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本当に好きな人は・・・?

作:美月 倫さん


〜エリー〜

「ダグラスーー!ルーウェンさーん!!」
私は2人を呼びながら、町を駆けていった。私は、エルフィール・トラウム。
数年前、私を死の淵から救ってくれたマルローネさんのような人になる為、ロブソン村を出てきた。
そして、アカデミーにやっと入学して、錬金術の勉強をして4年。
今日も錬金術の材料の採取に行く為、町外れで護衛に2人の青年(といっても私より年上)と待ち合わせていた。

「ったく・・・いつもいつも遅いんだよ!俺は急がしいんだぜ!」
開口1番、私を怒鳴りつけた彼は、ダグラス・マクレイン。
私より年上なんだけど、自信家だし、意地っ張りだし、短気だし・・どっちが年下だか。
初めて会った時だって、
「俺はダグラスってんだ。数年後にはザールブルグ中に名前が知れ渡るはずさ。」
なんて堂々宣言しちゃってるからびっくりしちゃった。
でも王室騎士隊なだけあって、その強さは私も認めてる。なんてったって聖騎士だもんね。
それに、やさしいとこもある。間違って月の実を食べちゃった時もわざわざ採ってきてくれたし。

「大丈夫かい、エリー?いくら忙しくても俺はエリーと採取にいけるならいくらでも待つぜ。」
ダグラスに怒鳴られてびっくりしてた私を慰めてくれたのはルーウェン・フィルニール。
ルーウェンにはカスターニェで初めて会ったんだ。
ダグラスよりも年上でいかにも大人のお兄さんって感じ。
穏やかだし、いつも笑ってるから、ダグラスとは対照的な人。でもダグラスとはなぜか仲が悪いんだ。
前に、両親を捜してるって言ってたけど・・・見つかると良いなあ。

「・・・リー!エリー!!おい!しっかりしろよ!ほら、出発するぞ!」
2人の紹介してる間、ずっと百面相してたみたい。
ダグラスに突っ込まれて気を取り直し、出発することにした。
今回の目的地は、ヘウレンの森。ちょっと強い敵が出るかもしれないけど、2人がいるなら大丈夫だね。
出かけた時期が良かったのか、3人は魔物にもであわずに、へウレンの森についた。


「いつ来てもここはうっそうとしてるなー・・・。まいっか!採取採取っと!」
来て早々無邪気に採取を始めるエリーを、男2人は優しく見つめていた。

エリーから少し離れた場所で、ルーウェンはいきなり切り出した。
「なぁ、ダグラス。おまえ、エリーのことどう思ってる?」
ダグラスはがぶ飲みしていた水筒をぶはっとおもいっきり吹き出した。
「な、ななな何言い出すんだ、いきなりっ!どど、どう思ってるなんてあんな奴、どうとも思ってねぇよ!
そ、それより!おまえはどうなんだよ!?」
慌てているダグラスを見て、苦笑しながらルーウェンははっきり言った。
「俺は惚れてるぜ・・・。おまえ、どうとも思ってねぇんだよな。じゃあ俺とエリーがくっついても、文句はねえよな?」
顔を真っ赤にして、ダグラスはルーウェンに詰め寄った。
「な、何で俺に聞くんだよっ!?し、知ったこっちゃねぇよ!」
一気にそう、言いきるのを見て、ルーウェンはふーん、とだけ言い、エリーの方へ行ってしまった。
「(別に・・俺にゃあ、関係ねぇもんな・・?)」
自分に言い聞かすようだった。ダグラスの心境は複雑だった。

「どうしたんですか?ルーウェンさん?なんかダグラスがぶつぶつ言ってますけど・・顔も赤いし・・?」
「別に何でもないよ。それより、敬語使うのはやめてくれよ。さん付けもな。」
そう言いながら、ルーウェンはいつのまにか、エリーの肩に手を回していた。

・・・そんなふたりの様子にも気付かず、ダグラスはまだ、ぶつぶつ言っていた。(笑)

「なぁ、エリー?・・もうそろそろ、卒業なんだろ・・?卒業したら、どうするつもりなんだ?
・・・もし良ければさ・・俺の両親探しの旅に、ついてきてくれないか?親にも、紹介したいんだ。」
数秒おいて、エリーは目を丸くした。
「え、ええーーーっ!そ、それって・・、もしかして、プ、プロポーズってやつですか?!」
ルーウェンはエリーの声のでかさに驚いた。
「・・・もしかしなくてもそうなんだけどな。答え、待ってるからな。」
そういって、ルーウェンは立ち上がって、そこらへんにあった木に寄りかかった。

