管理」,第四章「不当利得」,および,第一章「総則」(換言すれば「債権各論」の多くの部分と「債権総論」)を対象とし,前記の順番で講義する。
債権法は,財産法の中でも実務的・理論的にきわめて重要な分野である反面,抽象的で複雑な議論が多く,十分に理解するためには相当の努力を要する。多くの具体例(裁判例)を紹介しながら整理された分かりやすい説明を心がけるが,講義内容は,テキストからかなり離れる(テキストはあくまで補助として用いるが,判例百選を含め講義中に参照してもらうことも多いので毎回持参すること)とともに,情報量の多いものとなる。出席と復習を怠らず,じっくり取り組んでほしい。
授業計画:おおむね次の順序で講義する予定。
第一部 序・契約総論
0.序 1.契約の意義 2.契約の成立 3.契約の効力 4.契約の解除
第二部 契約各論
1. 贈与 2.売買・交換 3.消費貸借 4.使用貸借 5.雇用 6.請負 7.委任 8.寄託 9.組合 10.終身定期金 11.和解
第三部 契約外の債権発生原因
1.事務管理 2.不当利得
第四部 債権総論
0. 総説 1.債権の各種 2.弁済と受領 3.債務不履行 4.債権侵害 5.債権者代位権 6.詐害行為取消権 7.債権譲渡 8.相殺 9.保証と弁済者代位 10.多数当事者の債権
教科書
· 内田貴『民法U債権各論』(東京大学出版会)
· 内田貴『民法V債権総論・担保物権』(東京大学出版会)
· 星野英一ほか編『民法判例百選U債権〔5版〕』(有斐閣)
参考書:開講時にリストを配布する予定。
成績評価方法:筆記試験
その他
民法(1)〜(3)の多くについて履修済みか併行履修することが望ましい。
民法1(参考:2002年度立教大学)/EX021[前期/二単位]
ねらい:授業内容
民法序論(民法に関する基礎的な事項),および,不法行為法(民法709条〜724条を中心とする)を講義の対象とする。今回は,民法カリキュラム改正に伴う経過措置として,2年次生以上を対象として開講されるため,民法序論を簡略化して不法行為法の講義に時間を多くとりたい。余裕があれば,製造物責任法をはじめとする,不法行為法の特別法の分野にも言及したい。
不法行為法は,交通事故などにおける加害者と被害者との関係を扱う分野なのでイメージがつかみやすく,また,関係する条文数も少ないため,最初は比較的取っ付きやすく感じられる。しかし,条文が少ない上に709条という一つの条文て多くを解決している分,法解釈(しかもかなり技術的な解釈)に委ねられている部分が多いため,少し立ち入った勉強をすると,けっこう手ごわい分野である。多くの具体例(裁判例)を紹介するなど,分かりやすい説明を心がけるが,かなり「集中」を強いる講義となる。出席と復習を怠らず,不法行為法の全体構造を常に意織しながら,受講してほしい。じっくり取り組んで徐々に不法行為法解釈の技術性に慣れていけば,その面白さに気がつくだろう。
授業計画(より詳細なものを開講時に示す予定)
00 民法序論
1 不法行為法の意義と構造
2 一般不法行為(1)序(2)故意過失と権利侵害(3)不法行為の成立を阻却する事由(4)損害・因果関係・賠償範囲・金銭的評価(5)損害賠償の方法(6)損害賠償請求権
3 特殊不法行為(1)序(2)共同不法行為と競合的不法行為(3)使用者責任(4)監督者責任(5)物の管理者の責任
4 特別法による責任(1)製造物責任法(2)自賠法(3)失火責任法(4)環境法
成績評価方法
筆記試験
教科書
内田 貴『民法II債権各論』(東京大学出版会,1997年),奥田昌道ほか編『判例講義 民法II債権』(悠々社,2002年4月刊行予定)。ただし,後者については,これに代えて,星野英一ほか編『民法判例百選II債権〔5版〕』(有斐閣,2001年)を用いることも可。
参考書
開講時にリストを配布するが,さしあたり,加藤雅信『新民法大系V事務管理・不当利得・不法行為』(有斐閣,2002年),澤井裕『テキストブック事務管理・不当利得・不法行為〔3版〕』(有斐閣,2001年),吉村良一『不法行為法〔2版〕』(有斐閣,2000年),潮見佳男『不法行為法』(信山社,1999年)を挙げておく。
その他
法学原理を履修済みであることが望ましい。