《有難い 身の程にあう 豊かさで》

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 今年の夏は高温の状況が途切れることなく続いて,気候の温暖化を思い知らされました。暑さが身体に襲いかかってきますので,熱中症にならないように気をつける日々を過ごしてきました。温暖化を招いたのは,日々の生活を豊かにしようとしてきた活動の結果でした。地球は温室効果ガスに包まれて,人などの動植物が生きていくことができる温もりを維持しています。ところが,人が豊かさを求めてエネルギを過剰に消費してきたことが温室効果ガスである炭酸ガスの濃度の上昇をもたらし,温室効果が進んで地球温度の上昇を来しているのです。結果として,風雨などの自然現象の活動が強大になって,人が築いてきた生活環境の耐性との不一致が生じてしまっているのです。
 温暖化という身体に関わる環境に変化が現れていますが,意識に関わる情報環境も温暖化とも言い表すことのできる状況が現れているという印象があります。事例として対応を見てみましょう。気候変動で現れるキーワードがあります。風雨などが強くなってくるとそれぞれについて「注意報」が出されますが,情報環境ではさまざまな「ハラスメント」が注意喚起されています。またオリンピックの際に現れた差別や誹謗中傷の発言などは「警報」に対応されます。ネットでの炎上も「線状降水帯発生」になるのでしょう。
 自分の感覚で認識できる範囲での情報環境で暮らしているときは,普通の日常があって災いは起こることはありません。しかし,情報社会になって過大な情報が身の回りに押し寄せてくると処理を超えた過剰状況に陥るだけではなく,価値観の多様性が膨張して善悪の枠が肥大するという内容の雑多性が増大していきます。結果として,被害が発生することになります。人に温もりをもたらしているはずの情報が,温暖化して炎として燃え寄せてくることにもなります。
 気候の温暖化の現象に対応するには直接の危害を受ける影響から避難することになりますが,情報の温暖化に対処するのも同じように有害な情報から避難するしかありません。そのためには注意報や警報に耳を澄ましておくことです。生活の豊かさや情報の豊かさを追い求めていくのにも程があるということを思い起こしていたいものです。

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(2024年09月29日:No.1279)