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永遠の約束ー3年前のあの日ー

作:美月 倫さん


「久しぶりだな・・・ダグラス。」
そういったあいつは、3年前と全く変わってなかった。俺がつけてやった傷もそのまま残っていた。


==ダグラスの回想==

「ダグラス、最近の噂聞いたか?」
こいつは俺の同僚兼友達だ。名前はフィールだ。フィールは情報通なんだが、 また噂を仕入れてきて、話したくてうずうずしてるみたいだ。仕方ねぇ、聞いてやるか。
「何だよ。その噂って?」
「それがさ、近頃この近くに盗賊の一味が来てるって言うんだよ。」
盗賊?そんな噂は知らねぇな・・・。
「盗賊だってか?この平和な街に?」
「そうなんだよ!それがあの賞金首のエードの一味だって噂なんだよ!すげぇだろ?だからさ、俺らがそいつらを捕まえたら昇格できるだろ!!どうだよ?のるか?」
おいおい・・・結局は自分の為かよ・・・?まぁここまで聞いちまったら引くに引けねぇなぁ・・。
仕方ねぇ!のってやるとするか!どんな作戦があるのかは知らないけどよ。
「で?俺は、どうすればいいんだ?」
「のってくれるか!さすがダグラス!持つべきものは友だよなぁ!じゃあ、夜にここで待ち合わせようぜ!」
ったく・・・嬉しそうな顔しやがって・・・こういう時だけ調子いいぜ。俺も昇進できるかもしれないからいいか。
そして俺達は自分の仕事に戻っていった。そして、夜中になってから自分の寮を抜け出して待ち合わせ場所に行った。

「遅いぜ!お前から持ち出してきたくせによ・・・。ったく・・・早く行こうぜ!!」
あいつは堂々と遅刻してきやがった。心の寛大な俺(?)は許してやり、エード一味のいると思われるねぐらに向かった。
そこはストルデル川の上流の方にあった。俺とフィールはそのねぐらにはいる前に簡単なトラップ(・・・落とし穴だ)を作った。
「・・・ダグラス。行くぞ。」
フィールはいつものあのおちゃらけた感じとは一転してすごく真剣な表情になってた。何かがいつものフィールとは違っていた。
俺も気を引き締めた。その後、俺は突撃していった。
バキィッ!!!!!!

・・・・・ドアを蹴破った。中には盗賊らしき人物が10人ほどいた。しかし、エードはいない様に見えるが・・?
そいつらは、堂々としていて、俺達がくるのを最初から知っていたかのようだった。
「静かにしろ!王室騎士隊だ!!誰がエードだ!名乗れ!!」
俺が本気で言ってるのにもかかわらず、そいつらは平然としてやがる。何だ・・・?・・嫌な感じがする。
「悪いな・・・・・・俺がエードだ。」
信じられなかった。その声は俺の背後から聞こえてきていた。・・そう、フィールから。
そう、気づいた瞬間には俺の体は後ろから押されて小屋の中に転んでしまっていた。
「ってぇ・・・!この・・・!!フィール!どういう事だ!」
「まだわかんないのか?まったく、騎士って奴は頭が悪いぜ。俺はフィールでもあり、エードでもあったんだよ!」

俺の頭はパニック状態になっていた。そんな・・フィールが・・エード・・だと??
「ったくよぉ・・・俺の下手な芝居を真に受けてここまでついてくるなんてな?そんなに昇格したかったのか?」
フィールが言った言葉が俺の頭の中でぐるぐる回っている。
「あの剣聖エンデルクが一目置いてるって言うからどんなものかと思ったけどこんなものか。ははは!聖騎士も地に落ちたなぁ!俺の変装も見抜けないんだもんな!」
「何・・・だと・・?」
俺はフィールを睨み付けた。フィールの奴・・俺を見て嘲笑してやがる・・。
「おいおい、こんな状況で刃向かうのか?馬鹿か?おいお前ら、この馬鹿な聖騎士を倒してザールブルグを乗っ取るぞ!!」
何だと・・?ザールブルグを乗っ取るだって・・・?そんなこと・・
「そんな事・・・この俺がさせねぇぞ!エード!!」
俺は立ち上がって剣を構えた。俺は友をその瞬間、捨てた。
「エードぉぉぉ!!!!!うおぉぉ!!」
エードも剣を抜き、俺に向け、切りかかってきた。俺達は小屋の真ん中で対峙した。
キィン!!ガキィン!!
剣同士がぶつかり合って、火花を散らしている。俺達は本気でお互いを倒そうとしていた。
しばらく攻防が続き、東の空がうっすらと明るくなり始めた頃、決着がつこうとしていた。
カァンッ!!・・・ズドッッ!!
俺はエードの剣を弾き飛ばし、エードの頬に大きな傷を負わせた。俺は・・勝ったのか・・?
「ちぃっ!!お前ら!逃げるぞ!!」
エードは脱兎のごとく、手下を連れ逃げ出していった。

「待てぇっ!!」
俺は最初の目的を果たす為に一味を追いかけていった、が!?
「うおぉっ!??」
ズドン!!ザザザ!!

・・・落とし穴にはまっちまった・・・くそ!あいつはこんな事まで予測済みだってのかよ!?情けねぇ。
「ははは!じゃあな!またどこかであおうぜ!ダグラス!今度は負けねぇからな。」
「この!今度は捕まえてやるから覚悟してろ!すぐに捕まえてやる!」
俺のくやしげな声を聞き流しつつ、あいつはどこかへ行ってしまった。俺はその後やっと落とし穴を這い上がり、街へ帰った。

俺が街につくとすぐにエンデルク隊長に呼ばれた。俺は全部、ありのままに話した。
「そうか・・。ダグラス、お前には罰を与えねばなるまいな。・・・よし!お前には毎日の城の門番を命じる。」
隊長は俺の事を許してくれた。なんでかって?門番をしてるとあいつが来たら、すぐに分かるだろ?
「隊長・・・ありがとうございます!!俺、頑張ります!」
そうして、俺はその事件以来、ジグザール城前の門番をする事になった。

フィール・・・絶対、絶対捕まえてやるからな!!


=====あとがき=====

最初に言っておきますが、フィール(エード)は、全く架空の人物です。名前もぱっと思い付きで考えました。
どうでしょうか?ここだけの話、最初フィールさんは死んじゃう設定だったんですけどね。
もうちょっとひねろうかななんて思って、裏切りにしてみました。でも全然だめですねぇ・・・。
ダグラスはなんかエリーがいないと動かしにくかったです。
やっぱり自分はダグエリなんだなぁ・・・なんて思いました。


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