戻る

走れっ!ダグラス!

作:鰍さん


今日はザールブルグで久しぶりに晴れた。空は青く、澄みきっている。そんな日に、外で、ダグラスはうつろうつろな眼で、いまにも昼寝をしようとしている。
「・・・・・・あっ!そうだ、今日は・・・・」
なにかを思いつくと、ダグラスは、工房に走り出した。そう。エリーのアトリエである。

今日は、なにか約束してたみたいで、手には、小さな箱を持ちながら走っている。

ゴンゴンゴンゴンゴンゴンッ!!!

思いっきりドアを叩くダグラス。何故か、エリーは出てこない。
(またあいつ寝てるのかぁ?あいかわらず、のんきなやつだな〜)
でも、そう言うと、クスッ。と笑った。

「あぅ?ふぁぁぁぁぁっ。」
ようやくエリーは眼が覚めて、なにかぽかーんとしていて、ドアの方を見つめている。

ゴンゴンゴンゴンゴンゴンッ!!!

「わぁっ!!だ、だれっ?!」
寝起きのままで、うろつきながら、ドアを開ける。

「やっと起きたのかっ?!おせーなぁ。お前から誘ったんだから、お前から誘うのが礼儀っつーもんだろ?!」
怒り顔でエリーを見る。が、エリーはにやにやしている。
「あ、ダグラス。採取について行ってってあたしがいったんだよね。ところで・・・」
「ところで?」

エリーはダグラスの手を見る。
「ところで、その箱、何が入ってるの?」
ダグラスはぎょっとして言った。
「お、お前にはまだ秘密だ。」
「じゃぁ、あとで分かるんだよね?」
茶色の眼がダグラスをじっと見る。ふっと眼をそらすダグラス。

「そ、それより、お前、採取に行くの忘れてないか?大事な事忘れてどうするんだよ!」
コツン☆ とダグラスがエリーの頭を叩く。
「うぅ〜!!じゃぁ、また後で教えてよね!!」
「さあな。」
「・・・・。」
エリーがふくれて、ダグラスを見る。

「後で見せてやるよ。」
「やった〜!」
「お、お前、喜びすぎだって・・・。でもな、あまり喜びすぎてると、このごろ起きてる山賊(だっけ?)の誘拐事件にあうかもしれないんだから、気をつけろよ。」
今度は、ポン☆とエリーの頭に手をのせる。
(ダグラス・・・。)

10日歩くと、目的地「東の台地」につく。モンスターも出るのだし、2人だけじゃツライが、エリーは今お金が無いのだ。だから結構仲がいい、ダグラスに護衛を頼んだのである。


10日後―

「やっとついたぁ〜!!疲れた・・・。でも、空気、おいしいね!!」
エリーが空気を思いっきりすう。
「疲れた・・・・。俺、あの酒の元の木で、酒のもと、取ってくる。」
「あ、ありがとう・・・。」
タタタタタ・・・。
エリーはでダグラスが走るのを眼で追う。

「・・・・・さぁて、一人だから・・・・ダグラスが来るまで、採取してようかな。」
辺りをゴソゴソ探る。
「あ、あった!月の実に・・・グラビ石は8個・・・」

「にゃぁーにゃぁー」
「あれ?ネコの声だ。どこにいるのかなぁ。」
「にゃぁーにゃぁー」
「あ、いた!!」
ネコは、東の台地の特に遠くのところにいた。もちろん、エリーは採取をほッぽり出して、ネコの所へ駆けて行った。

「あ〜待ってぇ〜!ネコ〜っ!」


一方、ダグラスは―
「これくらいでいいだろ。いっぱい取れた方だし。では・・・エリーのところへ帰るか。あいつ、ちゃんと採取してるかな・・・」

歩いて歩いて歩いて・・・・。
「エリー、ちゃんと採取してるか・・・おかしい・・エリーがいない?!・・・・そうだ、ココじゃないんだ。エリーが居る所は。」

走って走って走って・・・・。
「・・・・おかしいなぁ、どこもかしこも、エリーがいない。まさか・・・・」
ダグラスは頭の中で、グルグルとこの頃起きてる誘拐事件の事を思い出した。
(まさか・・・・。まさか・・・・・。誘拐されたんじゃ・・・・。)
ダグラスの顔が一気に青くなった。そして、怒った顔をして、近くの木の幹に、ダン!!と手をぶつけた。
(俺が・・・俺が・・・『酒のもと取ってくる』なんていわなければ・・・!!!!)

「にゃぁーにゃぁー」
「あっ?なんだ、ネコか。こんなヤバイときに・・・・・」
「あ〜待ってよぉ〜!早いよ〜!」
「!・・・これはエリーの声っ!!」

そういうと、ダグラスは走り出した。

「エリー!!!」
「あ、ダグラス、どうしたの?息切れてるよ。」
きょとんとした顔でエリーが言う。
「この・・・お前どこ行ってたんだ!俺が、俺がどれほど心配したか・・・・!!」
(はっ・・・こんな恥ずかしい言葉を・・・)
「え?ネコを捜してただけだよ。でも、心配してくれたの?どうもありがとう。」

「おい、これ・・・。」
ダグラスは、手からちいさな箱を取り出した。エリーが見たがっていた箱である。
「開けてみろ。」
「え、い、いいの?じゃぁ、お言葉に甘えて・・・」

カパ。

「わぁ〜綺麗〜!!!これ、ダイヤの指輪だ!」
箱の中には、綺麗なダイヤがちりばめられている、指輪(婚約ね。)だった。

「ありがとう、ダグラス。」
「・・・・・・。」
(あ・・・・これだけしか・・・反応が無い・・・。これ婚約指輪だってことわかってるのか?)
「これ・・・婚約指輪だよね?・・・結婚?!・・・」
「あぁ、言葉で「好きだ」っていうの、いいにくいからな。」

「耳かして、ダグラス。」
エリーがダグラスの耳を引っ張った。
「ゴニョゴにょごにょゴニョゴにょ・・・・」
「あっ?!」

「分かった?では、コホン。ここからは・・・見ちゃダメです!」
そのとき、エリーの唇が確かに、ダグラスの頬に触れた・・・。

<おわり>


《あとがき》

鰍です。○にさん所に投稿(え?)するのは、これで3回目になります。
うぅ・・・この話は、書いてても、我ながら恥ずかしくなりました(笑)

さぁて、エリーがダグラスに、した「秘密話」の内容は・・・・。

@いいよ。結婚。

Aダメ。

Bえ〜っ!!

どれでしょう。私的には、@がいいですわ。happy endで終わるんで。
では、本当にエリーとダグラスが結婚するのかどうかは・・・鰍の今後の小説で。(本当に)

では、さようなら〜。


戻る