「(ど、どうしよう・・?ルーウェンさんに、プ、プロポーズされちゃった・・)」
エリーは真剣に困っていた。なぜなら、採取にくる前に、ノルディスにも
「一緒にマイスターランクで研究したいんだ。」
と告白されていたからだった。エリーはそれ以降採取に全く手がつかなくなってしまっていた。
そして、1時間ほどたった。
ダグラスも戻ってきて、3人は夕食と寝る場所の確保にとりかかった。
「じゃあ、私は、水でも汲んでくるから。火起こし、お願いね。ダグラス、ルーウェン。」
エリーが行ってしまって、残された2人はまた話し始めた。
「・・・おい。ルーウェン・・。あいつに何言ったんだよ?なんか様子がおかしかったぜ・・・。」
「さぁな、ほら、火起こしする・・・」
「きゃあああああー!!」
ルーウェンの声をかき消して2人の耳に聞こえてきた声は、紛れも無く、エリーの声だった。
2人は弾かれたように立ち上がって、声のするほうへ駆けつけた。
「「エリーーー!!!!」」

エリーはなにかを前にして、震えながら、立ち尽くしていた。
「こないでぇーー!!」
彼女の前にいた者は、吸血鬼だった。大きな牙がそれを物語っていた。
「・・・フォン・シュテルンビルド伯爵・・・。」
ダグラスがつぶやいた。
「ダグラス、それってあの今噂になってる吸血鬼か?」
ルーウェンの問いに黙ってうなずくダグラス。
そうこう言ってるうちに、伯爵はエリーに近づいていった。
2人が油断しているうちに、伯爵はエリーを捕まえ、首筋に噛み付いた。
「!!きゃあっ!ダグラス・・助けて・・!!」
ルーウェンは目を見開き、ダグラスは走り出していった。
「貴様ぁっ!エリーを放せ!」
「・・・・エリー!」
既にエリーの顔には血の気が無く、死にかけているのは明白だった。
伯爵は、2人の相手をしようと、ぐったりしたエリーを地面に置いた。
その姿を見、ダグラスは吼えた。
「・・うおぉぉぉぉぉぉ!!許さねぇ!」
ルーウェンが剣を抜く前に、ダグラスは
「シュベートストライク!!」
今までに無いほどの、必殺技を放っていた。伯爵は必殺技を受け、消滅していった。
「エリー!エリー!」
彼はすぐに、エリーに駆け寄っていった。

「ははは・・俺の出番なしかよ、おい・・・情けねぇー・・・。」
ルーウェンは立ち尽くしていた。ガックリしながら。


〜エリー〜

「・・・・・リー!エリー!」
誰かが、私を呼んでる・・?私は、体に力が入らなかった。
頑張って、目だけ開けてみると、青が私の視界を埋め尽くしていた。
「ダグ、ラス・・・?」


〜ダグラス〜

エリーが目を覚ましたのを確認して、俺はエリーを無意識のうちに抱きしめていた。
「・・・馬鹿野郎・・・心配、かけやがって・・・」
「ダグラス・・・ごめんなさい・・・また、迷惑かけちゃって・・。」
「良いんだそんなこと・・・・大丈夫か?」
エリーは、俺から離れて、立ち上がろうとした。が、
「・・きゃ!・・・こ、腰が抜けちゃったみたい・・・。」
俺は何も言わずに、もう1度、抱きしめてやった。そして、耳元でつぶやいてやった。
「無理すんな、・・・俺が守ってやるから・・・これからもな。」
エリーは真っ赤になっていた。
「ありがとう。・・大好きだよ、ダグラス・・。」


それから少しして、3人は、ザールブルグに帰ることにした。
「なぁ、エリー?やっぱり、俺じゃ、駄目か?」
まだ諦めのつかないルーウェンが、エリーにたずねた。
「わりーけどよ、ルーウェン。こういうことだからよ!」
エリーに答える暇も与えずにダグラスは、エリーの肩に手を回し、はっきり、ルーウェンに言った。
エリーは赤面している。
「もう!ダグラス!・・・・・ゴメンね、ルーウェン・・。」
それを聞き、ルーウェンは、ダグラスをどついた。
「こいつ!もしエリーを幸せにしなかったら、俺がとんでって、さらってくからな!」
ルーウェンは明るくそう言い切った。

それから何年かたって、ザールブルグではエリーとダグラスの結婚式が行われていた。
その2人の幸せそうな顔を、ルーウェンは満足そうに見つめていた。


=====あとがき(?)=====

ってなわけで、書き終えましたー!
見るも絶えないほど・・・・恥ずかしいです(号泣)
初めての作品って事で許して下さい・・・・・・・・。
こんなのあなたのすばらしいページにのっけちゃっていいんですか?

(いいからいいから・・・by ピコりん

内容のことで言うと、ルー兄さんが何とも可哀相なキャラに・・・。
すいません!ルー兄さんファンの皆様!そういう私も好きなんですよ、ルー兄さんは。
ダグもエリーもぶっ壊れております・・。
文才が無いんですね。そういう事だと思って下さい。
では。クレーム、感想などいただけると舞い上がります。


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